役立つ! 総務マガジン

衛生委員会のテーマ選びと二つのポイント

衛生委員会をもっと有意義な会に

「衛生委員会は毎月のテーマ選びが憂鬱(ゆううつ)……」そんな声をよく耳にします。せっかく開催するなら、季節を感じるテーマにする、快適な職場環境を追求するなど、もっと有意義な会にしてみてはいかがでしょうか。

[2020年 9月23日公開]

衛生委員会に関する基礎知識

労働安全衛生法に基づき、一定の規模を有する事業場では衛生委員会を設置しなければなりません。

設置義務のある事業場
常時使用労働者数が50人以上の全ての事業場
  • *設置義務のない労働者数50人未満の事業場も、衛生に関する事項について労働者からの意見聴取の機会を設ける義務がある。
委員会のメンバー
  1. 総括安全衛生管理者、社長、店長、人事部長等、事業を統括管理する者、またはそれに準ずる者
  2. 衛生管理者
  3. 産業医
  4. 衛生に関し経験を有する労働者
  • *委員会の構成員の人数について法令上の定めはありません。
法令上の調査審議事項
  1. 健康障害を防止するための対策
  2. 健康の保持増進を図るための対策と実施計画の作成
  3. 労働災害の原因および再発防止対策で、衛生に係るもの
  4. 衛生に関する規程の作成
  5. 危険性または有害性等の調査・措置のうち、衛生に係るもの
  6. 衛生に関する計画の作成、実施、評価および改善
  7. 衛生教育の実施計画の作成
  8. 化学物質の有害性の調査と対策
  9. 作業環境測定の結果について
  10. 定期健康診断等の結果について
  11. 長時間労働による健康障害の防止と対策の樹立
  12. 精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立
  13. 労働基準監督署長等から文書により指導等を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること
開催について
毎月1回以上。開催後、議事の概要は労働者に周知し、議事録は3年間保存すること

こちらもあわせてご確認ください。

労働安全衛生法の改正で変わる企業の責務とは?(役立つ! 総務マガジン)

テーマ選びの二つのポイント

1.季節ごとのテーマを決め、毎年1回話し合う

毎月のテーマを1年分決めておくことにより、毎年1回、同じテーマで話し合うことができるため、そのテーマに関する取り組み状況の進捗(しんちょく)を年次で比較することができます。
ただし、状況により別の月とテーマを入れ替えたり、新しいテーマに差し替えたりすることがあってもよいでしょう。

4月健康診断健康診断受診率100%を目指して、健康診断の手配に努める。
5月食事と健康健康意識が高まるこの時期に、食生活の見直しを考える。
6月熱中症対策梅雨明けに向けて熱中症対策(水分補給や熱中症対策グッズの用意など)の実施について検討する。
7月ストレスチェックの活用ストレスチェックの結果が届いたら……。心の健康とストレスのメカニズムについて学ぶ。
8月睡眠と健康夏季休暇の時期はワークライフバランスや睡眠について見直してみては?
9月防災訓練等9月1日は防災の日。防災訓練に加え、ハザードマップの確認や非常用持ち出し袋を確認する。
10月運動と健康スポーツの秋。週に2日、軽く汗を流す程度の運動習慣を目標にする。
11月感染症予防対策(1)インフルエンザの流行前に、手洗い・うがいに加えて予防接種の案内をする。
12月アルコールと健康忘年会シーズンを迎えてお酒の適量を再確認し、お酒との付き合い方を見直す。
1月感染症予防対策(2)自宅や会社のマスク・アルコール消毒液などの備蓄状況を確認する。
2月労災・再発防止策今年度の労災事故発生状況の確認と、再発防止策について話し合う。
3月長時間労働防止策今年度の長時間労働者について、勤怠データ等を確認しながら適切な対応が施されていたか確認する。

2.「改善」をテーマに、職場のコミュニケーションも見直してみる

職場の人間関係は思いのほかストレスの原因となるため、職場のコミュニケーションも定期的に見直しが必要です。特にテレワークが普及する中で定期的にミーティングを行っているつもりでも、一部のメンバーが疎外感を抱いていたり、業務中にはなかなか打ち明けにくい仕事の悩みを抱えていたりすることもあります。

1日1回は、職場の仲間と「最近ハマっている趣味の話」「家族の近況」「近所にあるランチがおいしいお店」などの話題で雑談するのもよいでしょう。そうすることで、「最近元気がない」「一人で仕事を抱え込んでいるようだ」「体調を崩している」など、メンバーの不調にいち早く気付くことができるかもしれません。

このような日常的なコミュニケーションの実践を通して、衛生委員会で情報共有し、場合によっては今後の対応策を考えてみるのもよいでしょう。

職場の業務改善も衛生委員会で取り上げたいテーマ

職場の業務改善も同様に取り上げたいテーマです。床の配線コードが邪魔で作業の効率が落ちているなどということはありませんか? いつかそのコードが原因で転倒などの労災事故が起きるかもしれません。ヒヤリハット事例や、作業手順を改善すべき業務などについては、各メンバーに日ごろから気付いたら報告してもらうよう促しておきます。もし忙しいようであれば、付箋などメモでの報告でもよいでしょう。衛生委員会でそれらを取り上げることにより、不快な職場環境や危険な作業手順が改善され、労働災害の防止にも役立ちます。

また、これらの取り組みがオフィスワークの業務効率向上につながる場合もあります。作業時間の短縮等が実現し、結果として労働時間が短縮され、働き方改革の実現にも一歩近づくのではないでしょうか。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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