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無期雇用転換ルールの重要ポイントを解説

無期雇用転換ルールがスタート! 改正労働契約法への対策はお済みですか?

平成25年に施行された労働契約法の改正により、期間の定めのない労働契約へ転換できる仕組みが導入されました。申し込みがあった場合、会社としてはどのような対応をすべきでしょうか。

[2018年 2月22日公開]

無期雇用転換を知る前に~労働契約法の基礎知識~

無期雇用転換ルールのスタートより、平成30年4月以降に労働者から申し込みがあった場合は、原則として会社は、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)へ転換しなくてはなりません。そもそも、無期労働契約とはどのような契約でしょうか?

平成25年4月開始で契約期間が1年の場合は?

平成25年4月開始で契約期間が1年の場合、平成30年4月の更新から1年間、無期労働契約への転換申込権が発生します。分かりやすく例で見てみましょう。

労働契約(雇用契約)の種類

労働契約(雇用契約)には、大きく分けて二つの契約があります。

契約期間の定め雇用形態
有期労働契約期間の定めのある契約契約社員、期間の定めのあるアルバイトやパートタイマー等
無期労働契約期間の定めのない契約正社員、無期契約社員、期間の定めのないアルバイトやパートタイマー等

無期契約社員と正社員の違いは何か?

無期労働契約=正社員ではありません。そのため、労働者から無期転換の申し込みがあったからといって、直ちに正社員にしなければならないわけではありません。それでは、無期契約社員と正社員、その違いはどこにあるのでしょうか。

契約条件無期契約社員正社員
期間の定めのない契約である
原則としてフルタイム×
解雇が厳しく制限されている
転勤や異動がある
(契約内容等による)
×
昇給、賞与や退職金の支給がある
(契約内容等による)
×

厳密には、個別の労働契約や会社ごとの就業規則にもよりますが、一般的には上記のような傾向にあります。無期契約社員は、正社員と同様に契約期間の定めがなく、解雇が厳しく制限されているという意味では、身分が安定していると言えます。一方で、正社員ほどの責任を負っていないため、待遇面では正社員に劣る傾向があります。

就業規則の例

無期労働契約については、就業規則等に詳しいルールを定めておきましょう。

無期労働契約への転換を行う場合

  1. 有期契約労働者のうち、通算契約期間が5年を超える従業員は、所定の書式により申し込むことにより、現在締結している有期労働契約の契約期間の満了日の翌日から、期間の定めのない契約(無期労働契約)へ転換することができる。ただし、現在締結している有期労働契約の契約期間の満了日の1か月前までに申し込むものとする。
  2. 通算契約期間は、平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約の契約期間を通算するものとし、現在締結している有期労働契約の契約期間の満了日までの期間とする。ただし、労働契約が締結されていない空白期間が連続して6か月以上(空白期間以前の通算契約期間が10か月以下の場合は、その通算契約期間に応じて労働契約法第18条第2項で定める月数以上)ある従業員については、それ以前の契約期間は通算できない。
  3. 第1項の規定により無期労働契約へ転換した後の従業員の労働条件については、無期契約社員就業規則にて定めるものとする。

無期労働契約への転換を行わず、契約満了とする場合

  1. 会社は、労働契約を更新する場合がある。ただし、通算契約期間が5年を超えて更新することはない。
  2. 労働契約の更新は、契約期間満了時の業務量、勤務成績、業務遂行能力、会社の経営状況や、従事している業務の進捗状況などにより決定するものとする。なお、更新する場合には、会社は契約期間満了時の1か月前までに本人に通知するものとする。
  3. 従業員と会社との労働契約は、契約期間が満了した日に終了し、従業員は退職となる。

無期労働契約のメリット・デメリット

有期労働契約は、「繁閑に応じて雇用できるフレキシブルな人材」という側面が強いですが、無期労働契約は、フレキシブルさはなくなる半面、「より会社への忠誠心の高い人材」の育成を目指せることが一番のメリットだと言えます。

無期労働契約のメリット

  • 労働者に安心して働いてもらえるため、やる気アップが期待できる。
  • 長期勤続や職場定着が期待できる。
  • 採用・育成コストを削減できる。
  • 職場の一体感や人間関係の向上につながる。
  • 人手不足の解消につながる。など

無期労働契約のデメリット

  • 業務量の増減や景気変動に応じて雇用量を調整しにくくなる。
  • 契約期間満了による退職がなくなるため、労働契約を解消しづらくなる。
  • 会社として、長期的な雇用戦略を立てる必要がある。など

長期的な雇用戦略や、快適な職場環境づくりなどは、重要でありながらも後回しになりがちです。この機会に、ぜひ見直しを行ってみてはいかがでしょうか。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名とともに中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働くすべての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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