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働き方改革の一つ「勤務間インターバル」とは?

勤務間インターバル制度で、業務の計画性と従業員の健康管理を両立しよう!

ワークライフ・バランスの推進や、働く人々の健康管理に効果的とされる勤務間インターバル制度。この制度を導入する過程で、企業にとっても多くのメリットがあるようです。

[2018年12月17日公開]

勤務間インターバル制度とは

勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保する制度です。

2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定されました。

勤務間インターバル制度の導入は義務ではありませんが、2019年4月1日からの施行に向けて動き出す企業は徐々に増えてきています。

勤務間インターバル制度導入のための事前準備

  • 現在の勤務時間を適正に把握する。
  • 職種や部門、業務内容ごとに何時間のインターバル導入が可能か検討する。
  • 制度を導入した場合のシミュレーションをしてみる。
  • 繁忙期の負担を分散したり、減らすための業務改善を検討したりする。
  • 現状の納期や業務スケジュールといった計画に悪影響を及ぼさないか再検討する、など。

勤務間インターバル制度導入のためにはまず、インターバルが取れていない原因、つまり、深夜にまで及ぶ残業や、長時間労働がなぜ起きているのかという原因を探る必要があります。

勤務間インターバル制度のメリットおよび留意点

会社にとってのメリット

  • 勤怠管理ツールなどを使用すれば、比較的簡単に運用できる。
  • 規定の整備等は必要だが、コストをあまりかけずに制度を導入できる。
  • 業務への計画性が求められるため、結果として総労働時間を削減しやすい。
  • 一定の休息時間を義務付けることで、従業員の健康管理ができる。

従業員にとってのメリット

  • フレックスタイム制とあわせて導入する場合は、柔軟な働き方ができる。
  • 繁忙期であっても、休息時間の確保を意識しながら働くため、健康管理がしやすい。
  • 終業時刻や、明日の始業時刻を逆算して働く必要があるため、業務に計画性が生まれる。

留意点

  • 繁忙期であっても、深夜遅くまでの残業や早朝からの勤務ができないため、事前に繁忙期の業務を軽減できるような業務の計画性、効率化が求められる。
  • 勤務間インターバル制度の導入が困難な職場は、人員配置や納期の設定の見直しを図ることにより、導入可能となる場合がある。
  • 残業が当たり前になっている職場では、従業員一人一人の意識改革から始めることが必要な場合もある。制度の導入に向けては、まず導入に先立つ研修や制度の周知が必要となる。

勤務間インターバル制度、導入のカギ

勤務間インターバル制度に関する申請手続きや勤務時間の取り扱いなどについては、事前に就業規則等の規定で定めておくようにしましょう。なお、勤務間インターバル制度を導入する場合は、職場に混乱のないよう、最初は適用する部署を限定したり、インターバル時間を短め(9時間程度)に設定したりしておくのも、一つの方法です。そして、従業員の意識改革も含め、インターバル制度に対する理解が深まり、準備が整ったところで、徐々に対象者を増やしていったり、インターバル時間を10時間、11時間……と延長したりしてみては、いかがでしょうか。

休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合の就業規則記載例

例えば、夜22時以降の残業を禁止し、朝9時以前の勤務を認めないこととする場合、11時間の「休息時間」を確保することができます。一方で、深夜の残業時間に上限を設けない場合、休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶことも考えられるため、以下のような想定も考慮した規則にしておく必要があります。

休息時間と翌所定労働時間が重複する部分を労働と見なす場合

(勤務間インターバル)第●条

  1. いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、●時間の継続した休息時間を与える。
  2. 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものと見なす。

始業時刻を繰り下げる場合

(勤務間インターバル)第●条

  1. いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、●時間の継続した休息時間を与える。
  2. 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下げる。

引用元:厚生労働省東京労働局 (参考)勤務間インターバル就業規則規定例(PDF:28.9KB)
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000162467.pdf)

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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