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老後の資金はいくら必要? 年金のしくみ超入門

老後の資金はどうすればいいの? まずは「土台」となる公的年金制度をおさらい

金融庁が2019年6月3日にまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」が波紋を呼んでいます。現役社会人の皆さんも漏れなく「人生100年時代」と呼ばれる超・高齢社会を迎えるに当たり、老後の準備はどう考えればよいのでしょうか。

[2019年 7月16日公開]

公的年金制度の概要

公的年金とは、国民年金、厚生年金保険、共済年金の3種類で、日本国内に住所のある全ての方が加入を義務付けられています。また、その方の働き方により加入する年金制度が決まっています。

公的年金の名称加入対象者
国民年金日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人。
厚生年金保険厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人。
共済年金公務員・私立学校教職員など。

公的年金等は高齢者世帯の収入の7割

現在、日本国内における高齢者世帯の収入のうち、7割を公的年金・恩給が占めています。

データ出典元:厚生労働省「いっしょに検証! 公的年金」はじめに~公的年金、もっと知ってください
(https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/introduction/index.html)

公的年金のメリット

1)生涯にわたって受給できる

老齢年金は、終身で(亡くなるまで)年金を受給できます。長生きして、生活資金がなくなるというリスクに備えることができます。

2)賃金上昇や物価変動に応じて給付額をスライド

日本の年金制度は、アメリカやドイツなど諸外国の財政方式と同様に、賦課(ふか)方式を基本としています。また、「年金積立金」を運用することによって、積み立て方式のメリットも生かした財政運営を行っています。

方式積み立て方式賦課方式
仕組み現役時代に積み立てた積立金を原資として、将来年金を給付する方式現役世代が払ったその保険料で高齢者世代に年金を給付する(世代間扶養)方式
メリット積立金を原資として、運用収入を活用できる。インフレや給与水準の変化に対応しやすく価値が目減りしにくい。
デメリットインフレによる価値の目減りや、運用環境の悪化で、年金の削減が必要となる。現役世代と年金受給世代の比率が変わると、保険料負担の増加や年金の削減が必要となる。

3)障がいを負ったり、家族が亡くなったときに対応できる

公的年金は老後に対する備えだけでなく、障がいを負った場合に受けられる障害年金や子供が小さいうちに配偶者を亡くした遺族などへの遺族年金といった保障もあります。

4)年金給付の財源の2分の1は国庫負担

公的年金の給付財源は、社会保険料として支払った分だけでなく税金も使われています。

(1)保険料収入
現役世代が支払った保険料。
(2)国庫負担
年金給付財源として、税負担をもとに国が支出するもの。基礎年金の給付は1/2が国庫負担。
(3)積立金
被保険者が納めた保険料のうち、そのときの年金給付に使われなかった分を積み立てたもの。現在は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF:Government Pension Investment Fundの略)が運用を行っている。

5)支払った保険料は全額社会保険料免除

支払った保険料は税制上、所得からその全額が社会保険料控除として控除されます。

公的年金のデメリット

1)少子高齢化で生産力が低下した場合の影響がある

少子高齢化に伴い、現役世代が減り年金受給世代が増えると、保険料収入が減少するため、保険料の増額や年金の削減が必要となる可能性があります。

引用元:厚生労働省「いっしょに検証! 公的年金」日本の公的年金は「賦課(ふか)方式」~どうして積み立てておけないの?(https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/finance/finance02.html)

2)運用のプロも赤字を出すことがある

2019年2月、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人:GPIF(Government Pension Investment Fund)は、2018年10月~12月期で四半期ベースでは過去最大の14兆8,039億円の運用損が出たと発表しました。

年金資産の市場での運用を始めた2001年度以降の累積の黒字額は56兆6,745億円、年率2.73%の運用実績という運用のプロであっても、市場悪化により短期的には赤字を出すこともあります。とはいえ、積立金は年金財源の一部であることから、ただちに年金給付に影響を及ぼすことは考えにくいですが、運用環境の悪化が続くようであれば、将来的に年金額の削減が必要となる可能性もあります。

「ねんきんネット」を見てみよう!

「ねんきんネット」は、日本年金機構のホームページからログインするだけで、ご自分の年金記録を確認できます。また、将来受け取る年金の見込み額をさまざまな条件に応じて試算できます。

ログインには、以下の情報が必要です。

  1. アクセスキー(「ねんきん定期便」などに記載されている17ケタの番号です。アクセスキーには有効期限があります。)
  2. 基礎年金番号(年金手帳などに記載されている10ケタの番号です)
  3. その他、個人情報等

まずは「老後にいくらもらえるか?」を正しく把握しよう!

「老後にいくら公的年金が受け取れるのか」「退職金や確定拠出年金等はいくらもらえるのか」などを、まずは正しく計算することが重要です。法律の改正や、景気の悪化、インフレによる価値の目減りなどもあるため、厳密な金額を算出することまでは不要ですが、概算額だけでも把握できれば安心感につながるかもしれません。

一方、現時点で「足りない」と感じる老後の資金であれば、今から家計の見直しなどをしてみるのもよいでしょう。小まめな軌道修正で、老後の生活資金を確保していってください。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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