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「デジタル庁」創設でどう変わる? 私たちの働き方

日本のデジタル化を推進する、デジタル庁への期待

「デジタル後進国」とさえいわれる現在の日本。1980年代には高く評価された日本の技術力は、「デジタル庁」の創設で巻き返しを図れるのでしょうか。また、行政のデジタル化推進によって、私たちの働き方にはどのような影響があるのでしょうか。

[2020年11月16日公開]

行政のデジタル化推進について

日本でデジタル化が進まない理由は、行政の縦割りが原因だといわれています。政府はその悪弊を克服し、マイナンバーカードの普及や電子申請の実現、テレワークの定着、国と地方を通じたシステムの標準化など、行政のデジタル化に取り組もうとしています。それと並行して、これらを実現するために守られるべきセキュリティ対策や行政改革の推進も今後ますます重要となってきます。
そのような中、私たちの職場や働き方にはどのような変化が訪れるのでしょうか。

オフィスの移転、年末調整などの手続きはどうなる?

総務部、人事部などの管理部門を経験したことのある方なら、オフィスの移転に伴って税務署、年金事務所、公共職業安定所(ハローワーク)を巡回し、加えて公共料金の支払いなどでも何度も同じような情報を記入し届け出るといった手続きを煩わしく感じたこともあるのではないでしょうか。今後、これらの手続きは法人番号や電子認証等を活用することで、大幅に簡略化されるかもしれません。
また、マイナンバーカードの普及により、毎年、年末になると会社に提出する年末調整書類や各種控除証明書のやりとりが大幅に減ったり、給与担当者が行う税務署や地方自治体への届け出窓口が一本化されたりするかもしれません。

給付金、補助金、助成金の申請もオンラインが主流に

コロナ禍で外出自粛が広がったにもかかわらず、定額給付金や雇用調整助成金などのオンライン申請ではシステムの不具合が相次いで発覚し、従来どおりの書面による申請が必要となりました。また、書類に印鑑が必要なため出社したり、取引先に出向いたりした方も多かったのではないでしょうか。従来の書面による手続きは、テレワークやオンラインミーティングを妨げる要因にもなっています。

書面での申請は、書類を受け取る役所側も確認や審査に膨大な時間をかけることとなります。オンライン申請が主流となることで、申請する側の利便性は向上し、審査する側も速く的確に処理ができるようになるのではないでしょうか。

テレワークの定着とさらなる拡大

ITの活用や感染症対策に加え、行政のデジタル化によって書面での手続きや印鑑が必要な書類自体を減らすことができれば、テレワークが可能になる業務はさらに増えると考えられます。
テレワークのメリットとしては、自宅で仕事をすることで家族と過ごす時間が増えることや、通勤時間がなくなる分、自分の時間が増えることなどが挙げられます。

一方で、社内コミュニケーションが希薄になり孤独を感じたり、会社への帰属意識が低下したりすること、あるいはモチベーションを保ちづらいことなども問題となっています。これらについては今後の大きな課題といえるでしょう。

インターネットが苦手な方目線の優しさも大切

デジタル化が進んでも、働き手である私たちが急に変わることはできません。パソコンやインターネットが得意ならよいですが、必ずしもそういう方ばかりではないからです。デジタル化によって不要な格差を生まないようにしなければなりません。

当面の間は書面での手続きを平行して受け付けたり、税務署、市役所、ハローワークなどでは不得意な方に代わりパソコン操作などを代行してくれる職員を配置したりすれば、引き続き安心してサービスを受けられるのではないでしょうか。

同様に社内でも、インターネットが苦手な方には進んで手を差し伸べたり、社員がそれぞれの得意なことで互いにサポートし合ったりする組織風土があるとよいと思います。

デジタル時代だからこそ、働き手を大切にする職場に

今後のデジタル化の推進で事務手続きなどが減少し、テレワークや副業解禁など働き方は今以上に多様化していくでしょう。ただ一方で、多様な働き方によって労務管理はより複雑化し、人事部等の管理部門の負荷は大きくなる可能性があります。そのため、組織の在り方や従業員間のコミュニケーションに課題がある場合は、今のうちからそれらの改善に着手すべきなのかもしれません。

また、デジタル化の推進により「雑用」の度合いが減り、労働密度はより増すものと考えられます。集中して仕事をしたら、たまには職場の仲間と雑談したり、自分なりのリラックスタイムを設けたりして、適宜リフレッシュしましょう。
デジタル化の利便性を享受しながら、働き手に優しい職場であってほしいですね。

著者紹介

岩野 麻子(いわの あさこ)

特定社会保険労務士・健康経営アドバイザー。社会保険労務士 岩野麻子事務所代表。青山学院大学法学部を卒業し、大手化粧品メーカーに勤務。2007年5月に東京都中央区にて開業し、現在はスタッフ数名と共に中堅・中小企業の労務管理や給与計算サポートなどを行っている。

座右の銘は「働く全ての人々にQOL(生活の質)の向上を」。最近では、健康経営の推進にも力を注いでいる。(2018年2月22日時点の情報です)

社会保険労務士 岩野麻子事務所 (https://www.iwano-sr.com)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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