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企業の成長に欠かせない「CSR」の基本

「社会的な責任を果たす企業活動」が企業価値を向上させる

CSRは、企業も社会を構成する一部分であるという前提に立って、自社の存在価値とそれが社会にどのように貢献するかを表します。短期的な売り上げに直結するものではないかもしれませんが、大変重要な経営戦略となるものです。

[2019年 7月24日公開]

CSRとは

CSR(Corporate Social Responsibility)は、「企業の社会的責任」と訳されています。利益を生み出す企業活動は広く社会の中で行われるため、企業規模の大小にかかわらず、企業の存在価値=社会に対しての使命・役割を全うし、向上させることが経営戦略の重要な要素となっています。

社会的責任は、企業が目先の利益を追求するだけでなく、企業活動が社会に対して与える影響に責任を持ち、企業の利害関係者であるステークホルダー(社員とその家族、取引先、投資家、消費者、地域および社会全体)からのさまざまな要求に対して、適切な意思決定をして実践する責任のことをいいます。
この責任を果たすことにより、社会から信頼される企業となり持続的に企業価値が高まるとされているのです。

またCSRが注目を集める理由は、企業が社会で事業を行う際に、不当・不法なやり方で利益を得るなどで関係者をはじめ社会に迷惑をかけることなく、健全で人々の暮らしに貢献する企業活動を望む社会の期待に応えることにあります。例えば、環境汚染など利益追求によって人々が不利益を被ることが、企業活動の持続も脅かすといった世論が高まるなど、企業の不正な活動は厳しく指摘される時代となっています。

持続可能な社会を実現するために、法令順守を基本として環境保護、消費者保護、労働者の保護、人権保護などの社会課題について企業が自主的に取り組むことが望まれています。

さらに一過性や狭義の社会貢献活動(余剰利益の消化や一時的な寄付行為など)ではなく、明確な企業全体の経営ビジョンから発生したミッションやアクション、事業活動プロセスの一環として実践することが求められます。

CSRは、企業の存在意義を経営ビジョンとして明確化し、そのビジョンに沿って各部門の目的と役割を具体化します。さらにアクションプランとして行動計画を立案し、具体的な実施内容と体制、スケジュール、予算など活動開始に向けた準備をします。

CSRがもたらすメリット

企業が社会的責任を果たすことは、広く社会からの信頼を得ることにつながります。
CSRがもたらす主なメリットは、以下のような点です。

  • 不正な行為・違法活動を排除することで、事業継続のリスクを回避する。
  • 企業評価・企業イメージ・知名度・ブランド価値の向上。
  • 従業員のモチベーションアップ、帰属意識の向上、採用活動の円滑化、労務環境の向上。
  • ステークホルダーとの関係向上。
  • 円滑な資金調達、販路拡大など販売力の向上、安定した資材調達。

ただし、これらのメリットはCSR活動を開始してすぐに表れるものではなく、継続的・長期的に実践することで得られます。

CSRを支える制度「ISO26000」

ISO26000は、先進国から発展途上国まで含めた国際的な場で議論され開発されたCSRに関連する国際規格です。これはISOによくある認証規格ではなく、任意にステークホルダーを重視することで効果的に社会的責任を組織全体に統合するためのガイダンス規格となっています。

ISO26000では主なテーマとして、「組織統治」「人権」「労働慣行」「公正な事業慣行」「消費者課題」「環境」「コミュニティーへの参画/コミュニティーの発展」の七つを掲げています。さらに、各テーマに複数の課題が設定されています。

  • * 出典:経済産業省、平成26年度総合調査研究「企業の持続的成長に向けた競争力の源泉としてのCSRの在り方に関する調査」、p28の図表を元に作成(財団法人日本規格協会ISO/SR 国内委員会 http://iso26000.jsa.or.jp/_inc/top/iso26000_tool/1.gaiyou.pdf および ISO/SR国内委員会「ISO26000 社会的責任に関する手引き」<日本規格協会、2011>を参照し、あらた監査法人作成)。

平成26年度総合調査研究「企業の持続的成長に向けた競争力の源泉としてのCSRの在り方に関する調査」(経済産業省のWebサイト<PDF>が開きます)

ISO26000は企業規模を問わず、世界各国で活用することが可能となっています。ただし、企業の活動範囲やレベルは千差万別のため、具体化するためには考慮が必要です。
企業が取り組むことにふさわしい関連性および重要性を有する課題を選定し、それぞれに社会的責任を果たすことが求められます。また、取り組み内容はその効果も含めて定期的に確認・検証し、改善に向けた施策を継続的に策定・実施することが重要です。

CSR活動の実践

CSR活動として多くの企業が取り組んでいる活動は「環境保護」です。
具体的には、植林活動や生物の保護活動で、里山の保全や稚魚の放流、苗木を植える活動などがあります。
また、地域の歴史イベントや博物館の運営など歴史的価値がある文化財を発掘・保存・展示紹介することで地域の歴史・伝統を承継する活動も盛んです。
近年は工場見学などで製品ができる過程だけでなく、健康や環境に対しての配慮や、消費者の体験学習を行う企業も多く人気となっています。

今後のCSRテーマとしては、少子高齢化に対応した活動や疾病予防が多くなると予測されています。

CSR報告書の作成と配布

CSR活動の詳細は「CSR報告書」としてまとめます。CSRの部署や専門のスタッフを抱えている規模の大きな企業では、CSR活動の社会的影響も大きいためクオリティの高いCSR報告書を作成し、取引先や採用活動など広範囲に配布しています。中堅・中小企業でCSR報告書を作成する企業は少ないのですが、CSR活動を可視化して次年度の活動の参考にしてくために報告書としてまとめ、全員で共有することをお勧めします。

ステークホルダーに対して誇れる企業を目指す

企業活動が環境や社会にどのような影響を与えているのか、どのように貢献できるのかを考え行動することは、持続可能な企業活動を推進するうえでとても大切なことです。
さらに、企業を取り巻くステークホルダーの要望に耳を傾け、コミュニケーションを活性化し、お互いの理解・共感を図ることも重要です。自社の利益だけを追求するのではなく、社会全体の利益を追求することが企業価値を高め、社会に誇れる企業となるのです。

参考

財団法人人権教育啓発推進センター「『CSR』で会社が変わる、社会が変わる」(中小企業庁のWebサイト<PDF>が開きます)

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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