八千代松陰中学校・高等学校 井上 勝

2018年11月16日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

1人1台のChromebook環境。その実現に至る道のりとは

情報科の授業を担当する中で、「ICT(情報通信技術)を日々の授業で使いたい」と以前から考えていました。教材等を授業クラス内で共有し、いつでも生徒が利用できるようにすること。インタラクティブに生徒と教員とがいつでも情報交換できる。そういった場を設けたかったというのが原点です。

2009年ごろ、国立情報学研究所が開発した「NetCommons」というCMS(コンテンツ管理システム)を利用して、その環境を実現しました。それから5年ほどたったころ、Google社が提供する「Google Apps for Education」、現在の「G Suite for Education」に出会ったのです。すぐに学校で使えるように準備を進め、まずは自分の授業で使い始めました。使っていくうちに、「このようなサービスは近い将来、学校にとって必須のものになる」と直感。本格導入に向けた準備を進めていきました。

2017年度の入学生から導入された1人1台のChromebook

2016年の4月には、「使いたい先生は自由に使ってください」というスタンスで、教育用SNS「Google Classroom」の導入を全校で開始しました。そうこうしているうちに、「やはり生徒が持っているデバイスとミックスさせて使った方がより効果が上がるだろう」ということで、Chromebookの検討が始まったのです。実証実験を経て、2017年度の入学生から家庭負担でChromebookを購入していただくようになり、現在では1人1台の環境が実現しつつあります。

生徒用の端末としてChromebookを選んだ四つのポイント

Chromebookを選んだ第一の理由は、キーボードが付いているということです。情報科の授業のほか、コンピューター分野を教える中学の技術科の授業も、技術の先生とのTT(Team Teaching)で担当していたのですが、生徒たちのタイピングスキルは年々落ちていると実感していました。そうした中、大学入試にもCBT(Computer Based Testing)の導入が検討され始めたのです。「将来、生徒が困らないためにも、タイピングスキルは身に付けさせるべき」だとの考えから、キーボードの付いたChromebookを選定することにしました。

第二に起動の速さです。1時間の授業でフルにコンピューターを使うということは、あまりありません。だからコンピューターを使う場面になったときに、すぐに起動できるというのは授業時間を有効に使うために必要であり、この点もメリットと考えました。第三は、セキュリティ対策をユーザー側でする必要がほとんどないということです。ChromebookとGoogleのサーバーが連携して自動でアップデートなどもやってくれます。そして第四は、デバイスの価格が比較的安いというところです。これらが1人1台の端末としてChromebookを選定したポイントになります。

デジタル化することによって授業やクラブ活動でも効率化

まず授業については、教材をデジタル化して共有することによって、いろいろな部分で効率化が進んできています。例えば、今まで紙に印刷していた教材をPDFファイルなどのデジタルの形式にして、「Google Classroom」上でやりとりをします。そうすることで紙の教材が少なくなりました。また英語の授業では、生徒たちは発音練習を音声認識の機能を利用して行っています。今までは、先生の前で発音して練習するというやり方でしたが、こういった音声認識の機能を利用することによって授業の効率化が進んでいます。

さらに授業以外の部分、例えばホームルーム活動やクラブ活動での各種連絡でも「Google Classroom」が活用されています。クラブによっては、練習試合や公式戦の様子をビデオに撮り、それを「Google Classroom」にアップロードして振り返りを行っているところもあります。また、授業評価アンケートもデジタル化することによって、紙の削減につながっています。

英語の授業では音声認識機能を使っての発音練習も

進化するICT機器。学校にICTを導入する一番の意味とは

ICT(情報通信技術)はこれからもどんどん進化していきます。今、生徒たちが使っているサービスやデバイスと全く同じものを、社会に出たときに使えるわけではありません。大切なことは、情報化の進展に主体的に対応できる力を身に付けることだと思います。新しいテクノロジーを自分のツールとして積極的に利用し、価値ある情報を生産していく姿勢を身に付けさせる。そこにこそ、学校にICTを導入する意味があるのではないでしょうか。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

井上 勝(いのうえ まさる)

八千代松陰中学校・高等学校

1980年、数学科教諭として八千代松陰高等学校に奉職、2003年より情報科教諭。ほぼ一貫して校務の情報化・教育の情報化・ICTの導入および利活用を担当。学校生活の中では個人のデバイスおよびグループウェアがどのように活用できるのかを試行錯誤してきた。ツールにとらわれず、情報化の進展に主体的に対応できる力を子どもたちに身に付けてほしいという思いから、ICTの積極的な活用を進めている。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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