役立つ! 総務マガジン

総務パーソンに必要な法律知識

総務担当者の重要な役割は「コンプライアンス(法令順守)」の徹底

企業の不祥事は、法令違反や社会規範から逸脱する行為のことであり、不祥事につながる行為を未然に防ぐことも総務の重要な役割です。総務担当者はまず、法令に敏感でなければいけません。

[2019年 4月24日公開]

企業活動に関係する法律

企業活動に関係する法律は、数多く存在します。社内の規則もそれらの法律に準拠して作成されています。そのため、社内ルールを管理する総務担当者が法律知識を持つことで、不祥事を未然に防ぐことに役立ちます。
法律知識といっても、弁護士資格が取得できるほどの詳細な知識ではなく、法律が制定された目的やどのような場合に違法となるのか(事例)といった基本的な知識です。知識を得ることで法律に敏感になり、不祥事につながるような前兆に気付きやすくなります。

企業活動に関連する主な法律は、以下のようになります。

企業そのものに関係する法律

会社法

会社の設立・解散、組織、運営、資金調達(株式、社債等)、管理などを規定しています。
また、銀行であれば「銀行法」、輸送業の場合は「貨物自動車運送事業法」など、業種によっては業務内容を規定した法律が存在する場合があります。

労働に関係する法律

労働法

労働法という名の法律はありませんが、労働基準法や労働組合法、男女雇用機会均等法、最低賃金法など、働くことに関係する法律の総称として「労働法」と呼ばれています。企業の基本的なルールとなる「就業規則」は、労働法に準拠して作成されています。最近は、働き方改革に関連して残業規制などの法改正が頻繁に行われているため、注意が必要です。また、働く環境や健康管理を定めた「労働安全衛生法」も従業員の健康管理を促進するうえで重要な法律です。

契約に関係する法律

民法

受発注などの契約行為や効力などは民法によって定められていますが、雇用契約や不動産売買契約など、契約内容によって関連する法律が異なる場合があります。また、印章管理や印紙(印紙税)の知識も必要です。

業務に関係する法律

知的財産権の関連法令

特許や実用新案など、企業活動によって生み出されたアイデアやノウハウを守る法律です。商標(商号)や著作権も知的財産として守らなければなりませんし、逆に他社の権利を侵食しないように注意することも必要です。さらに知的財産権は、国内だけでなく国際的な視野で管理することも求められます。

情報に関係する法律

個人情報保護法

マイナンバーの取り扱いなど、個人のプライバシーを守るための法律です。企業が持っている個人情報が不適切な扱いにより流出した場合は、処罰はもとより企業の信頼を失い、重大なダメージにつながります。従業員が業務上知り得た情報を故意に漏えいすることは、就業規則違反として処罰の対象になるだけでなく、信用毀損(きそん)罪・業務妨害罪など刑事告訴の対象になる場合もあります。

企業活動に関連する法律と総務パーソンの役割

このように、企業活動には多くの関連する法律が存在します。そして法律に基づいて社内の規則も定められます。社内ルールに漏れがないかを注意し、法改正など必要に応じてルールも改正し、整備していくことがポイントです。
同時に、ルールの改定に際しては周知・啓発の徹底が必要です。この周知が不祥事に対する抑止力になりますし、ルールに反する行為に周囲が気付くきっかけにもなります。

法律は争いを避けるために規定されています。総務担当者は法律の存在意義を知り、自社の活動にどのように関わっているのかを理解することが大切です。

また、法律は不変のものではありません。関連する新しい法律ができたり、罰則が厳しくなったりする場合もあります。これらは世の中で発生する事件や事故、そしてそれを評価する「世論」の動向に大きく左右されています。最初は処罰する明確な規定がなくても、同様の不祥事が増加すればそれを規制する法律が生まれ、施行されるのです。世間の動向や世論に敏感になり、社内ルールの整備を率先して行うことが、会社を安定させ、さらなる成長と発展につながります。

法令や世論の動向にどのように対処すべきか

法律に準じて社内ルールを定めるだけでなく、世間の動向次第では、法整備前でも厳しい対処を迫られる課題があります。近年不祥事として増加している以下の例は、エスカレートした場合は刑事事件として立件されますが、軽微なものは法令や明確な基準がない場合もあります。しかし、法令化を待たずに先んじて防止策を講じることが会社と社員を守ることにつながる、代表的な事例です。

企業責任が問われる例

過重労働

いわゆる「ブラック企業」でよく行われている、社員に残業や休日出社を強制したり、過重なノルマを課したりするなどの行為です。労働基準局が企業名を公表しているため、企業としての対外的な信頼や評価を失うだけでなく、従業員が定着しない、疾病者が増加するなど、企業の存続にも影響します。
ブラック企業として公表されるのは極端な例ですが、「働き方改革」として関連法令が大幅に改定されている現在、業務効率化で過重労働を回避する流れは加速しており、多くの企業に共通する課題です。

SNSの動画投稿

コンビニや飲食チェーン店などで、(主に)アルバイト店員がふざけた動画をSNSにアップして炎上し、店舗のイメージを悪くする行為が増加しています。スマホの持ち込み禁止や情報漏えいなどの就業規則の徹底だけでは規制できなくなっているようです。そのため、監視カメラの導入や高額な補償費用を課すなどの新たな対策が検討されています。

ハラスメント

セクハラ・パワハラという行為については、世間の評価が年々厳しさを増しています。
行為がエスカレートすると刑事事件となりますが、その場合ハラスメントを行った本人だけでなく、企業もその行為を容認していたと判断され責任を課せられる場合があります。
ハラスメント行為のほとんどは、上司と部下などの上下関係に起因します。総務担当者が経営層に正しい理解を啓発し、経営層が先頭に立ってハラスメントをなくす行動を取ることが大きな効果を生むポイントとなります。

最近取り上げられることが増えている企業不祥事のニュースを、自社と関係のないものとして見るのではなく、自社であればどのように対応できるか、すべきかを考えておくことが大切です。
常に「自社ごと」として備えておくことが、不祥事を未然に防ぐための大きな布石となります。

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ビジネス実務法務検定試験(R)

ビジネス実務法務検定試験は、ビジネスに不可欠の法律知識を体系的かつ効率的に身に付けることを目的とした東京商工会議所が主催する検定試験です。企業に求められる社会的責任の増加もあり重宝されます。

  • * ビジネス実務法務検定試験(R)は東京商工会議所の登録商標です。

著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。