宝仙学園小学校 加藤 朋生

2019年2月15日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

各学校の目指す方向へ向かって進む私立小のICT活用

私立小学校のICT活用の動向については、私自身も広く把握できているわけではありません。それだけ学校ごとに多様性があるということです。各学校は建学の精神を持っていて、未来へのビジョンもそれぞれの学校が描いています。そのため、学校の目指す方向へ向かってアプリやシステムを選定し、構築できる点がICTの利点だといえます。

授業内でのICT活用はもちろんですが、海外など外の世界とつながるコミュニケーションツールとして活用している事例も見られます。ロボットづくりをメインに行っているという学校にも出会ったことがあります。また共用タブレットだけでなく、ご家庭にご理解いただき、学年単位や学校単位での一括導入を進める学校も少なくありません。

そんな中、宝仙学園小学校では、現在250台以上のタブレットが稼働しています。また、2019年度からは、3年生が1人1台のタブレットを持つプランを進めているところです。

これまでの枠を超えた学びを実現する「コミットラーニング」

「人のために何かしたい」という思いを原動力にした学びを、「コミットラーニング」と名付けています。ICTの良さは、枠を越えていけることです。「誰かに何かをしたい」「コミットしたい」という思いがあれば、おのずと教科・学年・学校という枠を越えて学びをデザインしていかなくてはなりません。その学びを可能にしてくれるのがICTの力なのです。

宝仙学園小学校には、従来の教科の枠内で行う「アカデミック・アクティブラーニング」と教科の枠を越えて現実の世界と関わる「リアリスティック・アクティブラーニング」という二つのアクティブ・ラーニングが存在します。従来の教科学習の中で培った力を、リアリスティックな場面で誰かのために生かすことを目指しているわけです。

「人のために何かをしたい」を実現するツールとして

宝仙学園小学校では、進級遠足という行事があって、5年生は高尾山に行きます。この行事は教員にとっても児童にとっても大変です。子どもたちは「なぜ、登山をしなくてはいけないのか」が分からないため「まだ着かないの」と不満を口にします。みんなで同じコースを同じペースで登るということに原因があるのではないかと考えました。

校外学習では自ら決めた目的に沿って素材集め

高尾山は決して高い山ではないですが、頂上へ行くルートがたくさんあるのが魅力です。そこで、事前に登山ルートと登山する目的から考えることにしました。目的は、自然や生き物などさまざま。登山をしながら、タブレットを持って自分たちの研究目的にあった素材を集めていくわけです。

「Youは何しに高尾山へ?」と、現地で外国人観光客を対象にインタビューをしたグループもありました。事前にGoogle 翻訳で英語を調べて、現地でぶつける質問も英語です。さらにそれを動画レポートにして編集。これには我々教員も驚かされました。

また、林間学校で訪問した長野県の戸隠でも、同じようにタブレットが生かされました。戸隠の忍者やパワースポット、自然、動物、そば……自分で選んだテーマごとに見学先は異なります。そこで子どもたち自身が感じたことを旅番組仕立てにして、戸隠を盛り上げようという学習を行いました。

ICTを活用するというより、「人のために何かしたい」という思いを実現するのにICTが必要だったという感じです。子どもたちはこの学習を待ち望んでいて、時間さえあればいくらでも工夫を重ねていました。また、この取り組みを通じて、子どもたち同士の仲間意識も育ったように思います。

iPadのGPS機能を使い子どもたちの安全面も配慮

ソロプレーヤーだった私立小学校がコラボする場を作りたい

私立小学校の垣根を越えた「192Cafe」というコミュニティーを結成しました。現在、日本私立小学校連合会に所属しているだけでも192の私学があります。それぞれの学校では、そこにしかないオリジナルの学びが展開されています。しかし多くの場合、私立小学校はソロプレー。つまり単独で工夫を凝らしてきたのです。

しかし、これからは正解がない時代です。たくさんの私学がコミュニケーションを取り、コラボレーションをすることで、新たなものが創造される。そんなオープンイノベーションの場を目指しています。2019年1月に第1回の公開イベントを実施、第2回を6月に開催予定です。また普段はSlack上でオンラインCafeを行っていて、私学の先生を中心にさまざまな校種の先生や企業の方々と交流しています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

加藤 朋生(かとう ともお)

宝仙学園小学校

2011年から宝仙学園小学校教諭。研究主任。熱海ライフセービングクラブ理事。自然体験活動指導員。自転車で日本縦断・世界の旅を敢行中。その経験から教科の枠を越えた社会とつながる学びのデザインに努める。私立小をつなげる192Cafe副代表。Intel Teach Master Teacher。東初協・日私小連全国研メディア教育部会運営委員。マイクロソフト認定教育イノベーター。ロイロ認定Teacher。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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