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飲みニケーションの効用と注意点

働き方改革で大きな変革期を迎える会社の「飲み会」

飲み会によるコミュニケーションの醸成は、日本企業の大きな特徴かもしれません。しかし、残業を抑制する働き方改革の浸透や若い社員の意識変容もあり、社員が集まる飲み会は減少傾向にあるようです。

[2019年 7月10日公開]

企業・組織で行われる「飲み会」とは

歓送迎会や忘年会など、従業員が集まって飲食することは多くの企業・組織で行われています。なぜ飲み会が定着したのかについては諸説ありますが、大きな理由として挙げられるのは「終身雇用制」です。家族的な組織運営に必要な「一体感」を保つため、みんなで飲んで盛り上がってきたといわれています。

そのため「腹を割って話す」や、さまざまな伝説が生まれたかもしれない「無礼講」など、より深いコミュニケーションを交わす場として活用され、酒のつぎ方などのマナーが重要視された時代もあります。仕事だけでは相手の人間性を知るのに時間がかかる場合が多いのですが、飲み会であれば比較的気軽に話をすることができます。形式的なお付き合いから、親しいお付き合いへ進むのに「飲み会」は良い機会になるかもしれません。

一方で、勤務後のプライベートな時間を「飲み会」に強制されることへの不満や、お酌をするなどの気遣いで疲れる、体質的にアルコールを受け付けない(弱い)、時間やお金を費やしてまで上司の説教や愚痴を聞きたくない、パワハラ・セクハラの温床になるなど、職場の飲み会に対して否定的な意見も多いのです。
会社の飲み会に関する各種調査結果を見ても、飲み会に対しての賛否は拮抗(きっこう)しています。

飲みニケーションの効用

参加したくない人も多い会社の飲み会ですが、歓送迎会や忘年会など「飲みニケーション」を実施している会社は大多数を占めています。まずは、飲みニケーションを行う理由を整理してみましょう。

人間的なコミュニケーションの醸成

「共に働く人間として、コミュニケーションを図り一体感を醸成する」というのが、一番の理由です。親密さを表す行動として「同じ釜の飯を食う」という言葉がありますが、アルコールが入ることで冗舌になり、陽気になる効果があります。普段会話をするのに気を使う上司や他部署の人たちと気軽に話ができるのが飲み会のメリットです。気軽な飲み会が、交友関係を広げる良い機会となっているようです。従業員相互のコミュニケーションが活性化し、部署や会社全体の士気を高める良い機会と捉えて、積極的(公式)に「飲み会」を支援する企業も現れています。

仕事中には聞けない話ができる

「なぜこの仕事をしているのか」「大きな失敗をしたときにどうしたのか」など、仕事に直接関係のない話や、興味のあることや出身地といった共通の話題など、共感できる話題があると意気投合しやすいものです。打ち解けた雰囲気で話ができる飲み会を望む声は決して少なくありません。また、このような自由な雰囲気から新しいプロジェクトの話が生まれたりする場合もあります。

付き合い方を学ぶ

ネット社会になって、人と直接会話をすることが苦手な人が増えています。特に上司への接し方は、話題の振り方など実践できる良い機会となります。

飲みニケーションのデメリット

精神的な負担

普段接触の少ない上司や先輩と話ができる反面、気を使うことも多々あります。また、相手によっては愚痴やお説教も我慢して聞かなければならない場合もあります。参加費を払って、なぜ気遣いしなければならないのかという不満を抱く方も多いようです。

時間的な負担

勤務終了後、友人や恋人との付き合いや、育児・介護で帰宅しなければならない事情を持つ人にとって、飲み会に参加することは大きな負担となる場合があります。

ハラスメント

前述していますが、アルコールが入ることの大きなリスクは、理性が喪失することです。特にアルコールで過去に失敗したことがある人は要注意でしょう。また、2次会、3次会とアルコールの摂取量が増えてくるとさまざまなトラブルの要因にもなり、モバイル機器を携行していることの多い昨今では紛失からの情報流出などにもつながりますので、状況によって2次会・3次会を禁止する企業も増えているようです。

新時代の飲みニケーションを考えてみよう

このようにメリットとデメリットが表裏一体となっている飲みニケーションですが、デメリットを払拭(ふっしょく)した新しい飲みニケーションを模索している企業も多くなっています。

社内に立ち飲みスペースを作る

休憩室や食堂スペースを、夕方以降は軽くお酒をたしなみながら会話ができるようにする企業が増えているようです。移動時間や費用を気にしないでコミュニケーションを深めることができるため社員からも好評のようです。

飲みニケーションルールの設定

最近の傾向として、歓迎会や送別会、プロジェクトの打ち上げなどの全員参加型の飲み会を開催する場合、業務の一部として会社が費用を負担したり、飲み会の参加を残業として給与に加算したりする企業が多くなっているようです。

これは、働き方改革で帰宅時間が早まり全員で飲みに行く機会が少なくなり、コミュニケーション不足によるリスクを回避するために、会社が積極的に推進しているようです。また、過度に酔うことでのトラブルを防止するために「飲み会を管理する」というコンプライアンス的な側面もあるようです。

このように、会社が一部もしくは全額負担や残業などの勤務としているような「会社公式の飲み会」では何らかの開催ルールを定めて運営しています。

飲みニケーションのルール例

  • 残業として認める基準は「全員参加」。歓迎会など強制的に参加が求められる場合は業務の一環として飲食費+残業代などの就業手当を会社が支払うようです。
  • 事前に申請し会社が了承することで、会社が飲食費(一部/全額)を補助する。これは比較的多くの企業が採用しています。もちろん急に飲み会を開くことは禁止です。事前に目的・参加者・場所を設定し申請することで、会社が参加費用を補助する。会社負担の基準も明確にすることで「何のためにみんなが集まるのか」という目的が明確になり有意義な飲み会になるようです。内容を規制しないケースでは「福利厚生の一環」として、暑気払いや忘年会などをオフィシャルな行事として会社が費用を負担しているケースも多いようです。社員旅行や運動会と同じ感覚ですね。
  • 昼間に食事会を設定する。早めに帰宅する必要のある方やアルコールが弱い方でも、気軽に参加できるように昼間に食事会を開催するところも多いようです。ビール1杯程度ならOKとして、終了後は自由解散とする場合や、反対に酒の力を借りなくても適切なコミュニケーションは取れるとしてアルコール禁止にする場合などがあります。
  • 説教・愚痴の禁止や○○時で終了、2次会以降は禁止、他部門の管理職を必ず参加させるなど会社独自のルールを決めているところもあります。また、参加した人と参加していない人の情報格差が広がらないようにするという視点も大切です。会議と一緒で簡単なレポートを社内SNSで発信して飲み会の場にいない人も話題に加わることができるようにするなど、ちょっとした工夫で情報格差は解消できるのではないでしょうか。スマホやタブレットでTV会議と同じように遠く離れた支店の社員が宴会場を結んで飲み会をしたという話もあります。

これとは反対に「飲み会を一切行わない」という企業もあります。アルコールに頼らなくても円滑なコミュニケーションは図れるとしています。

ノンアルコール型のルール例

  • 1on1ミーティング
    2時間の飲みニケーションより効果の高いコミュニケーションが図れると注目されているのが上司と部下が定期的に短時間(10分程度)で行う1on1ミーティングです。
    あらかじめ話す内容を準備し、ミーティング後はどんな話をしたかをまとめ、部署内だけでなくほかの部署でも共有します。これを繰り返し行うことで社員の成長を促します。

飲みニケーションまとめ

最後にどんな飲み会でも共通の注意事項を列挙します。

楽しい飲み会=職場の雰囲気が良い

普段から陰険な雰囲気が漂う部署の飲み会は、愚痴や不満、説教の嵐となります。誰もが参加してよかったと思う飲み会を開くのであれば、普段から風通しのよい良好なコミュニケーションを心掛けてください。

会社の飲み会に「無礼講」はない

たとえ上司が「今日は無礼講でいこう! 言いたいことは遠慮せずに言ってくれ!」と言っても、真に受けてはいけません。職場の飲み会は仕事の延長線上なのです。みんなあなたがどんな本性をむき出しにするかを手ぐすね引いて注目しています。先輩や上司がどんな人柄なのかを観察するように、あなたも上司・先輩から観察されているのです。

飲み会のマナーは知っておいた方が得する

お酌の仕方、席の配置の仕方など古くから伝わる「酒席でのマナー」があります。これは強制的に覚えて実践するものではありませんが、礼儀・立ち振る舞いとして覚えて飲み会に参加すると、特に年配の先輩や上司の人物評価が高くなる可能性があります。また常識があり気遣いできる人だと思われます。
一番のマナー違反は、飲み会の席で声高にマナーを注意することだそうです。「最近の若いやつはマナーを知らない……」と参加者が嫌がる愚痴と説教に続く流れになります。注意するのであれば小声でそっと「○○した方が印象良くなるよ」という程度にしましょう。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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