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もしもに備える「労災保険の基礎知識」

仕事(通勤含む)に起因するけがや病気は労災保険が適用になります

もし通勤途中に地震が発生してけがをしたら……。そんなときに従業員の生活を補償するのが労災保険です。今回は労災保険の適用範囲と申請方法について解説します。

[2020年 7月15日公開]

労災保険とは

企業が労働者を雇用する際は、「労働保険」に加入しなければなりません。労働保険は、雇用保険と労働者災害補償保険(以下、労災保険)の2種類があります。

雇用保険は、会社都合(倒産や業績悪化に伴う人員整理など)もしくは自己都合によって退職した場合に補償される制度です。労災保険は、就業中や通勤時に発生した事故や災害で負傷したり、仕事が原因で病気になったりした場合に保険給付を行う制度です。労災給付の種類は、療養給付・休業給付・傷病給付・障害給付などがあります。

事業主は労働者(パート・アルバイトを含む)を1名でも雇っていれば、労災保険への加入義務が生じます。また、保険料も事業主側が全額支払わなければなりません。

原則として事業主側の会社役員やフリーランスの方は対象外ですが、役員でも雇用者から指揮命令を受ける立場である場合や、個人タクシー・漁船など特定事業に従事している方は、例外的に労災保険の加入が認められる場合があります。

労災保険の適用範囲

1.業務災害の場合

労働災害は、大別すると業務上に発生する災害(業務災害)と職場への通勤中に発生する災害(通勤災害)の二つがあります。

まず業務災害とは、労働者が業務を遂行しているときに発生したけがや病気などをいいます。例えば、工場で機械操作や製品運搬中に転倒してけがをした場合は、業務災害として労災保険が適用されます。仕事や業務環境に起因するメンタル系の疾病や過労死なども業務災害となります。

労災保険の適用に当たっては、業務と傷病との間の因果関係を明確にする必要があります。そのため、労災保険の申請が全て適用になるとは限りません。私的な行為や因果関係が不明確な場合は、健康保険による治療となります。

2.通勤災害の場合

労災保険の適用範囲は、就業場所(オフィスや工場など)での事故・災害だけではありません。勤務地までの往復中の事故や災害で負傷した場合も適用されます。

ただし労災保険の適用は原則として、会社から交通費の支給を認められた通勤経路で起きた事故が対象となります。通勤経路からそれて、寄り道した場合は適用されません。しかし生活必需品(食料や日用品)の購入でスーパーなどに立ち寄った場合の事故では、労災保険の適用が認められた場合もあります。

労災保険の適用は、業務との因果関係や通勤のために利用する往復経路で発生した事故・災害であることを証明する必要があります。
もし従業員から労災保険の適用が想定されるような傷病の連絡を受けたら、因果関係や発生場所など、状況を客観的に証明できる物や証言を保全しましょう。

労働者を守る前提として、労災保険が適用されるような傷病が発生しないように、労働安全衛生法に基づいた安全管理と指導を徹底しましょう。また通勤時に地震などの災害や事故にあった場合は「電車が○分以上遅れたら帰宅、もしくは近隣の安全な場所へ避難」などといった指示を徹底し、無理に出社させて無用なリスクを被らないように注意することも必要です。

労災保険の申請方法

不幸にも労災保険の適用の可能性がある傷病が発生した場合、労災保険給付の申請を速やかに行います。

1.労働基準監督署に申請

申請書を用意します。申請書は労災の種類によって異なります。労働基準監督署、もしくは厚生労働省の請求書ダウンロードページから入手してください。

2.請求書の作成

入手した請求書に必要事項を記入し、事業主(代表取締役など)の署名・押印が必要です。
会社設備の不具合による事故など企業側の責任を問われる場合や、労災保険書類の不備・労災保険料未納などで事業主が署名を嫌がるケースもあります。労災を隠蔽(いんぺい)した場合、労働安全衛生法違反となりますので労働基準監督署に相談してください。

3.請求書の提出

請求書を作成したら労働基準監督署に提出します。提出すると労働基準監督署から請求内容の確認調査が入ります。前述したように、業務との間の因果関係を証明する物があると調査がスムーズになります。労災保険の対象に認定されると給付が決定します。

まとめ

労災保険は労働者が業務中や通勤中に傷病を被った場合に、生活を支援するための保険です。労災保険の加入は企業の義務となっていますので、雇用保険とあわせて加入手続きは厳格に行いましょう。

作業に危険を伴う業種だけでなく、過重労働の回避やメンタルヘルスケア対策など労働者が安心・安全に働ける環境整備は何より優先されます。2020年4月には、新型コロナウイルス感染症に関する労災保険適用の通達も出されています。また大きな災害の場合は、労災保険だけでなく関連する助成金なども用意されますので関係省庁や自治体からの情報に注意しましょう。

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著者紹介

マネジメントリーダーWEB編集部

企業を活性化する総合マネジメント情報サイト「マネジメントリーダーWEB(http://www.mng-ldr.com/)」を企画・運用。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。