役立つ! 総務マガジン

業務効率向上に直結するマニュアル作成力

会社のノウハウはマニュアル化して情報資産の有効活用を

マニュアルは、業務内容を明確に規定して、作業の標準化を図るために作成し活用されます。社員全員が同じ水準で業務を遂行できるようにマニュアルを整備しましょう。

[2022年 1月26日公開]

業務に必要なマニュアルとは

マニュアルは、業務を遂行するために必要な手順や方法を説明するものです。例えば、新人に業務を教える場合、指導者によって教え方や内容にバラツキが生じる可能性があります。分かりやすく説明する人もいれば、要領を得ない教え方をする人もいるかもしれません。内容についても必要十分な項目を伝授できれば良いのですが、教育内容の基準が明確でない場合は過不足が生じることもあります。さらに、新人が業務をマスターするまで指導担当の社員が付きっきりで教えなくてはならないこともあるでしょう。このような状況を回避し、企業ノウハウを効率良く共有するためにはマニュアルの整備が欠かせません。

企業にはさまざまな業務があります。業務の具体的な内容は異なりますが、「経営目標達成」というゴールは全てに共通です。マニュアルを整備する際は、現場の視点に総務の全社的視点を加味して体系化していくことが必要です。これにより、マニュアルは企業全体のバイブルとして機能し、同じレベルで一体となった企業活動が可能となります。

マニュアル作成の基本

マニュアルは、分かりやすく簡潔・明瞭に説明することが基本です。

5W1Hを網羅

「いつ、誰が、どこで、何を、何のために、なぜ、どのようにするのか」を明確にしましょう。例えば、作業室管理マニュアルの場合は以下のようになります。

  • いつ:毎日(休業日は除く)午前8時
  • 誰が:○○管理担当者
  • どこで:本社4階△△室
  • 何を:鍵を開錠し、室内の点検(照明、机・椅子の位置、備品の状況……以下、点検項目を列挙)
  • なぜ、何のために:盗難などの防犯管理、速やかに作業を開始するための設備の点検・準備
  • どのようにするのか:点検後8時30分までに所定の報告書に内容を記入して、所属長、総務部施設担当者にメールで送付する。ただし、異常発見時は即刻所属長に電話し指示を仰ぐ

業務初心者を対象に作成する場合は、対象者に該当業務の情報が全くないことを前提に作成しましょう。また、専門用語には必ず解説を加えます。対象者に専門知識や現場経験がなくても理解できるマニュアルにしなくてはなりません。

図表や写真で分かりやすく表現

一目瞭然という言葉があるように、文字で説明するよりイラストや写真で説明した方が分かりやすい場合があります。特に操作を必要とするマニュアルの場合は、機器の形状や操作方法などを図表や写真で分かりやすく解説しましょう。最近は、スマートフォンなどで動画を撮影し、マニュアルビデオとして利用するケースも増えています。特に接客や営業トークなど、表情や動きのあるものの説明には効果を発揮します。参考動画を作成し、マニュアルに動画のURLを記載するのも分かりやすいマニュアルを作成するうえで有効です。

あいまいな表現を避ける

マニュアルは、業務の手順を具体的に明記するものです。あいまいな表現はマニュアルの機能を損なうことにつながります。例えば、「どのようにするのか」を説明するのに「点検後、適宜報告を行う」と記載した場合、マニュアルを利用した人は、いつまでに、誰に、どんな方法で(口頭で?メールで?)、どのようなレベルで、など内容と方法が分かりません。そのため、いちいち詳細を確認する手間が発生し、マニュアルの有用性が損なわれるので注意しましょう。

マニュアルの作成と運用

業務の標準化と業務効率向上のためには、企業活動で発生する業務全てにマニュアルが必要です。しかし、それら全てをゼロから作成するとなると膨大な作業が必要となります。
そのため、事務、現業業務、経営などに分類して、それぞれ既存のマニュアルを参考にしてテンプレートを作成します。

マニュアル作成手順

業務内容やマニュアルの用途(管理・操作など)、形式(文書・図表・写真・ビデオなど)、それぞれに共通するテンプレートを作成します。それ以降の作成手順は下記のような流れになります。

  1. テンプレートを参考に、それぞれの業務担当者がマニュアルを作成
  2. 所属長や総務担当者が全社的な視点で確認
  3. マニュアル初稿(Ver.1.0)の完成・配布
  4. 質問・要望の受け付け
  5. 加筆・修正
  6. マニュアルの利用(教育・研修での利用含む)
  7. 継続的な更新作業

マニュアルは、最初のバージョンから継続的にメンテナンスを行います。特に最初は作成時点では想定していなかったさまざまな質問や要望を受けることがあります。それらを検証し反映することで、実践に役立つマニュアルが完成します。

マニュアル問い合わせのチャットボットを設置

マニュアルに関しての問い合わせ対応には、とても手間と労力がかかる場合があります。マニュアル作成者が、問い合わせ対応に終始して本来の業務ができなくなることは、業務効率向上の妨げとなります。その場合は、チャットボットを利用して社内の問い合わせ対応を自動化し、マニュアル作成者の手間を軽減することを検討しましょう。

社内の問い合わせに対して自動対応
どうしても自動対応できない問い合わせのみ担当者が対応
問い合わせ内容から要望や改善点を可視化(よくある質問をFAQとして統合管理)
マニュアルの改訂に反映
関連するマニュアル情報と連携して回答することも可能
情報資産の有機的な連携、全社的な業務ノウハウの共有
24時間365日対応可能
時間と労力の省力化推進

マニュアル完成後のメンテナンスは、マニュアルの鮮度を維持するための重要な作業であり、問い合わせ内容はマニュアルの改訂に役立ちます。また、利用者にとってもマニュアルの不明点や疑問点に対する回答をすぐに得られることは、業務を円滑に進行するうえで効果的です。

マニュアルの作成力=企業の成長力

日本の企業は少子高齢化という働き手不足に直面しています。この課題を解決するのが働き方の多様化です。終身雇用のように新卒の若者を採用して、教育して長期的戦力とする時代は過去のものになりつつあります。またこれには、ノウハウが属人化し「○○さんしか分からない/できない」、「○○さんが退職すると業務が停滞する」というリスクがありました。

これからは、多くの人がいろいろな経験を積み適切な業務スキルを身に付けて活躍する時代となります。これを実現するために必要な要素が「マニュアル作成・活用」です。既にファストフード店やコンビニなどでは、社員・パート・アルバイトに関係なく、業務スキルの一定のクオリティを保って育成するためにマニュアルをフル活用しています。

テレワークにおいても、遠隔で業務を行う際にマニュアルが重要な役割を果たします。これから、企業が安定して成長していくためにマニュアル作成のノウハウを培い、全社的なマニュアル整備を推進していきましょう。業務マニュアルの作成と活用でノウハウの共有を効率良く行うことが、企業が成長・発展する大きなポイントとなります。

教育訓練や技能伝承を支援

作業分析・業務最適化ソフトウェア「OTRS」

「OTRS」は、映像による動作分析、時間分析などの機能により、生産・製造現場の作業時間短縮・省力化・コスト低減ができるソフトウェアです。 実際の作業映像を分析することで、ムリ・ムダ・ムラをなくし、作業の標準化を図ることができ、作業の改善によるコストダウンや品質の均一化を実現します。また、作業指示書の作成もでき、教育訓練の材料や技能伝承のツールなど、さまざまなシーンで活用できます。

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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