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企業の最新感染症対策2019

インフルエンザや風しんなどの感染症から従業員を守るために必要なこと

空気の乾燥した冬になると猛威を振るうインフルエンザ。オフィス環境の整備や予防接種の奨励を行い、従業員が感染症に罹患(りかん)しないように対策を徹底しましょう。

[2019年10月16日公開]

BCPと感染症対策

1997年、香港でH5N1亜型という高病原性鳥インフルエンザウイルスが鳥から人に直接感染し、死者が発生しました。これは「鳥から人への直接感染は起きない」という定説を覆すものであり、死亡率も高いとされたため世界的大流行が危惧されました。日本でも感染者が発生した場合、BCP(事業継続計画)に重大なリスクが生じるとして、多くの企業が対策を検討しマニュアルなどの整備に当たりました。幸い、人から人への感染力が弱かったため、大流行や大きな被害が発生することはありませんでした。

しかし、地球温暖化などをはじめとする環境変化や交通手段の発達により、新種のウイルスによる感染症が発生する可能性は常にあります。また、企業活動のグローバル化により、国内の感染状況だけでなく海外の最新状況も把握しておく必要もあります。

現在、感染症は主に5種類、病原体(ウイルス)も生命への影響や治療薬の確立状況などから5種類に分類されています。また、麻しんやインフルエンザは、罹患した際に即時届け出を必要とする感染症となっています。

感染症は対策をしなければ被害がどんどん拡大します。そのため、公共スペース、オフィスや学校、交通機関などでは特に注意が必要です。

参考

感染症法の対象となる感染症

  • * 出典:厚生労働省「感染症の範囲及び類型について」平成26年3月資料を元に作成。

企業の感染症リスク

企業では、BCPの一環として感染症対策を講じてマニュアルの整備と全従業員への周知・啓発が必要となります。

感染症による企業リスク

従業員の感染症罹患は企業にさまざまな影響を及ぼします。同じスペースで多くの人が働いていると、ウイルスがまん延して集団感染の恐れが生じます。想定される主な企業リスクは、以下の3点です。

  • 従業員およびその家族の健康被害
  • 法定に基づく欠勤や通院・看病(家族が罹患の場合)のための欠勤による生産性の低下
  • 風評被害

従業員が健康を害することは、すなわち貴重な経営資源の損失となります。特に、集団感染した場合は会社や取引先に与える影響も大きくなります。予防をはじめ、積極的な対策を講じてください。

企業の感染症対策のポイント

企業での感染症対策は、マニュアル化し研修やミーティングを通して従業員への周知・啓発を徹底することにあります。ポイントは、感染者を極力少なくするための予防対策と、大流行が発生した場合でも業務への影響を最小限にとどめるための緊急体制の構築です。

予防対策

従業員の感染症罹患を最小限にするために、空調や除菌対策を行うと同時にウイルスに対しての抵抗力を高める健康管理を徹底しましょう。

環境整備

空調
温度や湿度を最適な状態に保ち、定期的に換気を行い新鮮な空気を循環。
除菌
手洗い、うがい、アルコール消毒の徹底。積極的なマスクの着用を推進。

健康管理

  • バランスの取れた食事、充実した睡眠、適度な運動により健康な状態を保つ。
  • 海外出張の場合は、渡航先の感染症情報を把握し必要な場合は予防接種を行う。特に麻しん(はしか)は海外で感染するケースも多いので、航空機内でのマスク着用などの予防を心掛けると同時に、帰国してからの体調変化に注意を払う。
  • 家族が感染症に罹患した場合の報告・連絡を迅速に行う。
  • 予防接種の推奨。

緊急体制の構築

感染症が大流行し、従業員および従業員の家族に感染者が多数出た場合を想定して、緊急体制マニュアルを整備します。

感染者が欠勤した場合、どのようにフォローアップし業務の支障を低減するのか、方法や手順を検討しマニュアル化します。これは、地震などの災害対策と共通する部分が多くあります。

  • 連絡方法・連絡体制と状況確認
  • 緊急時の体制(誰がどのような責任と権限を持つか)
  • 対外的な告知方法(広報・Web・SNSの活用)

在宅勤務などオフィスに依存しない働き方の推進

働き方改革やワークライフバランスの推進で推奨されている、ネットワークとITシステムによる自宅やサテライトオフィスなどの勤務場所を選ばない遠隔勤務環境の整備を行います。
ウイルスはオフィス内だけでなく、通勤時の駅や電車内でも感染します。大流行した場合は公共の場所で感染するリスクが高まります。そのため、在宅勤務の方法などをあらかじめ決めて、出社しなくても業務に影響を与えない在宅勤務体制を構築すると感染リスクの低減に効果を発揮します。

TV会議やWeb会議システムを利用して、社内と同じようにコミュニケーションを取りながら仕事をするシステムを積極的に活用することは、平常時から行っていればいざというときに慌てずに済みます。また在宅勤務は、本人だけでなく家族が罹患した場合に看病をしながらの勤務も可能となります。
今ではパソコンやタブレットを所有している方がほとんどですし、自宅にインターネットの回線を引いているのも当たり前の時代となっています。少ない投資で利用ルールの設定と管理方法を整備するだけですぐにでも始めることができます。

インフルエンザと風しんの予防対策

最後に、感染者が多く発生するインフルエンザと風しんの予防方法をご紹介します。

風邪・インフルエンザ・風しんの症状の違い

風邪

風邪も一般的なウイルスで感染しますが、多くは喉の痛みや鼻水、くしゃみ、せきなどの症状が中心で、発熱も37~38度程度に収まるケースがほとんどです。重症化することは少ないのですが、まれに肺炎など重篤な状態になる場合もありますので、「たかが風邪」などと思わずに病院で適切な処置を受けてください。
予防は免疫力が低下しないように、健康な生活を送ることが第一です。

インフルエンザ

強力な感染力を持つ「インフルエンザウイルス」で感染します。インフルエンザウイルスは、その構造の違いからA型、B型、C型の3タイプに分類されます。そのため、一度罹患してもタイプの異なるインフルエンザに罹患することもあります。
症状は38度以上の発熱と頭痛・関節痛・筋肉痛といった全身症状となります。子供や高齢者、免疫力が低下している場合は肺炎など重症化する可能性がありますので、通院による適切な治療が必要です。また感染力が高いため罹患した際は、ウイルスが体内から完全に排出される1週間程度は外出ならびに人との接触を避けてください。

インフルエンザの予防には予防接種が効果的です。流行前に予防接種をすることでインフルエンザにかかりにくくなり、罹患しても症状が軽度で済む効果を得られます。毎年インフルエンザの流行が本格化すると、ワクチン不足から予防接種を受けられないことが話題になります。
できるだけ早めに予防接種を受けることをお勧めします。予防接種以外の方法として、不要な外出を控えましょう。そして室内の湿度を高め、休養を取り、栄養バランスの良い食事を摂取してください。また、手洗いやうがいも効果的です。特に外出先から帰ってきた場合は必ず手洗いとうがいを行ってください。

風しん

風しんは、発熱、発しん、リンパ節腫脹を特徴とするウイルス性発しん症です。風しんを発症すると、主な症状として発しんが現れます。小さく赤い発しんが全身に広がっていきます。そのほか、38度前後の発熱、耳や首の後ろのリンパ節の腫れ、目の充血、軽いせきなどの症状があります。全てがそろわないことも多いです。大人では関節痛が現れることも多く、また大人がかかると高熱が出たり、発しんが長引いたりするなど、重症化することもあります。妊娠中に風しんに感染することで、胎児に障がいが出ることもあるので注意が必要です。
風しんは世界的に流行しており、海外で感染するケースが多いといわれています。訪問先や航空機内での感染にご注意ください。

風しんは、風しん含有ワクチンを接種することで予防できます。風しんワクチンは、1回の接種だけでは、20人に1人は抗体ができないと考えられているため、2回の接種が推奨されています。2回接種する場合は、1回目から最低でも1カ月以上の間隔を空けることが必要です。風しんの予防接種には、MR(麻しん風しん混合)ワクチンの使用が推奨されています。なお、妊娠中は風しんの予防接種を受けることができません。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。