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労働安全衛生法の改正で変わる企業の責務とは?

働き方改革で、職場の安全・健康管理も変わる

労働安全衛生法等の改正により、2019年4月1日から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されています。具体的には、産業医や事業者(企業)、衛生管理者、安全衛生委員会の役割が明確に定められることで、より積極的な職場の安全衛生管理体制が求められるようになっています。

[2019年 4月15日公開]

従業員数50名以上になったらやるべきこととは?

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、以下の対応が義務付けられています。

  • 衛生管理者の選任・報告
  • 安全管理者の選任・報告(一部業種のみ)
  • 産業医の選任・報告
  • (安全)衛生委員会の実施
  • 健康診断結果報告書の提出
  • ストレスチェック制度の実施

今回は、衛生管理者、産業医、衛生委員会といった「産業医・産業保健機能」について改正点を中心にご説明します。

従来の安全衛生管理体制と、働き方改革で変わるもの

従来の安全衛生管理体制は、「議題がない」、「何を話し合えばいいのか分からない」、産業医の先生と契約はしているものの「何をやってもらえばいいのか分からない」など、制度が形骸化しやすい傾向にありました。

そこで今回の法改正は、長時間労働やメンタルヘルス不調などで健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さないために、産業医による面接指導や健康相談等を確実に実施することを目的として行われました。

事業者(企業)の責務とは?

労働安全衛生法の改正により、事業者が行うこととなった主な責務は以下のとおりです。

産業医選任の周知義務

常時、各作業場に掲示するなどし、産業医の選任を労働者に周知する義務があります。

産業医解任時の衛生委員会等への報告

産業医の辞任・解任時に衛生委員会等へ報告する義務があります。

衛生委員会等の意見等の記録・保存

産業医の勧告を受けた際の内容や衛生委員会の意見、その時講じた措置の内容などには3年間の保存義務があります。 衛生委員会等の議事録などに記載して保存しておきましょう。

事業者の産業医への権限付与・情報提供

労働者に対して必要な措置を取ることを指示できるようにするため、産業医に権限等を付与し、労働者の健康管理等に必要な情報を提供する必要があります。

健康相談の体制整備

労働者が安心して産業医等に相談できるよう、環境の整備を行う必要があります。また事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理しなければなりません。

衛生管理者の役割とは?

一方、企業の衛生管理を担う衛生管理者には以下のような役割があります。

毎週1回の職場巡視義務(定期巡視)

少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害の恐れがあるときは、労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じます。

健康診断の実施や、労働災害の再発防止対策等

その他、衛生委員会への出席等、職場の衛生管理に必要な措置等を講じます。

衛生委員会の実施

衛生委員会では、以下のような内容について話し合います。

  • 最近発生した労働災害があれば、その再発防止策について
  • 新入社員への安全教育の実施状況
  • 健康診断結果、ストレスチェック結果を受けての検討会議
  • 衛生管理者が行う「職場点検チェックリスト」を元に、職場環境について話し合う
  • インフルエンザ等の感染症予防について
  • オフィスのブルーライト対策について
  • オフィスの照度(150ルクス以上、ちらつき、まぶしさがない)は適正か
  • 換気、空調システムに問題はないか(一酸化炭素50ppm以下、二酸化炭素濃度0.5%以下)
  • 机や椅子の高さは適正か

衛生委員会の議事録(例)

衛生委員会の議事録は3年間の保有義務があります。ぜひ参考にしてみてください。

PDF形式のファイルはご自由にダウンロードできます。編集可能なWord形式のファイルもご用意しましたので、こちらはぜひログインしてご利用ください。

参考書式フリーダウンロードPDF形式編集できるExcel形式
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安全衛生委員会の議事録(例)安全衛生委員会の議事録(例)(PDF:583KB)安全衛生委員会の議事録(例)(Excel)
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職場の安全衛生管理には、労使の協力が不可欠

事業者や衛生管理者、産業医、労働者が一体となって、職場の安全・健康管理に積極的に取り組むことが、働きやすい職場づくりへの第一歩となります。他社の取り組みなども参考にしながら、自社の課題を少しずつクリアしていってはいかがでしょうか。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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