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社用車の車両管理(1)

車両管理はなぜ必要なのか?

社用車の運転中に交通事故を起こすと、相手方はもちろん、企業、そして社会的にも多大な損害が発生します。このようなリスクを軽減するために、社用車の管理の基本を確認しておきましょう。

[2018年 5月16日公開]

企業の法的責任について

交通事故の罰則は道路交通法に従って適用されますが、社員が社用車を運転中に自らの原因で交通事故を起こした場合、その社員本人に対しては、民法第709条の不正行為の規定によって賠償責任が生じます。

さらに、企業にも民法第715条の使用者責任が問われ、自動車を業務で使用することにより利益を得ている運行供用者(企業)も等しく損害を負担すべきという考えに基づいて、運行供用者責任が生じます。

運転者本人の損害賠償責任:民法第709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

社用車を所有する企業の損害賠償責任:民法715条

  1. ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
  2. 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

ここでいう「使用者」とは監督責任を負う企業(代表者)となります。「被用者」は、おおむね社員(従業員)を指しますが、必ずしも雇用関係に限定されるわけではありません。実質的に指揮命令監督をする関係にあれば被用者として解釈されます。
また、企業が車両管理を厳格に行っていると立証された場合、損害賠償責任の割合は軽減される可能性があります。

このように、社用車の車両管理はリスクマネジメントの見地からも適切に行う必要があります。車両管理は車両管理規定の作成から始まり、車両本体の管理、運行(使用)状況の管理、運転者の技術・労務管理など管理業務が多岐にわたります。

車両管理の基本

車両は、管理者の目が届きにくい社外での使用となるため、管理には大変手間がかかります。そして社用車で事故が発生すると、その管理者は責任を追及されるだけでなく、煩雑な事故処理に追われます。

また、企業としての社会的な評価を下げることにもつながります。そのために、事故を未然に防ぐ、発生しても被害を最小限にとどめることを目的として、次のような管理が必要となります。

安全運転管理者の選任

内閣府令における道路交通法施行規則では、乗車定員が11人以上で車両1台以上を使用する事業所、もしくは定員に関わらず5台以上の車両を使用している場合、安全運転管理者の選任を義務付けています(道路交通法第74条の3号)。
安全運転管理者を選任しない企業には、罰則(5万円以下の罰金)が科されます(同法第120条1項11の3号)。

安全運転管理者の業務

安全運転管理者の業務は、主に以下の事項です。

1.運転者の管理

運転者の安全運転に対する基準(運転歴や違反歴等も含め、社内で定めた技能・知識等の基準)を満たしている運転者のみに許可を与える「社内運転許可制度」を実施し、運転者台帳に記載し管理します。交通違反記録は自動車安全運転センターが管理しているので、必要があれば従業員に運行記録証明を取り寄せてもらいましょう。

2.運行計画の作成

過労運転を防止するため、運行指示書と営業日誌によって運転状況を把握し、適切な運行計画を作成します。

3.運転者交代要員の配置

長距離・夜間運転などが避けられないときには無理な運行計画を立てず、安全第一を実践するため、運転者の交代要員を適切に配置します。

4.異常気象、天災の際の安全運転の確保

悪天候や天災発生などにより安全運転が確保できないと判断されるときは、運転を許可せず、車両の使用を中止します。

5.運転者に対し点呼等で安全運転を指示

安全運転が可能かどうか判断するため、車両に必要な点検を実施しているか、飲酒、過労、病気、その他の理由により正常な運転ができない危険はないかなどを、運転者に対し点呼等で確認し指示します。

6.運転日誌の備え付け

運転者の氏名、運転の開始から終了までの日時、運転距離、その他運転状況把握のための必要事項を記録する運転日誌を備え付け、運転終了時に運転者に記録させます。

7.安全運転講習の実施

運転者に対し、運転に関する技能や知識向上のための安全運転講習会等を実施し、安全運転のための指導を行います。

8.車両管理台帳で車両の定期点検記録を管理

車両1台につき、定期点検の結果を車両管理台帳に記録します。

9.車両使用台帳の備え付け

対象車両の使用状況を把握するために行います。乗車するごとに必ず記入することで、使用者の特定、使用者ごとの特性を考慮した指導が可能です。

10.事故対応マニュアルの作成

交通事故はいつ発生するか分かりません。事故発生時に迅速かつ適切に対応できるよう、事故対応マニュアルをきちんと作成しておきます。

  • * 1~7は、道路交通法施行規則で挙げられている項目です。

ドライブレコーダーの利用

車両周囲の環境を自動録画する「ドライブレコーダー」は、高画質化と価格の低廉化が進んだため、いまや車両管理には必須のアイテムとなりつつあります。
ドライブレコーダーの機能は製品によって異なりますが、以下の機能を利用すると実際の運行状況や運転の管理に効果を発揮します。

事故発生の際の状況確認(動画の記録)

証拠としての利用だけでなく、事故を起こした本人以外の運転者も視聴することで原因の把握と今後の対策につなげる。

運行状況の管理(移動の時間と位置情報を記録)

効率的な移動ルートの検証に利用。

安全運転の管理(急停止、急発進、速度超過の回数や状況を記録)

回数が多い場合、安全運転講習の参加や運転禁止の処置を行う。

製品によってドライブレコーダーのデータを管理するソフトウェアも用意されている場合があります。導入にあたっては自社の車両管理業務に合ったものをご検討ください。

参考書式

本記事に関連するマニュアルやテンプレートをご用意しましたので、ぜひご活用ください。

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車両管理を効率化するには

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「社有車管理業務テンプレート」は、企業が所有する車両(自動車やバイクなど)のさまざまな情報を一元管理することができます。

使用者に運転日報を登録してもらうことで使用状況(稼働率など)を把握することや、使用者(ドライバー)の車両管理の意識向上などを図ることが期待できます。
また、車検・点検の予定や自賠責・任意保険の更新予定のほか、担当者の運転免許の更新予定の管理も行えます。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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