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2019年版 使える助成金(人材開発関連)

社員の専門知識や技能の習得に助成金が補助されます

社員の育成には、研修などの教育訓練が必要です。費用と時間がかかりますが、会社が安定して発展するためには欠かせません。社員の人材や能力開発に役立つ助成金をご紹介します。

[2018年 7月25日公開]

[2019年 8月28日更新]

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは

「人材開発支援助成金」は、社員を段階的に育成する能力開発を効果的に促進する目的で運用されている制度です。社員の業務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための教育訓練などを計画して実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の給与の一部を助成しています。

「人材開発支援助成金」のうち、多くの企業が対象となるコースとその対象や要件をピックアップしました。

特定訓練コース

労働生産性向上を目的とした訓練、若手社員を対象とした訓練、OJTとOff-JTを組み合わせた訓練など効果が高い訓練について助成金が支給されます。

対象の教育訓練は以下のとおりです。

1.労働生産性向上訓練
職業能力開発センターや職業能力開発大学校等で実施する職業訓練、厚生労働大臣が専門的・実践的な教育訓練として指定した専門実践教育訓練など。
2.若年人材育成訓練
入社後5年以内で35歳未満の若手社員を対象に、会社が実施する研修や専門機関が実施する研修・訓練でOff-JT(実業務とは別に)により実施されるメニューが対象となります。
3.熟練技能育成・承継訓練
熟練技能者(技能検定合格者など)の指導力強化や技能継承のための訓練(訓練指導員の育成)が対象となります。
4.グローバル人材育成訓練
海外関連の業務に従事する社員に対して訓練を実施する場合が対象です。海外の大学・大学院などの教育機関での研修も対象となります。
5.特定分野認定実習併用職業訓練(注1)
建設業・製造業・情報通信業に関する厚生労働大臣認定実習併用職業訓練を実施する場合に対象となります(15歳以上45歳未満対象)。
例えば、情報通信分野のセキュリティやネットワーク構築などで、体系的、実践的トレーニングを通じて、所属企業のみならず業界を支える基幹的な人材育成を目指す研修が対象となります。そのため、訓練を行う事業者が、企業単独、企業連携型、事業主団体連携型の各訓練に分類されます。
6.認定実習併用職業訓練(注1)
OJT付き訓練で、厚生労働大臣の認定を受けた「実習併用職業訓練(実践型人材養成システム)」を実施する場合に助成が受けられるメニューです。
7.中高年齢者雇用型訓練
中高年齢新規雇用者(45歳以上)を対象としたOJT付き訓練を実施した場合に助成が受けられます。
  • (注1)5、6の訓練は事前に厚生労働大臣の認定手続きが必要となります。

一般訓練コース

特定訓練コース以外の訓練を企業もしくは企業が所属する業界団体が実施する場合に助成されます。Off-JTで実施され、実施時間が20時間以上、セルフ・キャリアドック(注2)を規定していることが必要となります。

  • (注2)定期的なキャリアコンサルティング。社員の能力向上について定期的にコンサルティングの機会を設けることです。これは、労働協約、就業規則または事業内職業能力開発計画のいずれかに定めていること(明文化)が必要となります。

教育訓練休暇付与コース

教育訓練を受けるために必要な有給休暇を与え、能力向上に資することを促進する制度です。
以下の項目を満たしていることが条件となります。

  1. 3年間に5日以上取得が可能な有給教育訓練休暇制度を就業規則などに明記(全社員対象)
  2. 本制度を全社員に周知し、就業規則を管轄する労働基準監督署へ届け出る
  3. 1年ごとの期間内に1人以上に当該休暇を付与していること
  4. 業務命令でなく社員の自発的な受講であること
  5. 社員が休暇取得中に受講する教育訓練は、事業主以外が行うものであること

支給助成金額・助成率

人材開発支援助成金の受給対象となるのは企業の事業主となりますが、助成コースによって対象となる企業・団体が異なります。

支給対象

特定訓練コース
中小企業、大手企業(中小企業以外)、事業主団体など
一般訓練コース
大手企業、中小企業、事業主団体など
教育訓練休暇付与コース
大手企業、中小企業

助成金額・助成率

  • * 「特定訓練コース」および「一般訓練コース」において事業主団体等に対しては経費助成のみとなります。
  • * 「教育訓練休暇付与コース」においては、『導入助成』として助成。
  • * 認定実習併用職業訓練において、建設業、製造業、情報通信業の分野(特定分野)の場合は経費助成率を30%→45%、45%→60%、60%→75%へ引き上げ。
  • * 以下に該当する場合は経費助成率を30%→45%、45%→60%、60%→75%へ引き上げ(ただし複数該当する場合いずれか一つを選択)。
  • ・若者雇用促進法に基づく認定事業主(訓練計画提出時までに認定されている場合に限定します)
  • ・セルフ・キャリアドック制度導入企業(訓練計画提出時までに就業規則または労働協約に制度を規定し労働基準監督署へ提出している必要があります)
    なお、事業主団体等については、生産性要件の適用および上記の引き上げ措置の適用はありません。
  • * 訓練開始日が属する会計年度の前年度から3年後の会計年度の末日の翌日から5カ月以内に割り増し支給申請をした場合に、通常の支給額からの割り増し分を支給。

支給限度額

1.賃金助成限度額(1人当たり)

Off-JT賃金助成
(1人1訓練当たり)
特定訓練コース、一般訓練コース共に1,200時間が限度時間となります。ただし認定職業訓練、専門実践教育訓練については1,600時間が限度時間となります。
OJT実施助成
(1人1訓練当たり)
680時間が限度時間となりますが、中高年齢者雇用型訓練については382.5時間が限度時間となります。
  • * 特定訓練コースおよび一般訓練コースを事業主団体等が実施した場合は賃金助成および実施助成は対象となりません。

2.経費助成限度額(1人当たり)

  • (注3)特定訓練コースおよび育休中等の者に対する訓練については、10時間以上100時間未満。
  • (注4)企業連携型訓練においては、出向元事業主と出向先事業主のいずれかが中小企業の場合は、中小企業の額、その他の場合は中小企業以外の額とする。
  • (注5)育児休業中の者に対する訓練等については、企業規模に応じて、中小企業の場合は30万円、大企業の場合は20万円とする。また、専門実践教育訓練の実施方法が通信制として講座指定された訓練等については、企業規模に応じて、中小企業の場合は50万円、大企業の場合は30万円とし、訓練時間に応じた限度額は設けない。
  • (注6)一般教育訓練指定講座のうち通信制等で実施する訓練等については企業規模に関係無く20万円とする。

長期教育訓練休暇制度(新設)

長期教育訓練休暇制度は、事業主以外が行う教育訓練等を受けるために必要な有給・無給の長期にわたる休暇(労働基準法39条の規定による年次有給休暇を除きます)を被保険者(注7)に与え、自発的職業能力開発を受ける機会の確保等を通じた職業能力開発および向上を促進する制度です。

  • (注7)被保険者:長期教育訓練休暇制度の対象となる被保険者は、助成金を受けようとする事業主の適用事業所における被保険者であり、さらに長期教育訓練休暇制度導入・適用計画届の提出日の時点で、当該事業所における被保険者である期間が連続して1年以上であることが求められます。

長期教育訓練休暇制度の休暇取得に関するルール

長期教育訓練休暇制度においては、休暇取得開始日より1年の間に、所定労働日において120日以上の 教育訓練休暇の取得が必要となります。これには以下のようなルールがあるのでご注意ください。

  • 所定労働日における120日以上のうち60日以上は連続した教育訓練休暇の取得を、残りの日数については20日以上の連続した教育訓練休暇の取得を要します。
  • 120日を超えて賃金助成を受ける場合には、当該助成の対象となる残りの日数(最大150日の賃金助成を受ける場合には90日)については20日以上の連続した教育訓練休暇の取得を要します。
  • 休暇取得開始日および最終休暇取得日については、いずれも制度導入・適用計画期間内であることを要します。
  • 教育訓練休暇の取得においては、教育訓練の期間(教育訓練を開始した日から教育訓練を修了した日までの日数<一つの長期教育訓練休暇期間中に複数の教育訓練を受けた場合は、その通算した期間における日数とする>)および各種検定またはキャリアコンサルティングの実施日数(教育訓練と同日に実施された場合の日数を除き、各種検定またはキャリアコンサルティングが同日に実施された場合は重複計上しないものとする)が、長期教育訓練休暇期間(長期教育訓練休暇を開始した日から当該休暇の最終取得日までの日数のうち、本制度の支給要件を満たす所定労働日における当該休暇の取得日数)の2分の1以上に相当するものであること。

<補足>

  • 60日以上の連続休暇を取得する前に、20日以上の連続休暇を取得してもかまいません。
  • 60日以上の連続休暇の取得を最低1回以上と残りの日数は20日以上の単位で連続休暇を取得することが必要です。

申請に必要な要件

人材開発支援助成金の申請に当たって、さまざまな要件をクリアすることが条件となります。
必要となる主な要件2点をご案内します。

1.職業能力開発推進者の選任

社内で社員の能力開発を推進するキーパーソンが「職業能力開発推進者」です。
会社の職業能力開発計画の作成や能力開発について社員の相談・指導を行います。
推進者は事業所ごとに1名以上選任しなければなりません。ただし100人以下の事業所で適任者がいない場合などは、本社の推進者が兼務することが可能です。
また、推進者は能力開発の企画や研修・訓練の実施について権限を有する方が対象となります(研修担当課長、人事・総務担当課長など)。

2.事業内職業能力開発計画の作成

人材開発支援助成金の申請は職業能力開発促進法第11条により、事業主が作成した人材育成方針を記載した計画書が必須要件です。また計画書の作成だけでなく、全社員への周知も必要となります。

計画書に記載する主な項目は、以下のとおりです。

  • 経営理念・経営方針に基づく人材育成の基本方針・目標
  • 昇進・昇格、人事考課等に関する事項
  • 職務に必要な職業能力に関する事項
  • 教育訓練システム・体系(図表で簡潔に分かりやすく)
  • 教育訓練対象となる業務・社員

事業所内職業能力開発計画は、労働組合(社員の代表)の意見を聴いて作成しなければなりません。

申請の基本となる、職業能力開発推進者の選任や事業内職業能力開発計画の作成については、各都道府県労働局にて相談や支援を行っていますので、初めて申請する際は事前に相談してみてください。

助成対象となる教育訓練とは

特定訓練コース、一般訓練コースでは、助成金の対象となる社員や教育訓練内容について支給条件があります。

1.対象となる社員

支給対象となる社員は、訓練実施計画に記載されていて、研修・訓練期間中に被保険者であることが必要です。また、受講時間数が実訓練時間総数の8割以上であることが必要です。

2.対象となる研修・訓練・職業能力検定、キャリアコンサルティング

(1)社内研修・訓練
対象となる研修・訓練に直接関係する職業訓練指導員免許や技能検定合格者、実務経験10年以上のベテラン社員が講師・指導員となっていることが求められます。
また社内講師の場合は、研修・訓練実施日の出退勤状況を確認できる方に限ります。

(2)社外研修・訓練
社外の組織や施設で研修・訓練を受講する場合は、公共の職業能力開発施設のほかに、助成金の支給を受ける事業主以外の事業者・団体が設置・運営する施設、大学や教育水準を満たした各種学校などが対象となります。学びたい職業についての知識・技能・技術が習得でき、スキル向上に役立つ教育訓練を行うことが、客観的に証明できる施設・団体を利用することがポイントです。

<助成金の対象とならない教育訓練とは>
業務に直接関連しない内容のものは助成の対象となりませんのでご注意ください。

例えば、マナーや話し方講習の場合、基礎的なものは担当業務の種類を問わず社会人として共通する必要な講習となるため、助成されません。外国語会話も日常会話レベルの講習は対象外です。また、法令で講習の実施が義務付けられていて、会社としてもその講習を受講しなければ業務が遂行できない場合も原則対象外です(建設業、社会福祉・介護の技能講習は除く)。

このほかにも助成の対象とならない教育訓練は詳細に規定されていますので、申請を検討する際は、助成対象の詳細を所轄の労働局・ハローワークにお問い合わせください。

教育訓練の経費支給基準

特定訓練コース、一般訓練コースでは、研修などの教育訓練を行う場合、助成対象となる経費内訳について条件があります。主な条件は以下のとおりとなっています。

(1)自社で企画し主催する場合

  • 社外講師への謝礼金(1時間当たり3万円が上限)
  • 社外講師の旅費(国内招へい5万円、海外招へい15万円が上限。宿泊費は1万5,000円/日が上限)
  • 施設・設備のレンタル費
    教室やホテルの会場使用料、マイク・ビデオ・プロジェクターなどの使用料が対象となります(助成対象研修・訓練専用で使用したことが確認できるものが必要です)。
  • 助成対象研修・訓練専用で使用する教材などの購入・作成費用。

(2)外部主催の場合
受講に際して必要となる入学料・受講料・教科書代等、あらかじめ受講案内等で定めている費用が対象となります。国や都道府県から補助金を受けている施設が行う訓練の受講料や受講生の旅費等は対象外となりますのでご注意ください。

(3)海外で実施する場合
海外の大学、大学院、教育訓練施設等での訓練に際して、必要となる入学料・受講料・教科書代(あらかじめ受講案内等で定められているものに限ります)、住居費(注8)、宿泊費、交通費(注9)。なお、海外の大学、大学院、教育訓練施設等が主催する訓練のみを対象とし、日本の訓練機関が単に海外で施設を借りて実施するものは原則対象外となります。

  • (注8)転居先の家賃のみを対象とし、引っ越し費用、敷金・礼金等の初期費用は除きます。
  • (注9)国内から海外への往復費用を含みます。

参考

人材開発支援助成金の申請条件など詳細につきましては、厚生労働省が発行している「人材開発支援助成金のご案内」をご参照ください。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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