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フレックスタイム制とこれからの「働き方」

新しいフレックスタイム制は、従業員が主体的に働き方・生き方を「選ぶ」制度

新しいフレックスタイム制が2019年4月1日から始まります。時間外労働の上限規制など働き方への規制が目立つ中、柔軟な運用が可能になった当制度は、今後主流の働き方の一つになるかもしれません。

[2018年 9月18日公開]

なぜ今、フレックスタイムなのか?

今後数十年の間に、働き方の分野では多くの変化が起き、今までの常識が覆されるときがやってくる、ともいわれています。従来どおりの「就業時間は9時~18時・休憩1時間の計8時間、週5日勤務」といった勤務形態は、確かにメリハリがあり、適切な時間に睡眠も取りやすく健康的です。

一方で、共働きの世帯が増えたことなどに伴い、自治会・保護者会などの地域の活動に参加することが困難になるケース、育児や介護を理由に、今まで積み上げてきたキャリアを断念せざるを得ない従業員がいたことも事実でした。

もしも、フレックスタイム制が導入され、もう少し働き方に柔軟性を持たせることができれば、ボランティア活動やセミナー、地域の活動に参加したり、育児や介護を抱えながらもキャリアを継続したりすることができるかもしれません。

社会貢献や地域の人々と関わることは、幅広い人生経験を積むチャンスでもあります。また、育児や介護から復帰した従業員は、これまで以上に高いモチベーションで、能力を発揮してくれるかもしれません。

新しいフレックスタイム制とは

フレックスタイム制の主な改正点

期日2019年3月31日まで2019年4月1日から
清算期間の上限の延長1カ月3カ月
週所定労働時間の上限規制特になし50時間
労使協定届け出義務なしあり(清算期間が1カ月を超える場合)

今回の法改正で、清算期間が1カ月から3カ月に延長されました。例えば、6月は繁忙期で7月、8月が閑散期である場合、6月の所定労働時間を200時間と予定し、7月・8月をそれぞれ150時間とすることも可能です。

フレックスタイム制の見直し(清算期間の上限の延長)

一方、1カ月を超える清算期間を定めた場合で、1週間当たりの労働時間が50時間を超えるときは、別途、割増賃金の支払い義務が発生することとなるので注意が必要です。

フレックスタイム制のメリット・デメリット

 メリットデメリット
企業側
  • 効率の良い働かせ方ができれば、残業時間の削減にもつながる。
  • 良い人材を採用しやすい。
  • 育児、介護を抱えた従業員も雇用し続けることができる。
  • 仕事以外の経験、学びを本業に生かしてもらえる可能性も。
  • 自己管理が苦手な従業員に対する業務の進捗や労働時間の管理へ注意が必要。
  • 週ごとの清算、複数月にまたがっての清算となるため管理部門の負担が増大する。
  • 従業員全員がそろう時間が少なくなるため社内の情報共有がしにくくなる。
従業員側
  • 自分の裁量で効率よく働ける。
  • 育児、介護と両立しやすい。
  • 従来どおり毎日決まった時間に出社、退社することもできる。
  • 仕事以外の経験を積むことで、より人生への充実度、満足度を持って仕事に励める。
  • 自分の勤務スケジュールを自分で決めなければならない。
  • 業務に支障を来さないよう、同僚や上司への報告、連絡等を密にする必要がある。

なお、システムエンジニアやコンサルティング等、一定の専門性と裁量がある職種や、接客等を伴わない一般事務や制作業務などは、比較的フレックスタイム制を取り入れやすい職種と言えます。

一方で、店頭販売員等の接客業や、建設現場の職人、現場作業員、運送業のドライバー、大型の機械を複数名で使用するような製造業は、フレックスタイム制はなじみにくいと考えられます。従来型の勤務時間をいかにより良いものにするか検討していくのが望ましいでしょう。

従業員にメリットが大きい一方、労務管理はより高度かつ複雑に

新しいフレックスタイム制は、週休3日制や半休制度とも相性が良い反面、制度設計の際はより高度な法令に関する知識が必要となります。また、勤怠管理も従来型の1カ月ごとの集計だけでなく、週ごと、複数月をまたがってなど、複雑さを増してきます。

新しい労働基準法が施行される前に、勤怠管理システムを見直したり、勤務に関するルールについて専門家へ相談したりするなどして、今のうちに対応を検討しておくとよいでしょう。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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