桜丘高等学校 中野 優

2017年11月17日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

選手から監督へ。目の代わりとして使い始めたICT

実を言うと、私自身が桜丘高等学校の出身で野球部のOBでもあります。当時は野球の練習を行える場所がなかったため、6カ所の教室に分かれて練習をしていました。そのため、選手たちは監督の目につかない場所を必死になって探していた記憶があります。

そこで私自身が指導者側になった際には、そんな無駄を無くしていきたいと思い、ちょっと言葉は悪いのですが「監視」(=監督の目の代わり)という意味合いでiPadを導入することにしました。監督に就任した当時、私はまだ大学生だったこともあり、限られた時間の中でできる限り、選手の状況を把握するために試行錯誤をしながら使い始めたことを覚えています。

PDCAサイクルを回して効果的なトレーニングを実現

iPadでフォームを撮影している様子

高校の部活動は実質2年間しかありません。その2年間の中で、どれだけ成果を上げられるかということに着目しました。そこで、「PDCAサイクル」の“C”(=Check)の部分を充実させるためにICTを使うことを考えました。例えば、バッティングや投球練習の際に、自分の足腰や腕がどのように動いているのかをカメラで撮影。プロ野球選手とどこが違うのかを比べるところからスタートしました。

また、自分がどこに立っているのか、どこを走っているのかが分からないという声を選手からもらいました。そこでドローンを飛ばして上空から選手がどこにいるのかを撮影したり、投手の投球フォームを上から撮影したりして選手に見せる、といった使い方をしています。

最近では、VR(仮想現実)の技術を使って、素振りをよりリアリティーのあるものにしようという試みも行いました。しかし、実際にやってみると選手がVR酔いを起こしてしまい、気分が悪くなってしまったため、素振りを10回もできずに終わったなんてこともありました。試行錯誤の中ではこういった失敗もありますが、少しずつクオリティを上げていきたいと思っています。

限られた時間を有効活用するためのICT活用

ミーティングの時間を減らし少しでも多くの練習時間を確保するため、アプリを使って事前にその日の練習の目的やイメージを伝えておくようにしています。以前には、食事の管理もアプリで行ったのですが、こちらは保護者から評判が良くなかったので今は行っていません。

試合中には、紙のスコアブックは使わずMacBook Proをベンチに持ち込んで直接データを入力しています。これによって、リアルタイムで監督のiPadにデータが送られてくるようになり、試合終了直後には選手が自分の携帯電話からその日の結果を確認することができるようになりました。

ICTで「見える化」することで理想と現実の差を埋める

自分の身体がどのように動いているかは案外分かっていないものです。しかし、それでは成果を出すのに時間がかかってしまいます。そこで重要なのは、まず理想と現実を一致させるということです。最近、部活動の指導時間の長さが問題になっていますが、自宅での自主練習がしっかり成立するのであれば解決への糸口になるのではと考えています。

そして自分の身体により関心を持ち、思いどおりに動かすことができるようになれば、人生がもっと楽しくなります。ただ運動をするのではなく、自分が思い描いたイメージどおりにトレーニングをして、結果を出せた方が絶対に楽しいはずです。今後も野球を通じて、そういった手助けができればと思っています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

中野 優(なかの ゆう)

桜丘高等学校

桜丘高校野球部監督。桜丘高校を卒業後、大学生のときに監督に就任。現在は入試対策課として生徒募集を中心に取り組みながら、保健体育の授業、野球部の監督を受け持っている。部活動での活用に加え、校内で使えるiPadを使ったシステムを数多く作成している。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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