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年5日の時季指定とは? 年次有給休暇の改正ポイント

年次有給休暇の改正ポイントを押さえて正しく運用! そのコツとは?

労働基準法の改正により、2019年4月から、中堅・中小企業を含む全ての企業において、各労働者が有する年10日以上の年次有給休暇のうち年5日については、使用者が時季を指定して各労働者に取得させることが義務付けられました。

[2019年 2月18日公開]

年次有給休暇と五つの改正ポイント

(1)対象者

原則として、正社員やフルタイムのアルバイトなど、年次有給休暇が年10日以上付与される労働者。ただし、週所定労働日数が4日でも、勤続年数が3年6カ月以上のパート労働者や、週所定労働日数が3日で、勤続年数が5年6カ月以上のパート労働者は年次有給休暇が年10日以上付与されるため、年5日の時季指定の対象となる。

(2)付与の時季

労働者ごとに、年休を付与した日(基準日)から1年以内に5日分、使用者が取得時季を指定して付与する義務がある。

(3)取得済みの場合

使用者は、年休を5日以上取得済みの労働者に対しては、時季指定を行わなくてもよい。

(4)労働者の意見聴取

使用者は、労働者に年休取得時季についての意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければならない。

(5)年次有給休暇管理簿

使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならない。

就業規則、労使協定への記載例

年次有給休暇に関するルールは、就業規則に規定することが義務付けられています。また、年次有給休暇の計画的付与制度を取り入れる場合には、就業規則に加えて労使協定を締結する必要があります(労使協定は労働基準監督署へ届け出る必要はありません)。

就業規則の記載例

第●条 年次有給休暇の時季指定

年次有給休暇が年10日以上与えられた労働者に対して、付与日から1年以内に、その労働者が有する年次有給休暇のうち年5日について、労働者の意見を尊重したうえで、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、既に労働者が取得した日数分は5日から控除するものとする。

第●条 年次有給休暇の計画的付与

前条の規定にかかわらず、労働者代表との書面による協定により、各労働者の有する年次有給休暇日数のうち年5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して取得させることがある。

労使協定の記載例

労使協定の記載例をご用意しました。ぜひ参考にしてみてください。

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年次有給休暇の計画的付与
に関する協定書(一斉付与型)の例
年次有給休暇の計画的付与に関する協定書(一斉付与型)の例(PDF:594KB)年次有給休暇の計画的付与に関する協定書(一斉付与型)の例(Word)
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年次有給休暇に関する罰則

年次有給休暇に関する違反は、労働基準法による罰則が適用されます。この違反は、対象となる労働者一人につき一罪として取り扱われるため、注意が必要です。万が一、労働基準監督署から是正勧告等を受けることになった場合は、速やかに改善を図るようにしましょう。

内容罰則
年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合(労働基準法第39条第7項)30万円以下の罰金
使用者による時季指定を行う場合で、就業規則に記載していなかった場合(労働基準法第89条)30万円以下の罰金
使用者による時季指定を行わない場合で、労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合(労働基準法第39条)6カ月の以下の懲役、または30万円以下の罰金

参考資料:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf)

年次有給休暇管理簿を作成しよう

このたび、年次有給休暇の時季指定義務化に伴い、「年次有給休暇管理簿」を作成し、付与期間中およびその満了後3年間保存しなければならないこととなりました。
年次有給休暇管理簿は、労働者名簿や賃金台帳とあわせて調整したりします。また、必要なときにいつでも出力できる仕組みであれば、勤怠管理システム上で管理することも可能です。
法令順守や生産性向上の観点からも、年次有給休暇の付与や取得状況をスムーズに管理したいものですね。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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