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障がい者雇用で変わる企業風土

障がい者雇用が与える、業績と人材育成への影響について

皆さんは、障がい者が働く職場を訪れたことがありますか? 障がいのある社員が、ひたむきに働く姿や、健常者の社員が小まめにコミュニケーションを取りにいくことで生まれる、愛情と安心感のある空間は、その会社の財産とも言えるでしょう。

[2019年11月18日公開]

障がい者雇用の基礎知識

障害者雇用促進法における障がい者とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」とされています。

障がい者の法定雇用率については、「障害者雇用状況報告書と障害者雇用の基本ルールとは?」も併せてご参照ください。

障がい者雇用が企業に与える、良い影響とは

障がいのある社員を雇用する場合、企業側はバリアフリー化や小まめなコミュニケーション、障がいとその対応に関する知識を深めるなど、努力しなければならないことがたくさんあります。もちろん、これらの努力を重ねたうえでもなかなか上手くいかない場合もありますが、大きな壁に何度も挑むことによって、企業や経営者、スタッフ同士がぐんと成長する場合も多々あります。

今回は、障がい者雇用によって企業が大きく成長した例を、五つにまとめました。

1.健常者社員のコミュニケーション能力が各段にアップする

障がいのある社員の特性を見極めること、日々の体調を気にかけることは、障がい者を雇用するうえで重要なポイントになります。同じ職場にいる多くのメンバーが、障がい者社員とよくコミュニケーションを取るようになることで、健常者社員同士も、お互いの変化に敏感に気づけるようになり、コミュニケーションが豊かになります。

2.職場のやる気がアップする

発達障がいのある社員の中には、休憩時間になっても仕事に熱中するあまり、声をかけない限り仕事をし続ける人もいます。また、「たくさんできたね。助かったよ」「○○さん、きれいにしてくれてありがとう」などの声をかけると、心からうれしそうな表情をする知的障がいの方も多くいます。素直で一生懸命に働く人がいて、優しい言葉に満ちた職場は、ギスギスした人間関係を和らげたり、心を動かしたりする力があるように感じます。

3.会話が増え、明るい職場になる

お昼休みや仕事の合間など、障がい者社員を囲んで話が盛り上がることもあります。共に働く仲間のことを知ろうとする会話、お天気や今朝のニュースなどのたわいもない会話、仕事で必要な情報の共有など、ポジティブな会話と笑顔が、業務や接客の質も必然的にアップしていきます。

4.マニュアル化が進むこと

障がい者社員を受け入れるにあたり、どんな作業をやってもらうのが良いか、まずは業務の棚卸しが必要となります。その過程で、もっと効率の良い作業方法が見つかったり、全体最適が実現できる作業工程を示すマニュアルや、ケガや事故を防止するための手順書なども作られたりすることが多くあります。
また、障がい者社員がよく迷ってしまうのが「ちょうど良い」とはどのくらいなのかが分からないことです。例えば雑巾の絞り具合などを、はかりを使って具体的な数値(この場合はぬれ雑巾の重さ)などで示すことなどが必要になります。普段何気なくやっていることでも、環境を整備する際の根気強さと気配り、頑張りが重要となってきます。

5.単調な仕事が得意な人もいる

あくまでも一部ではあるものの、障がい者社員の能力が発揮できる点の一つと言えば、単調な繰り返し仕事が得意な方が多いということでしょう。手順さえはっきりと決めてあげれば、非常にミスが少ないという話も耳にします。キャベツの千切りやデータ入力、清掃やシュレッダーの業務など、作業自体がその人の特性にマッチすれば、単調な仕事でも高い集中力を維持してやり遂げてくれます。

障がい者も健常者も、共に成長していける職場づくりをめざして

今すぐ障がい者を雇用する予定が無くても、「いつか、障がい者を雇うかもしれない」と考えて、日々のコミュニケーションを大切にしたり、マニュアル作りや、ケガや事故の起きにくい環境づくりなど、後回しになりがちな業務に取り組んだりすることは、それだけで価値のあることと言えるでしょう。障がい者も健常者もスタッフ全員が共に成長していける職場環境が整っていくと良いですね。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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