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人事制度の新潮流~アフターコロナの人事制度とは~

働き方改革や新しい生活様式。どうなる? これからの人事制度

テレワークに、オンライン飲み会――。新型コロナウイルス感染症の拡大は働き方や生活様式にとどまらず、私たちの考え方や生き方にも変化をもたらすきっかけを与えたように思います。社会が大きく変わる中で、変わらず大切にすべきことは何か? 人事制度も今、大きな変革の時を迎えています。

[2020年 7月20日公開]

人事制度を取り巻く社会的変化

1960年代以降の経済成長が今日までの日本のビジネスを支えてきました。高度経済成長期を支えた、終身雇用や年功序列――。ところが、1990年代以降のバブル崩壊とともに、働く人の意識も少しずつ変わり、長時間労働や過労死などの労働環境に対する意識が高まってきています。

人事制度も産業構造や社会の変化とともに少しずつ変わっていきます。2020年のコロナショック以降の日本の人事制度は、どう変わっていくでしょうか。三つの主なキーワードを基に考えてみましょう。

1.個人の人生の充実と経営理念

近年、「個人の人生の充実」についての考え方や価値観に変化が生じてきているようです。今までは「本当の自分」と「会社用の自分」を使い分けて、「仕事とプライベートを両立」することが人生の充実と考えられていました。しかし仕事や会社を「人生の目的」と切り離して考えるのではなく、「この会社は自分の人生の目標を達成できる会社なのか」という、より大局的な考え方をする人が増えてきているのではないでしょうか。

例えば「好きな時間に、好きな場所で働きたい」と思うなら、必然的に「自分はいつ・どこで・どのような暮らしをしたいのか」ということを考えるでしょう。

一方、「自分のやりたいことができる会社に就職したい」という希望があるなら、自分が今まで仕事を通じて培ってきた知識やスキルだけでなく、普段どんなことに興味を持っているのか、趣味や副業などにも目を向け、自分自身のどんな知識やスキルを深く掘り下げてみたいか、などを考えるかもしれません。

企業が人事制度について考えるうえでの重要な第一歩は、経営理念について再度検討してみることです。経営者であれば、自らが「自分の人生を通して、どんな目的を達成したいのか」を再度考えてみるのも良いでしょう。

経営者の言葉に説得力があり、考え方にも賛同する人が多ければ、それらは顧客や社員を引きつける会社の個性となっていきます。

2.フラットな組織

今までのマネジメントといえば、マネージャー(部長)・リーダー(課長や係長)・プレーヤー(主任や一般社員、アルバイト、パート社員)などの階層からなる等級制度・ピラミッド構造の中で、上司が部下を管理するという一方通行の手法が主流でした。昇格や昇進を経験したことのある方なら、この等級を一段ずつ上がっていくことの達成感を味わったこともあると思います。

しかしながら近年一部の企業では、売り上げや経営計画といった情報を階層(等級)に関係なく開示して、みんなで議論する場を設けたり、階層そのものをできる限りなくしたりして、比較的上下関係のフラットな組織をつくる傾向があります。

フラットな組織のメリットの一つは、どのような立場や階層(等級)の社員であっても、会社をより良くするためどうしたらよいかを考え、意見を発言しやすくなる点でしょう。一方、デメリットは各社員がそれぞれの役割と目指すべき方向性を十分に理解していないと、指揮命令系統が不明確なため組織として成り立たなくなってしまうということです。

フラットな組織がうまく機能すれば、業務効率アップなども図れます。しかし業務内容や組織風土により、フラットな組織がマッチする場合もあれば、そうでない場合もあります。フラット型組織を導入する際はよく検討し、実際に導入した後も定期的に見直しをすることで、より良い組織になっていくでしょう。

3.セルフマネジメントという考え方

個人の人生の充実やフラットな組織について考えてきましたが、あわせて重要となるのが「セルフマネジメント」です。セルフマネジメントとは、各社員が自分の役割と目指すべき方向性を十分に理解し、自分で目標を立て自らを成長させていくことを指します。

もちろん、これにより上司がマネジメントを一切やらなくてもよいということにはなりません。日々のコミュニケーションや定期的な面談を通じて、部下へフィードバックを行ったり、一部の社員に業務が集中しすぎないよう調整を図ったりすることなどはこれまで以上に上司の役割として求められていきます。また、職場内の良い人間関係を醸成し続けることもマネジメントの大事な機能になっていきます。

セルフマネジメントの考え方を取り入れることで、上司もまた一つ次元の高いマネジメントを行うことが求められます。部下の能力をしっかりと見極め、部下自身に一人一人の成長が企業の成長に直結することを実感してもらうことが重要です。結果として、会社全体の業績向上につながるからです。

立場を変えて、考えてみる

「自分が経営者だったら」「自分が採用担当者だったら」「自分が応募者だったら」と、いろいろな立場でさまざまな人生を想像してみると、新たな発見があるかもしれません。
会社の「良い点」「改善すべき点」を見つけて、採用や人材育成にもうまく生かせると良いですね。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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