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退職代行サービスが流行!? 企業と働き手が築く良い関係とは?

貴重な人材を引き留められる企業に! 退職者インタビューには会社を良くするヒントがぎっしり

本人に代わって弁護士や専門業者などが退職の意思を伝える「退職代行」サービス。自己都合退職を巡って、職場では今、いったい何が起きているのでしょうか。

[2019年 1月21日公開]

自己都合退職に関する相談が急増している

厚生労働省によると、2017年に都道府県労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーに寄せられた民事上の個別労働紛争のうち、第1位が「いじめ・嫌がらせ(72,067件)」、次いで第2位が「自己都合退職(38,954件)」、第3位が「解雇(33,269件)」と、10年前(2008年)の相談内容と比較して大きな変化があることが分かりました。

民事上の個別労働紛争相談件数の推移

順位2008年の相談内容2017年の相談内容
1位解雇いじめ・嫌がらせ
2位労働条件の引き下げ【自己都合退職】
3位いじめ・嫌がらせ解雇
4位退職勧奨労働条件の引き下げ
5位【自己都合退職】退職勧奨

引用元:平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219.html)

自己都合退職がなぜトラブルになるのか

具体的な事例としては、正社員として勤務していた従業員が体調を崩したり、長時間労働に耐え切れなくなったりして上司に退職の意思を伝えたが、「代わりの人がいないので無理」「今まで育ててやったのにふざけるな」などと言われ、受け入れてもらえなかった、といった案件が幾つもあります。また、希望の退職日に退職できるよう話し合いを行いたいとして、アドバイスを求める相談者もいます。

自己都合退職に関する法律上のルール

そもそも自己都合退職は、民法第627条において「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定められています。就業規則や雇用契約において自己都合退職時のルールが定められていない場合には、この民法の考え方が大前提となります。

その一方で、通常、退職に関するルールは、個々の事業所が就業規則にて定めることとなっています(労働基準法第89条)。そのため、自己都合退職の場合には、仮に就業規則で「一カ月前までに本人が書面により会社に届け出ること」と義務付けられているなら、そのルールにのっとって会社が退職届を受理し、退職日になると雇用契約が終了します。

とはいえ、後任者への引き継ぎに時間を要するなどといった個別の事情により、「もう少し居てほしい」と引き留めたい場合も多いのではないでしょうか。そうした場合、業務が円滑に遂行されるように就労期間を若干延長し、後任者への引き継ぎが完了するころを退職日とすることなどもできます。ただし、本人の同意を得て、双方が合意する日程に調整することが大前提です。

しかしながら、何カ月も前に退職を申し出ることを義務付けたり、過度な引き留めを行ったりする行為は、日本国憲法第22条、職業安定法第22条で保障する「職業選択の自由」や、民法第90条「公序良俗」に反すると判断される場合もありますので注意しましょう。

退職者の意見には、離職率を下げるためのヒントが詰まっている

退職者に過度な引き留めを行うのではなく、適切なタイミングできちんとした退職の理由を聞くことで、給与や待遇、人間関係、職務内容など、会社にとって対処が必要な部分が浮かび上がってくることがあります。退職者は、会社に対して比較的率直な意見を述べてくれる場合も多いため、この「退職者インタビュー」には、会社を良くするためのヒントがたくさん詰まっています。

また、退職者もいずれ自社の顧客となるかもしれません。人手不足でなかなか気持ちに余裕がない場合もあるかもしれませんが、退職者が嫌な思いをすることなく会社を離れることができるよう、感謝の気持ちを持って送り出すことにより、自社のファンを地道に増やしてみてはいかがでしょうか。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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