森村学園初等部 榎本 昇

2019年6月21日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。

番組サマリー

校舎内でも屋外でもiPadが使えるハイブリッド環境

森村学園の初等部では各教室に電子黒板が設置されていて、Windowsのパソコンが40台設置されたPCルームがあります。そして、2017年から学校共有で使うためのiPad(セルラーモデル)が導入されました。この導入が初等部のICT活用にとっての大きな一歩だったと思っています。

屋内・屋外の両方で使えるセルラーモデルのiPadを導入

その後も追加でiPadの導入を進めており、2019年4月には合計160台になりました。校舎内にはWi-Fi環境も完備していますが、野外での活用も視野に入れて、Wi-Fiモデルではなくセルラーモデルを選びました。Wi-Fiでもセルラーでも両方で利用できる、いわばハイブリッドの環境といえます。

映像制作との出会い。本物を間近で見ることこそ最高の学び

授業実践として私が「映像制作」を取り入れ始めたのは、2010年のことでした。ある研修会で、パナソニック社が主催している「キッド・ウィットネス・ニュース(KWN)」という、映像のグローバルコンテストのチラシを見たのがきっかけです。

コンテストは子どもたちが主体となって作品の脚本を書き、ビデオカメラを使って、大きなテーマに沿った5分間のショートムービーを制作するというものです。その時は「コミュニケーション」と「エコ」がテーマだったと記憶しています。

それまでもビデオカメラで子どもたちと一緒に何かを撮影することはあったのですが、「子どもたちが主体となって」というのが、当時の私にはとても斬新なものに見えたのです。「これだ!」と思い早速、担当者に連絡を取り、参加受付が過ぎていたところを無理を言って参加させていただきました。今でもその担当者の方には頭が上がりません。

その後、子どもたちとも話し合い、休日を利用してさまざまな取材場所へ行きました。取材先には大人も知らないような遺物や戦争遺構、そして歴史的な事実がたくさんありました。子どもたちにとっては、教科書やネットでは見られない本物を間近で見ることになりました。これ以上の学びはないと感じました。

映像制作を通じて生まれる「主体的・対話で深い学び」

映像制作を始めたことで「自分たちだけでもいろいろなことができる」という自信を、子どもたちが持つようになりました。これまで大人でないとできないと思い込んでいたようなこと、例えば本格的なカメラを使った撮影やアニメーション作りが、自分たちでもできるのだと。

自信がついてくると、積極的に取材や撮影をするようになっていきます。しかし、子どもたちはここであることに気付きます。それは「ある一定のレベルを超えると、撮影や学びを一人で進めることができない」ということです。そして、仲間とのコミュニケーションを自然と取るようになっていきます。

また「映像」による表現というアウトプットをするためには、あいまいな知識や学びでは良いものができません。「取材で調べたことは本当なのか」「自分たちが伝えたいことは何なのか」ということを意識するようになっていくのです。それらに気付けるということが大きな変化であり、私にとってもうれしい成長でした。

本格的な機材を使って子どもたちだけの手で映像を制作

自分の言葉で人に伝える。その楽しさが世界への扉を開く

2019年3月のコンテストで、森村学園初等部のチームが小学生部門の最優秀作品賞を受賞しました。おかげさまで、8月に世界17の国や地域が参加するグローバルコンテストに参加することが決まりました。

この10年あまりの実践の中で、子どもたちが触れてきた学びは特別なものではなく、極めて身近なものばかり。大切なのはそれを「自分の言葉で人に伝える」ことです。こんなシンプルなことなのに、奥が深く、難しく、しかし楽しいと感じています。子どもたちには、感性がみずみずしい今のうちに、この楽しさに触れてほしいと願っています。

番組視聴はこちらから

GUEST PROFILE

榎本 昇(えのもと のぼる)

森村学園初等部

森村学園初等部のICT担当。160台のiPadを導入後、学校内でより活用が進むよう日々奔走中。2010年からパナソニック社主催のキッド・ウィットネス・ニュース(KWN)映像コンテストに参加し、2018年度にサポートしたクラスの作品が最優秀作品賞を受賞。2019年度グローバルコンテストの日本代表校の指導者となる。また同じく2019年度からはApple Distinguished Educatorとしても活動を始める。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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