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障害者雇用状況報告書と障害者雇用の基本ルールとは?

障害者の雇用状況を正しく把握・報告しよう

国の機関の約8割が、各省庁で雇用する障害者数を水増しして報告していた問題で、国の制度への信頼が大きく揺らいだのは記憶に新しいことと思います。今回は、障害者雇用に関する基本ルールと、毎年6~7月に届け出る「障害者雇用状況報告書」の記載方法についてご説明します。

[2019年 5月20日公開]

障害者雇用状況報告書とは

従業員を45.5人以上雇用する事業主は、毎年6月1日現在の障害者雇用に関する状況を「障害者雇用状況報告書」にて、ハローワークに届け出する義務があります(障害者雇用促進法43条第7項)。

従業員数45.5人以上の事業所には、毎年5月下旬~6月上旬ごろに役所から届け出用紙が届きますので、必要事項を記載のうえ指定の期日(毎年7月15日ごろ)までに提出しましょう。なお、対象事業所にもかかわらず用紙が届かない場合は、ハローワークのホームページからも様式のダウンロードが可能です。

法定雇用率とは

従業員を45.5人以上雇用する事業主は、障害者を雇用し、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする必要があります。(障害者雇用促進法43条第1項)

「法定雇用率」とは、障害のある人を雇用する割合で、国や公的機関は「2.5%」、民間企業は「2.2%」と決められています。例えば、民間企業で従業員を46人雇用している企業は、週所定労働時間30時間以上の常用労働者である障害者を1人雇用する必要があります。

雇用障害者数のカウント方法

雇用障害者のカウント方法は、障害の程度や勤務時間によって異なります。対象となる障害者を1人雇用した場合のカウントの仕方は、次のとおりです。

障害者の分類障害の程度常用労働者
(週所定労働時間30時間以上)
短時間労働者
(週所定労働時間20~30時間未満)
身体障害者身体障害者手帳の等級が3級から6級に該当する方1カウント0.5カウント
重度の
身体障害者
身体障害者手帳の等級が1級または2級に該当する方2カウント1カウント
知的障害者児童相談所、障害者職業センター等により知的障害者と判定された方のうち、重度以外の方1カウント0.5カウント
重度の
知的障害者
上記のうち、知的障害の程度が重いと判定された方2カウント1カウント
精神障害者精神保健福祉手帳の交付を受けている方1カウント0.5または1カウント(例外あり)

なお、法定雇用率達成に必要な雇用障害者数の計算は「常時雇用労働者数(人)× 2.2 /100 = 雇用障害者数(人・端数切り捨て)」で求められます。

障害者雇用納付金の納付

常時雇用労働者数が100人を超える事業主で、障害者雇用率(2.2%)未達成の場合は、原則として、法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付しなければなりません。なお、一定の条件に該当すれば、特例で納付金額が減額される場合があります。

障害者雇用調整金の支給

一方、常時雇用労働者数が100人を超える事業主で、障害者雇用率(2.2%)を超えて障害者を雇用している場合は、その超えて雇用する障害者数に応じて1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。

障害者雇用納付金制度の概要

障害者雇用納付金制度について詳しく知りたい方は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構のWebサイトをご参照ください。

働きたい障害者を社会全体でサポート

一定規模以上の企業には、障害者の雇用が義務付けられていますが、実際には、障害者の雇用に関するノウハウとその蓄積が不足しており、二の足を踏んでいる企業も多くあるようです。まずは、障害のある方ご本人の能力や特性を十分に理解したうえで、その方に適した業務に就いてもらうことが重要です。

また、知的障害や精神障害をお持ちの方は、上司や同僚に、ほかのスタッフのサポートが得意なタイプの方がいると、安心して仕事に専念できるのではないでしょうか。能力の違いを個性と捉え、障害のある方もそうでない方も、ともに職務に励むことができる職場づくりを目指してはいかがでしょうか。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。
  • *本稿では、大塚商会の表記ガイドラインによる表記「障がい、障がい者」と、公的機関等にて定められた名称「障害、障害者」が混在することによる読みにくさを防ぐために「障害、障害者」表記で統一しました。

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