千葉明徳中学校・高等学校 梅澤 俊秀

2018年5月18日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

ICTの導入には十分な準備期間が必要

本校は高校が1学年およそ350人前後で、中学校は50~70人程度の私立共学校です。

ICT導入のきっかけは、8年くらい前に電子黒板や教材提示装置が話題になり、自分がまず使いたいと思ったことでした。その後、教育現場でのiPadの活用を知り、本校でも導入の準備を始めました。しかし、本校で実際にできるのかについては、正直なところできるとは思っていませんでした。ICT導入に踏み切れたのは、学校の中でICTの活用について多くの先生方に話題を提供し続けたことと、最終的には校長の理解も大きかったと思います。結果、2015年の夏から導入に向けての作業を開始することができました。

配布されたiPadを開封する生徒たち

手順として最初に考えたのは、いつから始められるかということでした。始めるまでの準備には時間をかけたかったので、スモールステップを心掛け、教職員は検討を始めて半年後の2016年度から、そして生徒がiPadを手にするのは2017年度からと決め、準備を進めました。

一から始めた導入の準備

2015年度スタート時点では、本校の設備面では電子黒板が2台入っているだけでした。このようなわずかな設備に興味を持った先生が積極的に使い始め、先生方の間に徐々にICTが認知されていきました。しかし、それでも具体的なICT導入(具体的には1人1台のiPad導入)の計画が打ち出されたときのギャップは大きかったと思います。

2015年度の後半からは、具体的な学内インフラの整備や教職員に対する研修計画も立て、具体化していきました。その際には、周りにICTに関する知識を持っている人が少なく苦労しました。中でもネットワーク関連の工事費用については、金額の差が大きく、予算立てに苦労しました。本校の規模に合った施設はどの程度のものか、そしてその予算はいくら必要なのかなど、多くのことについて勉強していかなければなりませんでした。さまざまなセミナーに顔を出し、Facebookでお友達になっていただき、多くのことを教えていただきました。そういった点では、ここまでできたのはそれらの多くの先生方のおかげです。

私も50代後半になって、新しい教育のあり方やICTに関わり、新しい知り合いがたくさんできるとは思いませんでした。まさに縁だと思います。

教職員に現れた大きな変化

教職員だけの使用期間が1年間あったので、その間にiPadに慣れ、iPadを使った授業を研修していきました。何といっても教師にとってはほとんど経験のない授業形態でしたので、ロイロノートの研修を行ったり、先取りしていた先生にはワークショップ型の研修を行ったりしました。これによって、先生方の中にアクティブラーニングなどの新しい授業形態が認知されるようになっていきました。手探りの状態で始めた授業はトライ&エラーの繰り返しで、それは現在でも続いていると思います。

最も大きな変化は、授業改革の方向性が理解されるにつれ、今までの授業形態に疑問を持つ先生が出てきたことです。午後の授業で眠そうな生徒がいたり、講義一辺倒の授業後にむなしさを感じたりする先生が増えていきました。その先生方がアクティブラーニングを授業に取り入るなど、もっと面白いことができるのではないかとチャレンジしています。同時に生徒からの反応も、想定以上に良くなっていきました。

iPadとプロジェクターを使って授業をする教員

これからの学びのために目指すべきこと

今後は、もう少し使い勝手の幅を広げていきたいです。具体的には「Google for Education」を導入したいと考え、準備をしています。また、教員のスキルを上げるために、2018年度は学期に2回ずつワークショップ型の教員研修を入れる予定です。一つの教科を題材にして行うのではなく、もっと別の視点で、参加している先生方にとっても新しい気づきになるような内容にしたいと思っています。もちろん、授業デザインの基本的な作り方を研修して実際の授業ですぐに行えることが目的です。

やはり私学にとって最も重要な視点は、ICTを活用した教育に取り組むという課題に対して優れた実践を推進することと、そういった実践力のある教師を育てていくことです。現場の先生方は多忙ですが、できる限り学校全体のテーマに取り組める環境、授業内容の下調べではない本当の意味での教材研究に取り組める環境や時間の保証を作っていくことが重要だと思っています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

梅澤 俊秀(うめざわ としひで)

千葉明徳中学校・高等学校

1979年、千葉明徳高校に奉職。社会科教師として地理、現代社会を担当。教頭を経て2017年より副校長職に就く。千葉明徳中高のICT活用を積極的に推進し、2015年度から具体的な導入計画の策定を開始。実際に生徒と共にiPadを活用する中で、生徒、教師それぞれに新しい発見があることに感動を覚えつつ、授業改革とICTの一体的活用の重要性を感じている。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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