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年次有給休暇が変わります

2019年4月から! 新しい年次有給休暇がスタート

年次有給休暇は、労働基準法で定められたリフレッシュのための休暇です。2019年4月1日から、年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者について、会社は最低でも5日分の休暇を取得させることが義務付けられます。

[2018年10月15日公開]

年次有給休暇の基礎知識

年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復し、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことです。その名のとおり「有給」で休むことであり、取得しても賃金が減額されません。

年次有給休暇が付与される要件は、(1)雇い入れの日から6カ月経過していること、(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと、の二つで、勤続年数に応じて毎年10日~20日が付与されます。

年次有給休暇についてのパンフレットは厚生労働省、東京労働局のWebサイトでご覧いただけます。

年次有給休暇の時季指定(労働基準法第39条第7項、8項)

今回の改正により、会社は年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者について、休暇発生の基準日から1年以内に、労働者ごとに5日分の休暇を、時季を定めて取得させなければならないこととなりました。これはつまり、年間に最低でも5日は休暇を取得させる義務がある、ということになりますが、労働者が既に取得消化した分や既定の計画年休分については、この5日から控除できることになっています。

なお、会社が時季を指定し、計画的に年次有給休暇を付与する場合は労使協定が必要です。こちらも忘れずに作成するようにしましょう。

年次有給休暇の国際基準

年次有給休暇については、ILO(国際労働機関)第132号条約という国際ルールがあります。
この条約では、

  • 労働者は1年勤務につき3労働週(労働日が週5日なら15日)の年次有給休暇の権利を持つ。
  • 有給休暇を受ける資格取得のための最低勤務期間は6ヶ月を超えてはならない。
  • 休暇を取る時期は、原則として使用者が当該被用者またはその代表者と協議して決めることとする。

といった現在の日本の年次有給休暇がおおむねクリアしている内容もある一方で、

  • 休暇は原則として継続したものでなければならないが、事情により分割を認めることもできる。ただし、その場合でも分割された一部は連続2労働週を下らないものとされる。
  • 病気やけがによる欠勤日は、一定の条件下で年休の一部として数えないことができる。

などといった、日本の現状から鑑みるとまだまだ程遠い内容も含まれています。現在、日本をはじめ多くのアジアの国々はこの条約には未批准ですが、年次有給休暇に対する考え方を学ぶうえでは参考になるものがあります。

年次有給休暇の取得率を上げるアイデア

日本の年次有給休暇は、残念ながら取得率が低いことも改善すべきポイントの一つです。休暇の取得率をアップするためには、どのような方法があるのでしょうか。

1:長期休暇を後1日増やす

ILO条約の考え方にも沿っていて、比較的取り組みやすい例としては、夏季休暇や年末年始休暇などの既存の大型連休に年次有給休暇をそれぞれ後1日加える、というものがあります。取引先の休暇と合わせるなどして、可能な限り連続休暇を増やしてみてはいかがでしょうか。

2:アニバーサリー休暇を創設

従業員自身の誕生日や家族の記念日を休暇とする制度です。「結婚記念日や子供の行事、田舎に住む両親に会いに行くなどもOK」などと、記念日の解釈の幅を広げて運用すると、家族構成の違いから来る不公平感なども回避できるかもしれません。

3:飛び石連休を有給休暇に

休日が平日を挟んで並ぶ、いわゆる飛び石連休について、年間の労働日カレンダーを作成する際に、中日の平日も休暇とすることにより、連休の取得が可能となります。

4:月に1回、半日で帰れる日を作る

毎月1回半日休暇を取得した場合、年間で6日分の年次有給休暇を取得することができます。平日に半日で帰宅できるため、雑用をこなしたり、映画を見に行ったりとリフレッシュするのもよいでしょう。

5:休暇を取得しやすい職場づくりをする

自分が抱えている業務を従業員同士で共有したり、休暇を申請したりしやすいフローを作るなど、休暇を取得できる職場環境づくりも大切なポイントです。

長期休暇やアニバーサリー休暇は全員を対象に一律休みとし、飛び石連休や半休時の休暇取得は「有給休暇奨励日」などとして、休暇の取得率が低い従業員や休暇を必要としている従業員に対して休暇取得を促進する日、などと区別して規定してみるのもよいかもしれません。

年次有給休暇の管理は、労働基準監督署の重要なチェックポイントに

今回の改正を踏まえて、今後の労働基準監督署の臨時検査などでは年次有給休暇の付与日数、残日数などの管理状況、きちんと有給を取得させているかなどのチェックが一段と厳しくなることが予想されます。

近年では、半休に加え、時間単位の休暇取得も可能となったことから、年次有給休暇管理の煩雑さに頭を悩ませる経営者、人事・総務担当者の方々も少なくありません。そういった場合、まずは年次有給休暇の管理体制を整えることから始めてみてはいかがでしょうか。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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