Clip #291 GWスペシャル GWは箱根に 後編

2017年5月5日公開分のアップルクリップの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

今週も、美しい箱根の森にたたずむポーラ美術館から学芸員の東海林洋さんをお招きし、【GWは箱根に】と題してお届けします。

今回は、ポーラ美術館開館15周年記念展として大々的に開催されている「ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌」展について、詳しくお話をお聞きしました。

ポーラ美術館は、ポーラ化粧品で知られるポーラ・オルビスグループのオーナー鈴木常司氏が数十年にわたって収集した美術品約9,500点を展示するため、2002年9月に開館し、現在はなんと1万点の作品を所蔵しているそうです。
鈴木常司氏は、経営者としても大変有能で、ポーラを日本有数の化粧品メーカーとして育て上げたのみならず、コレクターとしても並々ならぬ才能を発揮され、そのコレクションの素晴らしさや着眼点には心底驚かされます。私も、いろいろなコレクターの作品を見てきていますが、鈴木氏ほどお客様を意識したコレクターは世界でも珍しいのではないでしょうか。一つの作品を見せるだけではなく、その作品に関連する他のアーティストの作品がずらりとそろっている、大変に見ごたえのあるコレクションなのです。

現在は、開館15周年ということでとても素晴らしい企画展が開催されています。美術評論家であり共立女子大学名誉教授で、ピカソやシャガールの著書もある館長の木島俊介氏渾身の企画とも言える本展は、有能な6名の学芸員に支えられて開催されました。

実は、本展のようにピカソとシャガールの作品を一堂に展示するのは、世界でも初めてだと言われています。作品をお借りする際に、シャガールの遺族には冗談だろうと言われたとか。

ピカソは、日本でもとても高く評価されていますが、実は当時のフランスではシャガールの方が国民的作家として高い評価を受けていて、国からの依頼でいくつもの作品を作っています。
一方ピカソは、国際的な評価は受けていたものの、オペラ座の仕事などで高い評価を受け続けるシャガールに強い嫉妬を感じていたとか。

2人が若い頃、共通の友人だった天才詩人ギヨーム・アポリネールから、両者を引き合わせない方が良いということで疎遠にされていたようで、交流があったのは、晩年。しかし、パーティの席でピカソがシャガールに言った悪いジョークで仲たがいをしてしまったのだとか。

そんな2人の作品は、時代の空気に呼応するかのように深化していきます。
その対照的な2人の作品を、華々しいデビューや恋愛、戦争や恋人との別れなどを通じながら、愛と平和というテーマで対比させる今回の企画は、とてもユニークだし、対比を強調した“対決壁”を設けて見せてくれる本展示の趣向もなかなか見ものです。

この展示は、2017年9月24日まで開催されており、展示作品も季節ごとに一部入れ替わります。
私も、既に2回伺っているのですが、また何度かお邪魔したいなと思っています。

今回は、箱根の魅力などについてもお話をいただきました。春から初夏にかけて美しい新緑も見逃せませんよね。ぜひポーラ美術館にお訪ねくださいね。

今回、ピカソの作品をお借りしている彫刻の森美術館のピカソ館も東海林さんのオススメです。

「ピカソとシャガール 愛と平和の讃歌」展のコースメニュー「太陽の食卓」です。
企画展コースメニュー(ポーラ美術館)

ちなみに私のオススメは、ロマンチックな星の王子さまミュージアムと、おそば、そして迫力の縄文式火焔土器が間近で見ることができる箱根美術館。
おいしいおそば屋さんがたくさんありますから探してみてくださいね。それにたくさんの立ち寄り湯を巡ってみるのも楽しいですよ。

  • *収録を終えて SatoRichman

番組視聴はこちらから

次回予告

Clip #292 スケバンりんご刑事参上

公開予定日:2017年 5月12日

GUEST PROFILE

東海林 洋(しょうじ よう)

1983年、北海道生まれ。早稲田大学第一文学部美術史学専修卒業。同大学院修士課程美術史学コース修了。
専門は20世紀西洋美術史。主な担当展覧会に国立西洋美術館共催の「モネ、風景をみる眼」(2013年)、「いろどる線とかたどる色」(2014年)、「自然と都市 印象派からエコール・ド・パリまで」(2015-2016年)がある。

ポーラ美術館

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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