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2021年版 使える助成金(育児・介護関連)

両立支援等助成金でワークライフバランスの向上を図る

仕事と生活を両立するワークライフバランス向上への取り組みが進んでいます。育児や介護など従業員の生活を支援するために、助成金の活用を検討してみましょう。

[2021年 9月22日公開]

両立支援等助成金とは

仕事と生活の両立支援や女性の活躍推進に取り組んでいる事業主のために設けられているのが「両立支援等助成金」です。これは育児や介護のための休暇を取得しやすくするための環境整備や、離職を防止するための取り組み、再就職の支援や不妊治療の支援、女性活躍加速化など目的別にコースが設定されています。2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響による休暇取得を支援する特例も加わりました。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
  • 介護離職防止支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例あり)
  • 育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例あり)
  • 不妊治療両立支援コース
  • 女性活躍加速化コース
  • 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性従業員が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい環境づくりへの取り組みを支援する制度です。育児休業や育児目的で休暇を取得した男性従業員を雇用している事業主に対して助成金が支給されます。

支給額と主な支給要件

(1)(2)男性労働者の育休取得の場合

  • 男性労働者が育児休業を取得しやすい職場環境づくりのための取り組み(*)を行う。
  • 男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続14日(中小企業は連続5日)以上の育児休業を取得する。

育児休業期間が5日以上14日未満の場合は所定労働日が4日以上、育児休業期間が14日以上の場合は所定労働日が9日以上含まれていることが必要となります。

<個別支援加算>

  • 男性労働者の育児休業の申し出日までに個別面談を行うなど、育児休業の取得を後押しする取り組みを実施した場合に支給します。ただし、育児休業等支援コース(育休取得時・職場復帰時)との併給はできません。

(3)育児目的休暇の導入・取得の場合

  • 育児目的休暇制度を新たに導入し、就業規則等への規定、労働者への周知を行う。
  • 男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場環境づくりのため、*に準じた取り組みを行う。
  • 上記の新たに導入した育児目的休暇を男性労働者が、子の出生前6週間から出生後8週間の期間中に、合計して8日(中小企業は5日)以上所定労働日に対して取得する。
  • * 取り組み参考例
    全ての従業員に対して男性労働者の育児休業取得に関する管理職や労働者向けの研修を実施する
    全ての従業員に対して男性の育児休業制度の利用を促進するための資料配布等を行う

生産性要件とは

助成金を申請する事業所において、「生産性要件算定シート」を用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合、助成金の割り増しなどが行われます。詳細は厚生労働省のWebサイトをご覧ください。

労働生産性を向上させた事業所は労働関係助成金が割増されます(令和3年4月1日)(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

介護離職防止支援コース

「介護支援プラン」を作成し、プランに沿って従業員の円滑な介護休業の取得・職場復帰に取り組み、介護休業を取得する従業員が生じた場合や介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両立支援制度)の利用者が生じた場合に助成金が支給されます。
介護支援プランは原則として対象労働者の介護休業開始前または介護両立支援制度利用開始前に作成しなければなりませんが、介護休業開始後または介護両立支援制度の利用期間中に作成することも可能です。ただし、介護休業終了後または介護両立支援制度利用終了後に作成された場合は支給対象となりませんのでご注意ください。

支給額と主な支給要件

(1)介護休業

<休業取得時>

  • 介護休業の取得、職場復帰について、介護支援プランを作成し、それに沿って支援することを事前に従業員へ周知する。
  • 介護に直面した従業員との面談を実施し、面談結果を記録し介護の状況や今後の働き方についての希望などを確認のうえ、介護支援プランを作成する。
  • 作成したプランに基づき、業務の引き継ぎを実施し、対象従業員が合計5日(所定労働日)以上の介護休業を取得する。

<職場復帰時>
休業取得時と同一の対象介護休業取得者である(休業取得時を受給していない場合は申請不可)とともに、休業取得時の要件に加えて、以下の要件を満たすことが必要となります。

  • 「休業取得時」の受給対象である従業員に対し、介護休業終了後にその上司または人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録する。
  • 対象従業員を、面談結果を踏まえて原則として原職等に復帰させ、原職等復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として3カ月以上継続雇用していること。

(2)介護両立支援制度(介護のための柔軟な就労形態の制度)

  • 介護休業の取得、職場復帰について、介護支援プランを作成し、それに沿って支援することを事前に従業員へ周知する。
  • 介護に直面した従業員との面談を実施し、面談結果を記録し介護の状況や今後の働き方についての希望などを確認のうえ、介護支援プランを作成する。
  • プランに基づき業務体制の検討を行い、以下のいずれか一つ以上の介護両立支援制度を対象労働者が合計20日以上(*1、2を除く)利用し、支給申請に係る期間の制度利用終了後から申請日までの間、雇用保険被保険者として継続雇用していること。

(3)新型コロナウイルス感染症対応特例

  • 介護のための有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)について、所定労働日を前提として20日以上取得できる制度およびその他の就業と介護の両立を可能とする制度を設け、あらかじめ従業員に周知する。
  • 対象従業員が介護のための有給休暇(新型コロナウイルス感染症対応)を合計5日以上取得する。
  • 対象従業員を休暇取得日から申請日までの間、雇用保険被保険者として継続雇用していること。

育児休業等支援コース

育休取得時・職場復帰時

「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って従業員の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を取得した従業員が生じた中小企業事業主に支給される助成金です。

支給額と主な支給要件

(1)育休取得時

  • 育児休業の取得、職場復帰についてのプランを作成しそれに沿って支援する旨を、あらかじめ従業員へ周知する。
  • 育児に直面した従業員との面談を実施し、面談結果を記録したうえで育児の状況や今後の働き方についての希望などを確認のうえ、プランを作成すること。
  • 作成したプランに基づき、対象労働者の育児休業(産前休業から引き続き産後休業および育児休業をする場合は産前休業)の開始日の前日までに、プランに基づいて業務の引き継ぎを行い、対象従業員に、連続3カ月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は産後休業を含む)を取得させる。

(2)職場復帰時

「(1)育休取得時」の助成金支給対象となった同一の従業員に対して、以下の全ての取り組みを行うことが必要です。

  • 対象となる従業員の育児休業中にプランに基づく措置を実施し、職務や業務の情報・資料の提供を実施する。
  • 育休取得時にかかる同一の従業員に対し、育児休業終了前にその上司または人事労務担当者が面談を実施し、面談結果を記録する。
  • 対象となる従業員については、面談結果を踏まえ原則として原職に復帰させ、原職復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6カ月以上継続雇用していること。
  • 「職場支援加算」は、代替要員を確保せずに、業務の効率化、周囲の社員により対象労働者の業務をカバーした場合に支給します。ただし以下の「代替要員確保時」と合わせて受給することはできません。

代替要員確保時

育児休業取得者の代替要員を確保し、育児休業後は対象の従業員を原職などに復帰させた中小企業事業主に助成金が支給されます。

支給額と主な支給要件

  • 就業規則に、育児休業取得者を育児休業終了後、原職に復帰させる旨を規定する。
  • 対象となる従業員が3カ月以上の育児休業(産後休業の終了後引き続き育児休業をする場合は、産後休業を含む)を取得し、事業主が休業期間中の代替要員を新たに確保する。
  • 対象となる従業員を上記規定に基づき原職に復帰させ、原職復帰後も申請日までの間、雇用保険被保険者として6カ月以上継続雇用していること。

職場復帰後支援

育児休業から復帰後、仕事と育児の両立が特に困難な時期にある従業員のために、以下の制度導入などに取り組み、利用者が生じた中小企業事業主に助成金が支給されます。

支給額と主な支給要件

  • 育児・介護休業法を上回る「(1)子の看護休暇制度(有給、時間単位)」または「(2)保育サービス費用補助制度」を導入していること。
  • 対象となる従業員が1カ月以上の育児休業(産後休業を含む)から復帰した後6カ月以内において、導入した制度の一定の利用実績((1)子の看護休暇制度は10時間以上(有給)の取得または(2)保育サービス費用補助制度は3万円以上の補助)があること。

新型コロナウイルス感染症対応特例

小学校などの臨時休校などにより子どもの世話をする従業員のために、有給休暇制度および両立支援制度を整備し、有給休暇の利用者が生じた事業主に助成金が支給されます。

支給額と主な支給要件

  • 小学校等が臨時休業などになり、それに伴い子どもの世話を行う必要がある労働者が取得できる特別有給休暇制度(賃金が全額支払われるもの)について、労働協約または就業規則に規定していること。
  • 小学校等が臨時休業などした場合でも勤務できる両立支援の仕組み(次のいずれか)を社内に周知していること。
    1. テレワーク勤務
    2. 短時間勤務制度
    3. フレックスタイム制度
    4. 始業または終業の時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度(時差出勤の制度)
    5. ベビーシッター費用補助制度など
  • 従業員1人につき、特別有給休暇を4時間以上取得させること。
  • 対象となる従業員が、特別有給休暇取得時または助成金の申請日において雇用保険被保険者であること。

申請期間

特別有給休暇を取得した日付に応じて申請期間が異なりますのでご注意ください。

不妊治療両立支援コース

不妊治療のために利用可能な休暇制度・両立支援制度の利用しやすい環境整備に取り組み、不妊治療を行う従業員の相談に対応し、休暇制度・両立支援制度を取得または利用させた中小企業事業主に支給される助成金です。

支給額と主な支給要件

(1)環境整備、休暇の取得など

  • 不妊治療と仕事の両立について「両立支援担当者」を選任するとともに、不妊治療と仕事の両立のための社内ニーズを把握し、利用可能な制度の周知を行う。
  • 両立支援担当者が不妊治療を受ける従業員の相談に応じ、「不妊治療支援プラン」を策定し、プランに基づき休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)以上労働者に取得または利用させること。

(2)長期休暇の加算

  • 休暇制度を20日以上連続して取得させ、原職に復帰させ3カ月以上継続勤務させた場合。

女性活躍加速化コース

女性従業員が、出産・育児などを理由として退職することなく、能力を高めつつ働き続けられる職場環境の整備を支援するための助成金です。職場での女性の活躍に関する状況把握・課題分析を行ったうえで、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき、課題解決にふさわしい数値目標および取り組み目標を盛り込んだ一般事業主行動計画を策定・公表・届け出を行い、取り組み目標を実施し、数値目標を達成した場合に支給されます。支給対象は中小企業の事業主です。

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給休暇制度を支援する助成金です。

支給額と支給要件

支給要件は、医師や助産師の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給(年次有給休暇で支払われる賃金相当額の6割以上)の休暇制度(年次有給休暇を除く)を設け、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて社内に周知し、当該休暇を合計 20日以上労働者に取得させた事業主に対して支給されます。対象期間は2022年1月31日までです。

  • ※ 上記に加えて、上記の休暇制度を設け、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容を含めて社内に周知し、当該休暇を5日以上労働者に取得させた事業主に対して助成金15万円(1回限り)が受給できる制度が設けられています(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金)。

参考

「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース」リーフレット(令和3年度版)(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金」リーフレット(令和3年3月版)(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

両立支援等助成金の今後

多様な働き方が広がると同時に、適正かつ適切なワークライフバランスの実現が重要な企業課題となってきます。また、少子高齢化とともに、男性の育児や女性が活躍できる労働環境の実現が企業の存続発展に欠かせない要素となります。家庭生活の充実は、仕事への集中力を高め生産性向上に寄与します。

両立支援等助成金制度の要件等は、働き方改革の推進に沿って随時更新される可能性があります。申請に当たっては厚生労働省のWebサイトなどで最新の情報をご確認ください。

参考

2021年度の両立支援等助成金の概要(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

両立支援等助成金のご案内(リーフレット)(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

テレワークで育児、介護の社員が働きやすく

企業変革のカギ! テレワークの導入で考えるべきポイントとは?

従業員のワークライフバランス、育児・介護との両立、少子高齢化による労働人口の減少、女性活躍推進といった社会情勢から内閣で推進される「働き方改革」は日本企業の課題です。テレワークはそれら課題解決の一つのカギとなりますが、多くの企業は導入・検討に際して悩んでいます。導入時のポイントを確認しつつ、トライアル可能なものや少数からスタートできるソリューションをご紹介します。

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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