千葉商科大学 非常勤英語講師 石田 早苗

2016年11月18日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

実際に求められている英語力とは?

いまだ日本の中学校と高校の教育では、スピーキングとライティング、いわゆる発信型英語教育を重視する一方で、正確な文法と高い語彙(ごい)力を身につけた人が英語力があると判断されています。また、その判断基準から、英語の勉強に対してマイナスなイメージを抱き、苦手意識を持ってしまう学生も多いです。
しかし、そのような文法や語彙などの知識の習得があまり得意ではない学生の中にも、直感的にネイティブスピーカーの話す英語が理解できたり、間違いを恐れずに英語を使って伝える力を持つ学生もいます。

英語はあくまでコミュニケーションツールであるのに、文法や語彙が不得意であることから、英語を通して相手を理解したり、自分の意見を伝える力のある学生でも、英語力がないと思ってしまうことはおかしなことではないでしょうか。そもそも日本の教育が求めている「英語力」が、実際に今求められるものとは違っているのかもしれません。

iPadやSNSを使ったアクティブな英語の授業

大学では、英語がコミュニケーションツールであることを意識した授業をおこなっています。「正確な文法で話すことよりも、自分の伝えたいことをシンプルな英語で表現すること」や「相手が話していることをアクティブに聞いて理解する力をつけること」を目的にインタビューやショートスピーチをおこない、その中でiPadの撮影機能やSNSを活用しています。

実際に過去に授業でおこなった例としては、ファッション誌『Vogue』の動画シリーズ「73 Questions」をお手本として、生徒同士がインタビューをおこなうアクティビティーを実施しました。この動画シリーズは、有名人に対しインタビュアーが矢継ぎ早に73個の質問を投げかけていくもので、それを生徒たちにも見てもらい、同じ方式で生徒同士が相手に聞きたい質問を20個ずつ考えてインタビューをし合いました。

キャンパスでお気に入りの場所の紹介や、カバンの中身について話しをしているビデオの一部

また、スピーチの練習として、大学内のお気に入りの場所を英語で紹介する動画の制作をおこないました。この授業では、まず、海外の大学生たちが同じテーマで作ったビデオを生徒たちに見てもらい、ほかの国の学生たちの生活を知ることから始めました。そこから、ペアやグループに分かれ、それぞれ動画の撮影をおこない、練習段階から本番までの全ての動画をSNS上にアップロードをし、それらをクラス全体で見て、アドバイスや意見交換をして、ブラッシュアップをしていきました。

始めは動画撮影に対して抵抗があった学生でも、仲間同士で楽しみながら英語を学ぶことができ、工夫をして面白い動画を作るチームがあると、刺激を受けて、授業に対してモチベーションが上がる生徒たちもいるようでした。

クラウドファンディングの疑似体験を通し、実用的な英語を学ぶ

千葉商科大学のサービス創造学部では、さまざまな体験を通してより実用性のある英語を学ぶ試みとして、クラウドファンディングを疑似体験する授業を現在おこなっています。まずキックスターター(Kickstarter)やインディゴーゴー(Indiegogo)などの事例から、クラウドファンディングとは何かを学びます。そこから、リサーチをおこない、具体的な目標金額やクラウドファンディングの実施期間、リワード(お礼)なども決めながら自分たちの企画を立案していきます。

こうした一連の企画プロセスを体験し、シンプルな英語を用いることはもちろんのこと、スライドや動画、ジェスチャーなど、より自分たちの企画を分かりやすく伝える工夫を考え、最後には大学内のスタジオでプレゼンテーションを収録します。

ICTを通じた、英語学習に対する意識改革

教える側も学ぶ側も、英語学習に対する意識改革をする必要があると思います。まずは教員が、英語が勉強だという考えから離れ、たとえ生徒が間違ってしまった時でも、否定をせずに、お互いに質問をしながら生徒が理解できるように導くことが大切です。また、生徒は間違いを気にせず、自分にとって意味のあるコンテンツを使いながら英語を学び、積極的に英語でコミュニケーションを取ることが大事だと思います。

また、ICT(Information and Communication Technology)はSocial Learningのツールとして使うべきだと考えています。SNSというプラットフォームでは、いろいろな人とコミュニケーションできます。自分が英語を使っているところを撮影し、まず自らそれを見て自分の課題を知り、伝えるためのスキルを磨く。そして、その動画をSNSでシェアすれば、それがほかの人たちの学びにつながったり、新たなコミュニケーションが生まれたりすることもあります。

このようにICTを活用していくことで、より実のある英語学習を実現することができるかもしれません。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

石田 早苗(いしだ さなえ)

千葉商科大学 非常勤英語講師

サンフランシスコ州立大学 大学院で英語教授法を学び、英語講師、証券会社、広告代理店勤務を経て、有限会社デジタルメソッド設立。Webプランナーとして企業し、教育機関のweb制作・運用に携わる一方、2005年より千葉商科大学でICT(Information and Communication Technology)を活用した、発信力・コミュニケーション力をつける英語の授業を担当。

千葉商科大学

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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