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成長企業を生み出す事業計画の予算策定6ステップ

事業を成功させるためには、実効性のある予算策定を

事業計画を立案する際、予算策定がきちんとできているでしょうか。事業計画の予算策定6ステップをご紹介します。立案担当者と経理担当者が力を合わせ、成功につながる予算策定を行いましょう。

[2018年 2月22日公開]

予算策定の流れ

事業計画を立てる際には、事業展開の計画と推進に必要な人員・経費が伴わないと失敗するリスクが高まります。そこで、事業計画に沿った予算策定を行う場合の流れを六つのステップに整理してご紹介します。

1.予算統括部門および担当者の決定
事業計画を立てる経営企画部が統括部門となる場合が多い。最終的に予算を財務諸表の形にする必要があるため、経営企画部と経理部が連携するとスムーズに進む。
2.予算作成チームの編成
現場の意見をくみ取った予算(行動計画)とするため、各部門から編成されたメンバーでチームやプロジェクトを組織。メンバーは管理職クラスが望ましい。新規の事業が伴う場合は人事部の参加が必須。
3.作成スケジュールの設定
予算の作成に要する期間は3~4カ月の場合が多いが、理想は2カ月。予算策定期間をなるべく抑えるのが成功の肝となる。
4.全社予算の部門割り振りとリソースの配分
過去の実績を基に、予算の目標値およびリソースを各部門に割り振る。これに従って各部門が予算策定に入る。
5.関係者間の調整
会社予算に基づく予算の目標値と各部門が立てた予算を調整する。
6.作成ルール・管理ルールの策定
策定後の管理が迅速かつ効率的に行えるように、フォーマットを統一するなど運用ルールを設定する。

1.予算統括部門および担当者の決定

予算は全社の事業計画に即して作成する必要があるため、事業計画を立てた部門が策定することが望ましいでしょう。一般的には経営企画部が担当します。

ただ、最終的に財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の形にする必要があることから、経理部が取りまとめることも考えられます。経理部は実績を集計することには長けているものの、事業計画や先の見通しといったものを管理するのは弱い傾向があることは留意しておきましょう。

財務諸表の形を理解すること自体はそれほど難しくありませんので、統括部門は経営企画部とし、必要に応じてそのサポートを経理部が行うという方がいいでしょう。

もちろん、会社によって数字に関しては経理部が全て管理する企業もありますので、自社の組織に照らして決定することが大事です。場合によっては策定を経営企画部、管理を経理部とする分業体制にすることも考えられます。

これ以降は、予算統括部門を経営企画部として進めます。

2.予算作成チームの編成

会社における経営企画部の役割にもよりますが、一般的に経営企画部は管理部門に属します。予算は事業計画を実現するための行動計画ですので、現場を知らずして作成することは困難です。

従って、各部門から1、2名程度を選抜し、予算作成チームを編成する必要があります。これにより、現場の意見をくみ取った予算策定が可能になり、より具体的な行動計画を組み立てることができるようになります。

選抜する対象は、各部門におけるキーパーソンが望ましいでしょう。具体的には部課長などの管理職クラスです。各部門のことが分かっている人間でないと、策定する行動計画に抜けが生じてしまう可能性があるためです。

予算の分類を部門ではなく、別の切り口で実施する場合は、各部門ではなく、分類に応じた人選を行う必要がありますが、少なくとも策定段階では人事部をチームに入れるようにしてください。予算の実効性を高めるには、人事評価を効果的に組み込む必要があります。

3.作成スケジュールの設定

一般的に予算の作成に要する期間は3カ月から4カ月といったところです。3月決算であれば、前年の12月からスタートするイメージになりますが、進行している期の予算管理が同時並行で実施されていますので、なるべく短期間で作成することが望ましく、可能であれば2カ月程度で作成するスケジュール感を目指してください。

予算は作成することよりもその運用をどうするかの方が重要となるため、作成に多大な時間と労力を投入しないように注意することが最も重要です。

予算作成に時間がかかってしまう主な要因は、事業計画の水準(経営者の目線)と部門作成の水準の乖離(かいり)です。その調整のために、部門からドラフトが上がってきては差し戻すということを繰り返すわけです。

これをいかに短縮するかが短期間の予算作成の肝となります。

参考書式

スケジュールの参考例をご用意しましたので、ぜひご覧ください。参考例は2カ月でスケジュールを組んでいます。

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4.全社予算の部門割り振りとリソースの配分

スケジュールが固まれば、設定したスケジュールに沿って予算を作成していきます。予算は各部門で作成することになりますが、各部門が自由勝手に作成すると、全社予算が想定しているものにならない危険性があります。

そもそも、予算は中期事業計画・短期事業計画に整合するように作成されるもので、一定程度の目標値が既に存在します。従って、その目標値を各部門に割り振るという手順が必要になります。

この割り振りにあたって、まず参照しなければならないのが過去の実績です。できれば3年分くらいの過去実績を、経理部から経営企画部および各部門にフィードバックします。

経営企画部は各部門の過去実績を参照しながら割り振っていきます。各部門も同様に自部門の過去実績を参照します。

また、部門予算を作成するうえで、投入できるリソース(資源)というものは限られています。リソースとは、人・物・資金です。このうち、資金については各部門が自由に使える裁量がないというのが通常です。

資金は、資金管理および財務を担当する部門(財務部など)との連携のうえで管理することになりますが、各部門には資金を配分するというより、物としての設備(投資)予算の割り振りという形で対応します。ただし、入金(回収)は各部門で責任を持って管理する必要があります。

この、予算やリソースの配分が完了してから、各部門で予算を策定することになります。

5.関係者間の調整

予算に求めるものは、立場によって異なります。経営者側からすれば、一定程度の利益を確保するために達成すべき予算は高めになりますが、実際に行動する現場からすれば、なるべく達成可能な予算とするために低めの予算設定が行われる傾向にあります。

これは、予算の達成具合を人事評価の基礎とするケースが多いために生じるわけですが、経営者と現場の温度差を埋めないことには予算が策定できません。前項の割り振られる全社予算は、経営者側が設定している予算ということになります。

この調整役が経営企画部になりますが、調整しやすくするためにも、策定段階のチーム編成が必要になってきます。現場の意見をくみ取らないと経営者サイドに立った予算策定が行われてしまい、その結果、策定された予算数値は、現場からすると高すぎるという不満の声が出てしまうからです。

それでは、どちら側に立った調整を行うべきでしょうか?

結論からいうと、経営者側に立った調整を行う必要があります。予算は経営者側が求める高い数値にしておかなければ予算の実効性が確保できないからです。

「何のために予算を立てるのか?」という問いをあらためて考えてみましょう。高収益で安定している企業であれば、それほど高いハードルは必要ないかもしれません。ただ、成長企業を目指すのであれば、成長するために何をするべきかを考えなければなりませんし、成長を実現するために具体的な行動計画を立てる必要があります。これこそ予算策定の目的なのです。

6.作成ルール・管理ルールの策定

予算は各部門がそれぞれ行動計画を基に作成するため、各部門独自のものになるわけですが、作成にあたって一定のルールが必要になります。ここでいうルールとは、いわゆる手続きのことです。

まず、予算の作成フォーマットは経営企画部で統一のものを用意します。各部門がバラバラなフォーマットを用いると、集計するのが大変になるばかりか、その後の運用に支障を来すことになります。

フォーマットはエクセルが一般的ですが、書式や数式が変更できないようにしておく必要があります。エクセルは集計が容易にできる半面、自由度が高いために入力ミスやエラーが起きやすいという特徴があります。特に取りまとめる経営企画部では、全部門からの膨大なデータを集計するために、ミスやエラーに気づきかないということが起こり得ます。

また、作成する予算数値には必ず算定根拠を示すことを義務付けます。算定根拠に至る行動計画も必要です。なお、作成のルールを策定する段階で同時に管理のルールも策定します。

参考書式

スケジュールの参考例をご用意しましたので、ぜひご覧ください。
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著者紹介

榎並 慶浩(えなみ よしひろ)

Gemstone税理士法人 代表

1975年兵庫県生まれ。税理士。都内の会計事務所勤務を経て、JASDAQ上場企業の財務部長、東証一部上場企業の経理部長を歴任。多面的な分析を得意とし、企業の中核で会社の基盤を強化してきた経験を生かし、2012年9月独立。会計戦略のアドバイザリーを行う傍ら、企業の勉強会、セミナー、執筆などの活動を行っている。

港区の会社設立支援 Gemstone税理士法人 (http://gemstonegroup.jp)

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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