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少子高齢化時代の検証「採用活動」

少子高齢化時代の到来に対応した「採用活動」について考える

年々減少していく「新卒の学生数」。特に中堅・中小企業では、労働力の確保が大きな課題となっています。このような社会環境の変化と効率の良い「採用活動」について検証してみました。

[2020年 3月11日公開]

雇用環境の変化

企業の雇用環境は景気によって大きく変化します。通常、好景気では人材採用が活発になり、従業員数も増加します。しかし、景気が好調であっても従業員数が減少するという現象が起きています。経済産業省がまとめた「2014年版 中小企業白書」によると、この傾向は小規模な企業(従業者1~29人)で顕著に表れ、2009年のリーマンショックの景気後退以降は、景気の回復とともに新規求人数が急増しているにもかかわらず従業員数は減少傾向にあり、採用困難な状況が顕著となっています。

従業者規模別の新規求人数の推移

出典:厚生労働省「職業安定業務統計」、経済産業省「2014年版 中小企業白書」第2部第1章第4節を基に作成。

【グラフ】従業者規模別の雇用者数の推移

出典:厚生労働省「職業安定業務統計」、経済産業省「2014年版 中小企業白書」第2部第1章第4節を基に作成。

この原因としては「少子高齢化」による労働人口の減少が大きいといわれています。労働人口の減少は今後も続きます。また人口構造の変化だけでなく、IT化の促進や働き方の多様化など、技術や価値観の変化も採用活動に大きな影響を与えていると思われます。企業活動は働く「人材」がなければ遂行できなくなります。新しい社会環境に合った「採用活動」を検討し実践していくことは、企業が生き延びるために取り組まなければならない大きな課題となっているのです。

参考

採用活動のステップとポイント

採用活動は大別すると、定期的に行われる新卒採用と、必要に応じて行う中途採用の二つのパターンに分かれます。そして、それぞれの採用活動方法や内容は、採用目的や獲得したい人材によって大きく変わります。また中途採用の場合は正社員としてだけでなく、契約・嘱託・派遣社員、パートタイマー、アルバイトなど雇用形態も異なります。しかし、「欲しい人材を明確にし、自社の魅力を伝え、応募者の資質を見極める」という採用活動の基本はどのような場合でも共通です。

一般的な採用活動は以下のようなステップで行われます。採用活動は単なる人材獲得だけでなく、企業活動や将来構想をPRする役割も果たします。そのため、応募者に対して不快な印象を与える言動や行動をしないことが採用活動の大前提となります。

1.経営計画・方針に基づいて採用計画を立案⇒欲しい人材イメージを明確化

新卒採用は、人事部門が全社経営計画に沿って採用者数を定め採用活動を行います。中途採用も基本的には同じですが、人事部門だけでなく部署ごとに必要となる人員の採用活動を行い、入社手続きや教育研修を人事部門に引き継ぐケースも多くあります。

この段階でのポイントは、どのような人材が必要なのかをできるだけ具体的にすることです。
例えば新卒採用の場合、経営目標の達成にふさわしい資質を持った人材となります。また中途採用であれば、会社(部署)が目指すレベルの業務スキルや経験を持った人材が採用ターゲットとなります。

2.媒体の選定⇒効果測定・検証

欲しい人材によって求人告知をする媒体を検討します。ここでいう求人媒体とは、以下のようなものです。

採用活動で利用される媒体例

  • 自社ホームページ(企業SNS含む)
  • 採用説明会の開催、求人説明会の参加
  • テレビ・新聞・雑誌などのマスメディア
  • 求人誌・求人Webサイトなどの求人専門媒体
  • 人材紹介会社への依頼
  • 人材派遣会社への照会
  • 会社関係者、知人への人材紹介依頼
  • 公共機関への依頼(ハローワーク、学校就職課など)
  • その他(事務所・店舗での求人掲示など)

採用規模、予算によって利用する(できる)媒体が異なります。ここでのポイントは、どの媒体でどのような人材が獲得できたかという効果を把握し、全社に共有することです。これが蓄積されることで、採用のノウハウも獲得できます。

3.採用選考⇒コミュニケーションの醸成

応募者が集まったら採用選考に進みます。採用選考は筆記・実技・面接などの方法がありますが、応募者と直接コミュニケーションをする貴重な機会となります。採用・不採用にかかわらず、自社の良いイメージを印象付けることを第一としましょう。
そのために必要なのは「コミュニケーション力」です。受付から始まり結果通知まで、応募者と良好なコミュニケーションを図ることを心掛けてください。応募者に対して好印象を与えることが、他社との大きな差別化につながります。たとえ入社に至らなくても、自社のファンを増やすことは企業発展の第一歩となります。逆に、思いやりのない、冷淡な応対は大きくファンを減らす要因の一つになり得ます。

採用活動の秘訣(ひけつ)は「自社の魅力をきめ細かく発信」すること

採用活動を円滑に行い、有能な人材を獲得するためには「自社の魅力」を的確に伝えることが重要になります。ここでいう「有能」とは、自社の経営理念や目標を達成する意志、そのために必要なスキルを持った人材です。そのためには自社(経営者)の理念を分かりやすく明確に伝える必要があります。

会社の存在意義や目的を伝え、それに共鳴する人を獲得することが大切です。たとえ最初は小さくても、ぶれることなく経営理念を世に浸透させることでその会社は大きな成長を遂げるのです。

これからは労働人口の減少だけでなく、テレワークなど働き方自体が大きく変化していきます。従業員が自宅などそれぞれ異なる環境で働く機会が増えれば、会社としての機能を維持するために経営理念の浸透(従業員一人一人が経営者という感覚)が必要になります。これは社是を覚えたからといって成り立つものではありません。経営者(経営層)と従業員が、きめ細かなコミュニケーションを積み重ねることが必要です。

採用活動においては、SNSを効果的に利用するなど、新しい環境に対応したメディアも使いこなして自社の魅力を発信することが、企業が存続・成長するために必須となるのではないでしょうか。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

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