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業務委託契約の注意点

増える外部への業務委託。契約内容を十分にチェックしてトラブルを回避

社内で業務処理ができない場合、外部の専門スタッフに業務を委託することがあります。手軽に委託できる反面、未納品などのトラブルが発生することも。業務委託契約は慎重に行いましょう。

[2020年 1月29日公開]

業務委託契約とは

まず、業務委託契約について説明します。企業で必要とされる業務が発生した際に、自社内にノウハウや適した人材がない場合に、その業務に対する遂行スキルを持った外部の企業や個人スタッフに委託することを「業務委託」といいます。
例えば、自社で販売する製品のパンフレットを制作する際にデザイナーが必要になったとします。社内に専門の部署がありデザイナーがいる場合は社内で制作できますが、いない場合は次の三つの方法で制作を進めることになります。

  1. 新たにデザイナーを雇用する(雇用契約)
  2. 派遣会社にデザイナーの派遣を依頼する(派遣契約)
  3. 外部のデザイン会社、もしくは個人(フリーランス)のデザイナーに業務を委託する(請負契約)
  • * ( )内は法的な契約名称です。

1は労働法に基づいた常勤者としての契約となり、勤務地や勤務形態、月額の報酬(給与)を定めて契約します。

2は、派遣法に基づき、発注企業は派遣会社と派遣契約を結び、派遣会社と契約した派遣スタッフが、派遣会社の指示・管理に従って依頼元の企業で勤務します。

3が一般的に「業務委託契約」と呼ばれる方法です。依頼する成果物の仕様と納品日、報酬について請負側と協議し「業務委託契約書」にまとめて契約します。発注した後は納品を待つだけとなります。

業務委託契約の法律上の正式な契約名称は「請負契約」といいます。それは委託の範囲があらゆる業務に及び、明確に定義することが困難であるためです。この例の場合においても、実際の契約では業務委託だけでなく納品された作品の権利(著作権譲渡)など複数の契約が含まれます。これらの複数の契約内容をまとめた書類が「業務委託契約書」と呼ばれるものです。

業務委託:依頼者側のメリット

依頼者側からすると1の雇用契約や2の派遣契約は、直接作業内容や進捗(しんちょく)を指示し、きめ細かく管理できる反面、作業用のスペースやPCなどの設備を用意する必要があり、また依頼した業務予算以外の管理コストもかかります。そのため、通常は長期的な事業計画に基づいてスタッフの配置や労務管理を行います。

業務委託契約は、依頼した成果物が納品されるのを待つだけであり、途中の指示や進捗の管理は必要ありません。予定した予算内で委託できれば余分なコストもかからないため、スポット的な業務の場合は手軽な方法となります。

業務委託:請負側のメリット

委託される側(請負側)にとっては、依頼された成果物を指定の期日までに納品すれば業務が完結し、作業の時間や場所は自分の判断で決められるため自由度が高いといったメリットがあります。
また、自分の得意とする業務で報酬が得られ、人間関係によるストレスも常勤に比べて少ないとされています。

業務委託する場合の注意点

最近はインターネットで依頼先や受注先が簡単に見つかるため、業務委託の割合が高まりつつあります。しかし、実際に業務を委託する場合は、以下の点に注意してください。

業務委託契約書の締結

業務委託は、依頼した成果物が依頼したとおりの条件で納品されることで報酬が発生します。そのため、委託する業務内容(依頼条件)と報酬を、できるだけ具体的に契約書に盛り込む必要があります。
また、契約書に明記された仕様を満たしているか、実際に納品された成果物の検品も慎重に行ってください。

業務委託でのトラブルは、成果物に関する責任の有無が大半を占めます。納品後に「言った言わない」でもめることのないように注意しましょう。契約書には以下の2点を具体的に記載し、依頼者と請負者双方が責任を明確にし納得(信頼)をして業務委託契約を締結してください。

成果物が依頼条件と異なる場合の対処

  • 成果物が納品されない場合(契約の中途解約)の責任と賠償について
  • 成果物が契約と異なる仕様の場合、やり直しの責任と費用負担(賠償を含む)について

請負契約の場合、請負者は成果物を納品完了するまで報酬を請求することはできません。また請負者は依頼者に対して、成果物の不具合やミスが発生した場合に負う「瑕疵(かし)担保責任」があります。
従って、業務が依頼どおりに行われない場合は請負側がやり直しを行い、それによる損害が発生した場合は損害賠償の責任も負います。

また、業務委託契約を締結する際には秘密保持契約(NDA)を必ず締結し、情報漏えいが発生しないようにご注意ください。

成果物が発生しない業務の委託について

業務委託は事務作業や受付業務など、成果物が伴わない作業もあります。その場合は、委託/準委託契約となります。

委託契約
弁護士や税理士など法律で定めた専門士業の場合
準委託契約
プランナーやコーディネーターなどの法的な専門士業以外の専門家の場合

委託/準委託の場合は、業務を遂行していれば報酬請求権が発生します。また、一般的に注意しなければならないミスのみ責任を負います(善管注意義務)。

業務委託契約の収入印紙について

業務委託契約と準委託契約の場合は、契約書に、成果物に対しての報酬金額によって、印紙税法に定められた金額の印紙が必要になります。

契約金額と印紙税

記載された契約金額印紙税
1万円未満非課税
1万円~100万円以下200円
100万円超~200万円以下400円
200万円超~300万円以下1,000円
300万円超~500万円以下2,000円
500万円超~1,000万円以下10,000円
1,000万円超~5,000万円以下20,000円
5,000万円超~1億円以下60,000円
1億円超~5億円以下100,000円
5億円超~10億円以下200,000円
10億円超~50億円以下400,000円
50億円超600,000円
契約金の記載がないもの200円
  • * 出典:国税庁Webサイト「No.7102 請負に関する契約書」を元に作成。

ただし、契約金額の記載がないものは200円、契約金額が1万円未満の場合は非課税(0円)となります。また、法的な業務を受託する専門士業の委託契約も非課税となります。

契約書の内容によって印紙税の扱いが異なる場合がありますので、契約内容の確認とあわせて顧問弁護士などによる契約書のリーガルチェックを受けることをおすすめします。

参考サイト

「No.7102 請負に関する契約書」(国税庁のWebサイト)

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