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入社式と導入(新人)研修の準備

共に働く新入社員を迎え入れ、育成するためには周到な準備が必要

定期採用の新入社員は、企業の中枢を担う貴重な戦力として位置付けられています。入社行事はセレモニーとしても重要ですが、新人育成のための戦略的な視点で準備を行う必要があります。

[2020年 1月15日公開]

入社式(基本編)

定期採用の新入社員を迎え入れるための「入社式」を重要なセレモニーとして位置付け、厳粛に執り行う企業は多いのではないでしょうか。
一方で、最近では採用の多様化により中途採用者の割合が増えているため、入社式は導入研修のプログラムの一部として行い、式典要素を少なくする企業もあります。また会社の特徴を表すために、先輩と新入社員がお互いの靴を磨き合う「靴磨き入社式」や、全て英語で行うなどのユニークな入社式を実施する企業もあります。

始めに、基本的な入社式の運営方法をご紹介します。

入社式の準備

入社式は通常、新年度が始まる4月1日(土日の場合は4月最初の平日)の午前中に行います。
会社として定期採用した社員を正式に社員として迎える日であり、新入社員にとっては社会人としての初日となります。お互いに期待と不安で迎えるその日は、式は厳粛な中にも温かみのあるものにすることが大切です。

1.会場を決定する

会場は社内の会議室が基本となりますが、式の内容や参加者の人数によっては外部の貸し会議室やホテルの宴会場を借りることもあります。入社式終了後に役員や先輩社員と新入社員が共に会食する場合は、宴会場や飲食のケータリングを利用することも検討します。
外部の会場を手配する場合は他社からの予約も同じ時期に集中するため、数カ月前に会場を確保することをお勧めします。

2.役員・管理職のスケジュール確認/あいさつなどの依頼

当日出席する役員や管理職のスケジュールを確認します。また、司会やあいさつを行う方にはその旨もあわせて依頼します。

3.式次第の作成と会場レイアウトの検討

会場と出席者の調整が終わったら、次に式次第を作成します。式次第とは、式の順序のことです。基本的な入社式の式次第は、以下のような形となっています。

式自体は短時間に要領よく進行することが原則です。全体で30分程度にまとめることを目指してください。特にあいさつは訓示めいた話を長々とするのではなく、伝えたいポイントのみを簡潔に3分以内にまとめてもらうよう依頼しましょう。

会場レイアウトの基本は、正面に演壇と入社式看板、もしくは企業CI(ロゴ)、向かって右側に社長役員席、左側に司会者、幹部社員が並びます。
式次第ではプロジェクターで投影し、式の前後で企業ビデオやビデオメッセージを流します。
新入社員の後方に、社員や新入社員の家族席を設けます。

4.懇親会・会食

入社式終了後に歓迎パーティーや会食をすることもあります。新入社員は緊張し遠慮しがちになりますので、役員や上司・先輩社員は自ら話し掛けるようにしましょう。なるべく多くの方々と会話をすることを目的とする場合は、立食形式をお勧めします。

5.入社式の案内

式次第が決定したら、新入社員に案内状を手渡しまたは送付します。通常は内定者の事前研修時に入社式の案内をしますが、その際に出席の際の注意点を周知します。
注意点の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 服装について
  • 自己紹介について
  • 入社手続きに必要な書類や印鑑について
  • 父母の同伴について(注1)
  • (注1)近年は新入社員の父母もステークホルダーの一員として、入社式の参加を認める傾向にあります。ただし会場キャパシティーの問題や、研修の中で辞令交付を行う場合は、別室でモニターを視聴する形態を検討することや、ご遠慮いただく場合もあります。いずれにしても案内を配布する際にきちんと説明しましょう。

入社式(応用編)

式典(セレモニー)としての入社式は前述したとおりですが、新入社員が入社したことを体感するために、イベント仕立ての入社式を行うケースも増えているようです。また、社員との交流を深めるために「第1部:式典/第2部:アトラクション」の2部構成にして、アトラクションでは会社や業務に関してのクイズ大会をするなど、さまざまな工夫を凝らした入社式を行う企業もあります。

特色ある入社式を行うために

特色ある入社式を行うためには、経営者の意思が明確でなければなりません。そのうえで新入社員に対して企業メッセージを分かりやすく伝えるために、新入社員と世代の近い若手社員を中心に実施運営することが有効です。

1.プロジェクトの立ち上げ

経営トップが主体となって、若手社員を中心に選抜した「入社式プロジェクト」を結成します。
このプロジェクトメンバーが主体となって、企画立案を行い、式当日の役割分担を行い実行します。総務・人事部門は、プロジェクトで決定された内容に沿って予算管理や全社調整をします。

2.企画立案

入社式の目的を明確にします。例えば、社風の理解・体感や業務内容の理解、会社の未来を共感する、など新入社員に伝えたいメッセージを具現化する式とします。

企画の段階では、目的が達成される内容となるのかを中心に、実施可能か(無理はないか)、失敗のリスクがないかを徹底的に検証しましょう。例えば、「入社式アトラクションとして社外のグラウンドを借りて、部署対抗運動会をやろう!」という企画を立てた場合、雨が降ったらどうするのか、ケガが発生したらどうするのか、などのリスクを想定して対策を考えます。

企業活動が広域にわたる会社では、テレビ会議やWeb会議システムの利用も役立ちます。支店や営業所のスタッフや海外勤務中の社員からのメッセージの放映や質疑応答を簡単に行うことができます。接続状態が悪く、不具合が生じる可能性がある場合は、事前に動画メッセージを送ってもらい緊急時には切り替えられるよう準備しておけば完璧です。

3.実施

プロジェクトメンバーが役割分担をし、それぞれのパートの責任者として運営に携わります。年度末の多忙な時期に準備を行うことになり、自分の業務と入社式準備を調整するのは大変ですが、どちらも重要な業務と捉え効率よくこなしましょう。

4.広報

特色ある入社式を行う場合、新聞やテレビなどでのPRを目的とする場合があります。その場合は、広報担当者とも連携して、マスコミ各社に取材依頼をするなど積極的な広報活動を行います。手間は掛かりますが実際にニュースで紹介されると、大きな注目を浴び、新入社員への印象も高まります。

人材を育成する研修の流れ

新入社員は入社内定以降、幾つかの研修を経て一人前のビジネスパーソンとなります。

内定者研修は正式に内定した直後から始まります。企業の概要や語学・文章作成などの基本的なスキルを身に付けることを目的としています。また内定辞退などの流出を避けるために、社員とのコミュニケーションの機会として利用することもあります。

入社式以降は導入研修となりますが、入社直前の事前研修⇒入社式⇒導入研修というように、式と事前・導入研修を連続して行う企業もあります。導入研修以降はOJTを経て部署に配属となり、勤続年数、専門分野、管理職など、スキルアップや役職に応じた研修となるのが一般的な研修の流れです。

導入研修の準備

導入研修の日程は最短で2週間程度から、長いところでは1年など、企業によって異なります。
おおむね1カ月程度の研修を行う企業が多いようですが、「時間をかけてじっくりと育てたい」という人事・研修担当と、教育コストの高騰や現場の人手不足などの理由により「早く配属してほしい」という現業部門との意見のせめぎ合いになることもあります。

いずれにしても「『活躍する社員』を育てたい」というのは、どのような立場であれ共通する目的となりますので、導入研修で行うのは社会人としてのマナーや心得を身に付け、会社の成り立ちや業務全般を理解することがメインとなります。
また、新入社員が一堂に会して研修を受けることが、同期意識=会社に対しての帰属意識向上につながりますので、同期の結束を意識した雰囲気を演出していくことも重要なポイントとなります。

導入研修のカリキュラムは以下の項目を中心として、企業ごとの特性に合わせた内容を付加していく形になります。

研修カリキュラム例

会社全般の理解

創業時のエピソード、発展の理由、危機の理由、危機を乗り越えた秘訣(ひけつ)など、企業アイデンティティーやそれに関連することを創業者や代表者に語っていただくことが重要です。教科書的な知識ではなく、経営者の思いを伝え社是や社訓を徹底して習得することが、会社や自分自身の将来を展望する際に役立ちます。
特に働き方改革などで働き方の多様化が進むことで、在宅勤務など会社と社員の関係性が気薄になる可能性も出てきます。そのため「経営者の理念に共感する」ことが、とても重要な要素になってきます。

もう一つ重要なのは、会社ルールの理解です。なぜそのルールがあるのかをきちんと説明し理解させることが必要です。例えば、セキュリティに関わるルールにはパスワードの徹底や「○○してはいけない」など、面倒だと思うようなルールが多々出てきます。しかし、それは会社の安全を守る=社員の安全のためであることをきちんと理解してもらいましょう。特にSNSなどは、学生時代の感覚のまま利用することのないように意識の切り替えを徹底してください。

社会人としての行動規範の習得

学生から社会人への大きな変化をもたらすのは、社会人としての行動研修(マナー研修)です。あいさつや敬語の使い方、電話応対、名刺交換などの基本的なマナーの習得は当たり前のことですが、実践できない人も多いのが現状です。マナー研修はノウハウのある外部の専門講師に依頼する場合が多いようです。
配属されると周囲に最初に注目されるのが「マナー」です。厳しくきめ細かな指導を行いましょう。

業務の基礎知識

各部門の先輩社員が業務内容を説明します。導入研修後に実際に現場を訪問する「OJT研修」と連動して、専門用語や業界独特の言い回しなど、現場で戸惑うことのないよう基礎知識の研修を行います。

共通研修項目

グループ討論、ロールプレーイング、社外見学会などを行い、アイデアを出す人間、まとめ役、細かなことに気が付くなど、個々のタイプや適性をチェックしていきます。

研修会の運営と課題

運営の基本

研修会のカリキュラムに沿って、日程・講師・会場を調整します。また、レジュメやパンフレットなどの必要な資料は研修開始前に集めて準備しましょう。
講師に任せっぱなしにせず研修には必ず同席し、問題点があればすぐに改善します。対応が遅れると研修効果がマイナスになる可能性も出てきます。分かりにくい内容や間違いなどはすぐに補足や訂正を行ってください。

上記以外で研修会運営に必要な作業は、以下のとおりです。

効果測定

新入社員
研修期間中は研修日報を義務付け、習得したことと不明な点を報告。研修内容の理解については習熟度を判定するテストを実施し客観的な評価を行います。理解が足りない場合は個々に補習を行います。
配属部署
配属部署ごとに教育担当者を設定し、周囲の評価をヒアリングしてまとめます。問題がある場合は、速やかに本人との面談を行い指導します。

講師の育成

「後輩は自分たちの手で育てる」ことを基本とし、積極的に社内講師の育成を図りましょう。特に、現業の説明などは自分たちの業務を客観的に分かりやすく解説する必要がありますので、自分自身や部署の業務を見直す良い機会になります。
このような観点から講師の得意な社員だけにやらせることは避け、担当のローテーションを行いなるべく多くの社員が講師としてのスキルを身に付けられるようにしましょう。

研修コストの低減

人材育成は企業の次世代構築の一環と捉え、先行投資として積極的に行う企業がある一方、投資効果がすぐに見えないために予算を縮小する企業もあります。
合宿研修の短期化や廃止、外部講師の減少などが主な事例となります。コストの問題を解決するにはテレビ会議を積極的に活用し、全国から出張して研修を受けるスタイルを必要最小限にするなど、ITやネットワークを活用した研修が効果的です。

また、内定者研修などの際、遠隔地在住の学生に対しては、自宅でできる「eラーニング」を活用して、交通宿泊費や本人の体力的負担を軽減する方法もあります。
最近では、日常的にスマホを使用することが多く、PCスキルが不足している学生が多いともいわれています。eラーニングはパソコンのスキルアップ教育にも最適かもしれません。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。