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企業内防災に有効な「自衛消防組織」とは

大規模な施設に義務付けられている「自衛消防組織」

「自衛消防組織」は、災害発生時に避難や救護を迅速に行うための組織で、大きな施設では法律で設置が義務付けられています。企業においても同様の組織を作ることで被害の軽減に役立ちます。

[2018年 8月29日公開]

「自衛消防組織(自衛消防隊)」とは

消防法では、劇場や百貨店、学校など多くの人が集まる施設、階数や延べ面積などが一定の基準を超える建物を利用している事業主に対して、自衛消防組織(自衛消防隊)の設置を義務付けています(消防法第8条の2の5)。

対象施設

  • * 出典:一般財団法人 日本消防設備安全センター、自衛消防組織の設置を要する防火対象物の範囲、p.1を元に作成。

自衛消防組織の編成と役割

自衛消防組織は、施設内のお客様や従業員を災害から守るために編成されます。
具体的には、統括管理者以下、初期消火班、通報連絡班、避難誘導班、応急救護班という役割・要員で編成します。自衛消防要員は役割ごとにおおむね2名以上配置します。

1.統括管理者

防火管理責任者(有資格者)が担当し、被災対応の指揮統制と全体の被災状況把握、消防署・警察・自治体などの関係機関へ引き継ぎ(被災状況情報の伝達)を行います。

統括管理者となる資格

  1. 自衛消防組織の業務に関する講習(自衛消防業務講習)を修了した者
  2. 消防職員で管理監督的な職に1年以上あった者
  3. 消防団員で管理監督的な職に3年以上あった者
  4. 防災センター要員講習終了者で追加講習を修了した者

2.初期消火班

初期消火および付近の可燃物の撤去を行います。通常時には、消火栓や消火器の扱い方を習熟し、いつでも迅速に初期消火活動ができるようにしておく必要があります。

3.通報連絡班

放送設備などを使用し、施設内にいるお客様や従業員への連絡と情報収集、消防署への通報を行います。

4.避難誘導班

建物内にいる人を避難誘導。また、負傷者や逃げ遅れた人を確認して統括管理者に報告します。

5.応急救護班

救急車到着までの間、負傷者の応急手当を行い、救急車到着後は負傷状況を説明し、搬送・入院先の確認を行います。

上記以外にも、重要書類や印鑑など企業の存続に欠かせないものを屋外に持ち出し管理する要員や、安否確認の係を決めておくことも重要です。地震の場合は、帰宅困難者の受け入れや取引先の被災状況、従業員・家族の被災状況を把握し、復旧サポートを行う担当も必要になってきます。

自衛消防組織の設置届け出

自衛消防組織対象防火施設の管理権原者(注)は、自衛消防組織の設置(変更)届出書を管轄の消防署長宛てに提出しなければなりません。

  • (注)この場合の「けんげん」は法令上の原因によるものなので「権原」の文字を使い、法令上の地位と影響を持つ範囲を示す「権限」とは区別されます。

届け出書類

  1. 自衛消防組織設置(変更)届出書
  2. 統括管理者の資格を証明する書類
  3. 防火対象物自衛消防組織編成表および任務表
  4. 事業所自衛消防組織編成表および任務表(複数管理権原者の場合)
  5. 防火対象自衛消防組織資格管理表
  6. 事業所自衛消防組織資格管理表(複数管理権原者の場合)
  7. 営業時間外などの防火対象自衛消防組織編成表
  8. 自衛消防協議会構成員一覧表(複数管理権原者の場合)
  • *2以下は添付書類

自衛消防訓練の実施

防災管理者(防火管理者)は、定期的に消防訓練を行うことが義務付けられています。
組織を編成して届け出をしただけでは、いざという緊急時に機能しません。特に自衛消防組織が義務付けられている大規模な施設での消防活動は、高度なスキルが必要となります。
施設を利用する全ての人々の安全を確保するためにも、日ごろから訓練しておくことが重要です。また訓練を通じて、自衛消防要員の教育も行います。

訓練の実施手順

  1. 消防計画に基づき計画を立案
  2. 消防署へ訓練実施の連絡
  3. 訓練の実施
  4. 自衛消防訓練実施結果記録書の作成
  5. 検討会を開催し訓練結果を踏まえて消防計画の検証・見直しを行う。

企業での自衛消防組織編成のすすめ

自衛消防組織は大規模な施設に義務付けられているものですが、該当しない場合でも企業独自に消防組織を編成しておくことで被害を最小限に抑え、迅速に復旧することが可能となります。

担当者(管理者)の育成

防火・防災に関しての講習に参加し管理者の資格を得たり、救命講習会に参加したりするなど、防災救命に必要な知識を習得し、自社の防災活動におけるリーダーを育成します。
これらの講習については、各地域の消防署や防火・防災協会などにご相談ください。
また、自衛消防要員に準じて部門ごとに防災担当者を決めて訓練していくことも有効です。

防災マニュアルの作成と周知

防災時にどのように対処するかをマニュアル化し、社員教育などの機会で周知徹底を図ります。

防災訓練の実施

火災や地震の際に慌てることのないように実践訓練を徹底的に行い、不備な点・改善点を検証し、積み重ねていきます。

防災設備の管理

防災に必要な消火器や消火栓の定期的な管理と、非常食・飲料や防災備品の確保・管理を行います。

持ち出し物の選定と管理

業務に支障が発生しないように緊急時に持ち出すものを選定し、常に持ち出すことができるよう管理します。東日本大震災では、緊急時に持ち出すものを保管していた部屋の通路が、作動した防火シャッターでふさがれ持ち出せなかったという例もあります。保管場所が緊急時に利用できる場所なのか、事前に確認することが必要です。

緊急連絡の体制

大規模な災害では電話をはじめ連絡が取りにくくなります。災害ダイヤルなど緊急時の連絡方法を定め、時々緊急連絡訓練を実施し、緊急時に迷わず連絡できるようにしていくことが大切です。

大きな災害が発生すると、初期対応が社員や家族、地域の人々の安全を確保するうえでとても重要な要素となります。迅速・的確に行動することが多くの命を救い、会社を守ることにつながります。
自衛消防組織を自社内に設置し、防災に役立てていくことをおすすめします。

参考サイト

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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