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「家賃減額」によるコスト削減を行うには

一定の条件を満たすことで家賃が下がる可能性があります

オフィスを賃借している場合、家賃は固定費の中でも大きな支出項目です。家賃の低減により引っ越しの手間も、環境を変えることもなくコスト削減が可能です。

[2019年 2月27日公開]

オフィス家賃の減額はできるのか

オフィスや店舗など事業に必要な不動産を賃借している場合、利益の減少などで、より家賃の安い物件への引っ越しや賃借している建物の賃借料減額交渉を検討することがあります。

家賃の安い物件への引っ越しは、長期的には固定費の減額となりますが、新たな移転先の保証料や内装工事費用、引っ越し費用、原状復帰費用、什器・設備の交換費用、名刺や封筒の作り直しなど、一時的に発生する費用や社員の負担を考えると、簡単には実行できない場合も多々あります。

そこで負担の少ない方法として検討をお勧めしたいのが、現在賃借しているオフィスの家賃を減額してもらえないか交渉することです。これであれば、引っ越しのように環境変化に伴う費用や労力の負担がなく、単純に毎月の家賃が安くなり、その分をほかの費用に充てることができるのです。

しかし、家賃減額交渉を行うには「タイミング」と「理由」という二つの課題があります。

家賃減額交渉は、契約更新(交渉)時の不動産需要と供給のバランスに注意

家賃減額を行う時期は、賃貸契約の更改時が一般的なタイミングとなります。契約更改の際に「家賃を安くできないか」と交渉することになりますが、ここで最も注意したいのは、不動産の市場は常に需要と供給のバランスが変化していることです。

景気が好調であったり、建物のある土地や建物自体が人気となっていたりする場合、家主側は「契約更改=家賃値上げ」のチャンスと捉えているのです。退去してもすぐに高い家賃で新しいテナントが入居してくることが期待できるためです。このようなときに「家賃減額」を申し出ても認められる可能性は低くなりますし、逆に家賃値上げの交渉をされる場合があります。

減額の理由は、客観的に納得できる内容にする

減額の理由は「業績の不振」と正直に言っても、世の中全体が不景気であれば認められるのですが、そうでない場合は家主との関係が交渉に大きく影響します。交渉前から長期にわたり家主との関係が良好であれば、業績不振であっても応援しようということで「すぐに出ていけ」と言われる可能性は低いはず。そこまでの関係が築けていなければ「業績不振」はあくまでも借り主の自己都合であって、家主にとっては関係のないことに過ぎません。

家賃減額の理由として一般的に承認されている主な例は、以下のようなものです。

  • 土地・建物の価格・固定資産税(公的評価額)の下落
  • 経済環境の悪化・低迷
  • 周辺賃料との大きな差

バブルの崩壊やリーマンショック後など社会全体の景気が落ち込んでいるときは、業績不振が減額理由となり得ます。家主も、退去されると家賃収入が途絶える危機にさらされるため、減額のハードルはかなり下がるようです。しかし、前述の各理由に当てはまらない場合は、利用者側で、現在抱えている賃貸物件の問題点(建物や設備の不具合など)を客観的に洗い出すことがポイントとなります。

賃貸契約の種類と内容を把握しよう

賃貸契約の形態によっては、家賃減額ができない場合もあります。

普通借家契約と定期借家契約

賃貸契約は、普通家賃契約と定期家賃契約のいずれかで交わされています。

契約形式普通借家契約定期借家契約
賃料の変更契約期間内でも賃料の交渉・変更が可能
(家主の了承がある場合)
契約期間内の賃料交渉・変更は不可
契約期間一年以上の設定家主が自由に設定
契約更新正当な事由がないかぎり更新契約期間満了で終了
(更新の場合は再契約)

普通借家契約の場合は家賃減額の交渉を行うことができますが、定期借家契約では交渉も含めて家賃の変更ができません。家賃の減額を検討する際は、最初に自社の賃貸契約がどのような内容になっているのかを確認してください。

実際に家賃減額交渉を行うには

オフィスの家賃を変更する法的根拠は「借地借家法第32条」にあります。
この条文では、賃借人に減額請求権、賃貸人に増額請求権を認めています。賃料の減額を家主が了承すれば家賃は減額となります。金額や条件で合意に至らなければ民事調停から訴訟を行う流れになります。

交渉で一番気になるのは家主との関係ですが、賃借人は借地借家法という法律で保護されており、賃貸借契約の期間が満了し賃貸借契約更新の合意ができなくても、自動的に契約が更新されます(法定更新)。賃貸人から立ち退きを求められても、正当な理由がないかぎり退去する必要がないので、賃借人が物件を使用し続けることができます。このように賃借人の立場が強いため、普通借家契約を締結している場合、家主は減額交渉を拒否することはできないのです。

日ごろから家主と良好な関係を築いておくことが大切ですが、そうでない場合や初めて交渉を行う場合は弁護士など第三者に依頼してみるとよいでしょう。その場合、代理人として交渉ができるのは入居している従業員から依頼を受けた弁護士となります。そのため、コンサルタント会社など、弁護士資格を有しない者が交渉を行うところに家賃減額の交渉を依頼することは避けた方が望ましいでしょう。

家賃の減額が実現すれば、経営環境が変わることなく毎月の支出を減らすことができるという、大きなメリットがあります。ただし交渉にあたっては、経済環境の変化など、さまざまな注意も必要であることを踏まえて、ご検討ください。

参考

借地借家法第32条 (借賃増減請求権)条文

  1. 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
  2. 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
  3. 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。