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テレワークで気をつけたい、労働時間管理のポイント

サスティナブル(持続可能)な社会へ

最近、「sustainable(持続可能な)」という言葉をよく耳にしますが、経済社会を持続可能なものにしていくために、企業は、どのような労務管理を行えばよいのでしょうか。

[2018年 6月18日公開]

ワークライフ・バランスとテレワーク

持続可能な企業経営には、経営者を含めた働く全ての人々の心身の健康にも意識を向けることが重要です。

「ライフ」の時間、つまり、家庭や地域の活動、自分自身のために使う時間と、「ワーク」=労働時間。これらをバランスよく組み合わせることができれば、心身共に充実した状態で働くことができます。テレワークは、そのような環境を整備する際の手助けとなる場合があります。

テレワークとは

テレワークとは、労働者が情報通信技術を利用して行う事業場外勤務のことで、以下の三つに分類されます。

分類勤務の態様メリット
在宅勤務労働者の自宅で業務を行う勤務通勤が不要であるため、通勤に要する時間を有効に活用できる。また、保育所の近くで働くことが可能となることなどから、仕事と家庭生活との両立がしやすい。
サテライトオフィス勤務労働者の属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスを利用する勤務自宅の近くや通勤途中の場所等に設けられたサテライトオフィスであり、通勤時間を短縮できる。また、在宅勤務やモバイル勤務以上に作業環境の整った場所での就労が可能。
モバイル勤務ノートパソコンや携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で業務を行う勤務労働者が自由に働く場所を選択できる。外勤における移動時間を利用できる等、働く場所を柔軟に運用することで、業務の効率化を図ることが可能な働き方。

いずれのテレワークも、会社での勤務に比べて、働く時間や場所を柔軟に活用することができ、労働者にとっては、ワークライフ・バランスを図りやすくなります。また、企業にとっても、育児・介護等を理由とした労働者の離職の防止や、遠隔地の優秀な人材の確保、オフィスコスト削減等のメリットがあります。

事業場外みなし労働時間制とは

テレワーカーの勤怠管理には幾つかの方法がありますが、「労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合で、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なとき」に該当する場合は、事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法第38条の2)を適用することができます。

この制度は、テレワークを含む事業場外労働について、「就業規則等で定める所定労働時間、またはその業務の遂行に通常必要とされる時間としてあらかじめ労使で協定した時間を労働した」とみなす制度です。

事業場外みなし労働時間制を適用するには、以下(1)(2)の要件をいずれも満たす必要があります。

(1)情報通信機器が、常時通信可能な状態におくこととされておらず、情報通信機器を通じた会社の指示に即応する義務がない状態であること。

これはNG!
会社が労働者に対して即座に連絡が取れる状況にしておくことを義務付けており、かつ、会社からの具体的な指示に備えて待機しながら作業を行っている状態。
これはOK!
回線が接続されているだけで、労働者が自由に情報通信機器から離れることや通信可能な状態を切断することが認められている場合。会社支給の携帯電話等を所持していても、労働者の即応の義務が課されていないことが明らかである場合。

(2)随時、会社の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと

これはNG!
会社が労働者に対して情報通信機器を用いて随時具体的指示を行っており、労働時間の算定が容易にできる状態にあること。
これはOK!
業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これら基本的事項について所要の変更の指示は行っているが、より詳細な業務遂行の手段や時間配分などは、労働者に委ねられている場合。

事業場外みなし労働時間制の詳しい内容を確認する

事業場外みなし労働時間制の詳しい内容については、厚生労働省ホームページをご参照ください。

テレワーク導入時は、労働者の健康管理も忘れずに

事業場外みなし労働時間制が適用される場合も、会社は労働者の健康確保の観点から、勤務状況を把握し、適正な労働時間管理を行う必要があります。必要に応じて、業務量を調整したり、労働時間の実態に合わせて労使協定を締結または見直したりなどするようにしましょう。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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