立教小学校教頭 天野英彦(アマノ ヒデヒコ)

2024年5月31日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第21回は、立教小学校教頭 天野英彦(アマノ ヒデヒコ)先生にご登場いただきました。

歌いながら楽しく英語を学ぶ子どもたちを見て小学校の英語の先生に

天野先生は立教小学校で英語を教えていらっしゃるとお聞きしました。

「2000年ぐらいから英語を担当していましたが、今は授業を持ってないんです。教頭先生という役職につきましたもので。」

小学校の英語授業というのは、今は一般の学校でも義務化されているんですか?

「5、6年生は義務化されています。3、4年生も外国語活動といって、英語の授業というわけじゃないんですが、外国語に慣れ親しむ活動は必須になっていますね。
立教小学校では、開校した2日後から英語の授業があったそうです。アメリカの宣教師の方が開かれたのが立教なので、もともと英語と政治性を教える学校だったようで。英語を教えるというより、英語はもともとベースになっていたんでしょうね。」

もともとは、小学校の先生になろうとしていたわけではなかったと伺いました。

「中高で社会科を教えていました。免許は社会科と英語と両方持っていたんですが、当時勤めていた学校で、英語科の教員が足りなくなったから、英語もやってくれって言われて。中高で5年間勤めた後に日本の小学校で教えてみようかなと。」

中高というのは日本の学校ではないんですか?

「はい、イギリスにある立教の英国学院というところで教えていました。帰国して、小学校もチャンスがあればと思って、全く新しい世界に飛び込んでみました。

実は、私自身も立教小学校の出身なんですが、今は、どんな英語教育をやっているんだろうと思って、授業を見学したら、子どもたちが英語のわらべ歌を歌いながら楽しそうに輪になって遊んでいるんですね。私自身も音楽が好きすぎるってところがあるので、子どもたちと歌いながら暮らせるなら、こんないい仕事はないなぁ、と。すぐに、ここで仕事ないですかって問い合わせました。」

上から教えるのではなく、フラットに子どものアイデアを取り入れる

iPadも授業で活用していらっしゃったんですね。

「iPadの前に、iPod Classicを使って、英語のライブラリみたいなものを最初に作ったんですね。もともとカセットテープに授業で扱っている歌とか絵本とか、そういったものを全部録音して、子どもたち120人分とかダビングして、家でも聞けるようにしました。週に1回、2回の授業だけで英語なんて身に付かない。おうちでも勉強したいなと思った時に取っ掛かりがあればと。カセットテープがCDになり、CDもそろそろ聞けないよってなった時にiPodが出てきて。 その流れで、iPadが出た瞬間、鼻血が出るほど喜びました。音も出るし、映像だって流れるし、こんなマルチメディアなものを授業で使ったら楽しいし、きっと子どもたちの学びも豊かになる、私たちが小学校の頃の言語学習とは全く違うことが起こるだろうと思いました。

最初は学校の中だけで英語の教材として、そこに入ってるコンテンツ楽しみながら自分のペースで勉強して、個別最適化のはしりみたいな感じでやっていました。そのうち、保護者が授業参観の様子を見て、『iPadを家に持って帰って勉強させられないでしょうか?』っておっしゃるので、だんだん高学年から始めて、コロナの時期には、小学校の720人全員が1人1台の環境にありました。」

コロナ禍では、オンライン授業をされたんでしょうか。

「実は、ほとんどしてないです。とにかく、自分がやりたい時にやりたい場所で自分のペースでやりなさいっていう、そういう授業が好きだったので。これはチャンスだと思って、英語科の先生たちに声をかけて、グーグルサイトを活用して動画で絵本の読み聞かせであったり、授業で歌ってる歌を1人で歌ったりとか、そういうのをばんばんYouTubeにあげて、それをライブラリにしていつでもアクセスできるようにしました。子どもたちから『僕はこれをやりました』『これが楽しかったです』『こんなコンテンツも欲しいです』みたいなリアクションは必ずもらえるようにしました。そのうち、みんなからいろんな質問も出てきたので、そうだ、ラジオにしちゃおうと思って。『ラジオで毎日配信します。何かあったらコメントをよせてください』と。
これがどんどん盛り上がってきて、コメントにラジオネームがついたり、クイズが出てきたり、面白いコンテンツがいっぱい出てきて。小学校の外の人たちともつながれたら楽しいだろうなと思って、ポッドキャスト化しました。」

楽しいお話がいくらでも出てきますね。最後に、iPadの導入に苦労している先生方にアドバイスを。

「苦手な人って、すごい苦手意識があると思うんですね。そういう人たちは真面目な方が多いので、自分が分からないことを子どもには教えられない、みたいなところがあると思うんですけど、逆に、『あれ? これ、どうするんだっけ?』って子どもに聞いちゃったらいいんです。『こんなことできたらいいよね、どうしたらいいかな?』なんて子どもに投げてみると、いろんなアイデアをもらえるんじゃないでしょうか。そんなふうに会話自体が変わると、よりデジタルネイティブな子どもたちに必要とされる大人になれるのかなって思います。」

GUEST PROFILE

天野 英彦(アマノ ヒデヒコ)

英語科専科として20年程勤務。教材教具の代替としてだけではなく、児童の自律的な外国語学習を支えるべく、教室内外での学びのしかけを試行錯誤し続けている。2017年Apple Distinguished Educator認定。コロナ禍でも子どもたちとのつながりを保ち、少しでも元気づけたい、という気持ちから始めたラジオ。より多くの人たちとつながるために、2020年9月末からPodcast配信を開始。

  • *本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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