社長直属の全社改革プロジェクトを立ち上げ、社員の意識改革を同時に進めながらBOM構築による標準化・流用化設計の実現を図る

「業界世界一を目指すためには、BOM構築で標準化・流用化設計を実現し、企業競争力を高めることが必要不可欠でした」

株式会社東伸 導入事例

製造業1~100名ERP・基幹業務・業務管理営業・業務プロセス効率化コスト削減・売り上げ向上

岐阜県大垣市に本社工場を構える株式会社東伸は、フィルムシートをカットしてロール状に巻き取るスリッターを国内業界の草創期に製造したパイオニア企業だ。後発メーカーの台頭に伴い、従来の技術や開発手法の変革に取り組むため、社長直属の全社改革プロジェクトを発足。BOM構築で標準化・流用化設計の実現を目指す取り組みを開始した。見積り精度や利益率の向上、納期短縮化、品質向上を図り、企業競争力を高めている。

2019年12月取材

株式会社東伸

導入先の概要

業種
産業機械製造業
事業内容
産業用自動化機器(主にスリッター、リワインダー)の設計・製造・販売およびシステム開発
従業員数
87名(2019年4月現在)
ホームページ
https://www.cstoshin.co.jp/

導入の狙い

  • 全社改革プロジェクトを成功させたい
  • BOM構築による標準化・流用化設計を実現したい
  • 社員の標準化・流用化設計に対する意識を高めたい

解決策

IT活用によるBOM構築と標準化・流用化設計に向けた技術・設計部門改革

導入したメリット

  • 設計資産の流用で設計効率が向上した
  • コスト削減、納期短縮、品質向上につながる業務基盤が整った
  • 全社員の標準化・流用化に対する意識が確実に高まった
  • 代表取締役 社長 藤吉 英紀氏

    「今回のシステム構築により、コスト削減、納期短縮、品質向上などを実現できる業務基盤が整いました。今後も、その実現に向けた大塚商会さんのサポートに期待しています」

  • 技術部 部長 岩田 哲氏

    「最終的には標準品プラス標準オプション100%を目指し、その標準機種が業界内で一番性能の良いものになれば、納期も格段に早まりお客様にも喜んでいただけます」

  • 技術部 機械チーム 係長 栗塚 隆臣氏

    「大塚商会さんは、BOMの機能を実際の開発業務に照らし合わせながら、分かりやすい言葉で説明してくれたので、あるべき姿をイメージしやすかったです」

導入製品情報

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
部品構成表管理システム生産革新 Bom-jinお問い合わせ
ハイブリッド型
生産管理システム
生産革新 Raijinお問い合わせ

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導入事例詳細

スリッターとリワインダーのパイオニア企業

スリッターとリワインダーのパイオニア企業。スマートフォンやタブレット端末の液晶フィルムや、リチウムイオン電池の製造過程でも使用されている

株式会社東伸(以下、東伸)は、1950年に創業者の佐南 一雄氏がパールアクセサリー加工機の製作と各種機械修理を請け負う工場を開設したのが始まりだ。地元の化学メーカーから相談を受けたことを契機に、1955年、国内業界の草創期にスリッターの製造に着手。以来、産業機械のスリッターとリワインダーのパイオニア企業として発展を遂げている。

スリッターは、もともと食品包装用の加工機器として使われていたが、その用途は多分野にわたり広がっている。近年では、スマートフォンやタブレット端末の液晶保護フィルムや、リチウムイオン電池の製造過程でも使用されており、売り上げの半分以上が各種工業分野や医療業界などに使用される高機能フィルム用だという。特に独自機構を採用し巻き取り品質の大幅な向上と汎用(はんよう)性の拡大を実現したフリクションシャフト『TAF』は、東伸のスリッター技術の代名詞となり、業界内での大きなアドバンテージになっている。

その一方で、東伸の安定した経営基盤を揺るがす試練もあった。1980年代には後発メーカーがスリッターを国内で製造するようになり、競争が激化。昔ながらの技術や開発手法を継承しているだけでは、競争に打ち勝てない現実に直面したという。そうした時期を経て、2015年に創業者の孫である藤吉 英紀氏が4代目の代表取締役 社長に就任し、社内の抜本的な改革に着手することになった。

「当時は、巻取軸の機能強化が大きな課題でした。ところが、社内では危機感が少なく、『今までどおりに取引先の仕様に合わせた製品を作り続ければいい』という意見が大半でした。そのとき、『業界一の巻取軸を開発させてほしい』と手を挙げたのが技術部の岩田部長でした。その言葉を機に開発部門を新たに立ち上げ、新製品の開発を進めたのです」(藤吉氏)

業務改革で標準化・流用化設計の実現を目指す

BOMシステムに登録された過去の図面を流用することで、同じような図面を一から書き起こす無駄が省け、設計業務の効率アップを実現している。

技術部 部長の岩田 哲氏には、1年あればスリッターの巻取軸の機能を強化できるという見立てがあったという。しかし、問題は社内のシステム環境が整備されていないことと、社内の危機意識が低かったことだった。

そうした厳しい環境下でも、岩田氏は幾多の苦労を乗り越え、見立てどおり1年で従来製品の性能を大きく上回る新製品開発に成功。まさに開発者の意地と執念が実を結んだ瞬間だった。しかし、この苦労を通じて、もっと効率よく新製品を開発できるシステム作りが必要不可欠であると文字どおり痛感したという。そのための重要なキーワードが「標準化・流用化設計の実現」だった。

「以前は、部品の適正な値段を調べようとしても、社内の有効なデータが乏しく、全国のさまざまな会社から見積りを取らなければならない状態でした。また、流用できる技術はそのまま使いたいのですが、過去の技術資産である図面自体のデータベースがとても貧弱で、結局全てのコンポーネントを再構築する必要があったのです。しかし、そのように時間と手間がかかることを続けていたら、どんなに優れた製品を開発しても、厳しい競争に打ち勝つことはできません。まずは、世界で戦える製造業では当たり前のように活用されているBOM(部品構成管理)の仕組みを導入し、設計の標準化と流用化を図ることが急務でした」(岩田氏)

そうした中、大塚商会主催の谷口コンサルタントのセミナー「BOMが鍵となる! 設計効率化改善からはじめる経営改革」を受講し、BOMによる標準化・流用化設計の重要性を再認識。直ちに社長直属のBOMによる全社改革プロジェクトを立ち上げた。プロジェクトリーダーの岩田氏を中心に設計部と製造部などのメンバー10名が参加。ブロック玩具のように標準化された部品を組み合わせることで、最終的に標準化・流用化設計の実現を目指す取り組みが本格的にスタートした。

システム化の準備段階で過去の膨大な図面を整理・整頓(2S)

まず、BOMを導入する準備段階として、過去の図面の整理・整頓(2S)から始めた。数十万枚もの図面を、今後も使えそうな8万枚に絞り、一つ一つ整理・分類し属性情報を付与していったのだ。

「プロジェクトメンバー2名で、毎日3時間、約4カ月かけて図面の分類作業に没頭しましたが、中には似ている使い捨て図面がたくさんありました。流用するための図面を探すのは面倒で、最初から書き起こした方が早いからです。しかし、BOMのシステム化が実現すれば、図面の検索もラクになり、無駄な設計作業が一気になくなります」と技術部 機械チーム 係長の栗塚 隆臣氏は語る。その際、図面の分類や属性の設定を必要最低限に絞り込み、よりシンプルな図面管理で検索性を高める工夫も行っている。

「品名や品番(図番)の付け方もルール化し、周知徹底しました。例えば、『品名』は人によって表記が異なりやすい日本語ではなく全て英語表記に統一し、『品番』は30年間使えるコード体系を目指しシンプルな連番性の意味なしコードに切り替えました。社内からは、『今までどおりの方が分かりやすいのに、どうしてルールを変えるのか?』と反発する意見もありました。しかし、長く使えるルールを明確にすることで、データベースの管理がしやすくなるのだ、とても重要な改善点なのだという理解を最終的に得ました」(岩田氏)

全社員に対する業務改善の啓蒙(けいもう)活動を同時並行で実施

同時に、全社員に対する業務改善の啓蒙活動も進めていった。個別受注生産が多い中で標準化・流用化設計を図るためには、全ての社員の理解と協力が必要不可欠だった。だが、長年の間に骨身に染み付ついた業務のやり方を変えるのは決して容易なことではない。ここでもやはり「お客様の要求どおりの製品を作るのが仕事。標準化・流用化なんて不可能だ」という反発意見が多かったという。

「プロジェクトメンバーのみで業務改善の啓蒙活動は難しく、大塚商会さんにサポートいただきながら、標準化・流用化設計が実現できれば、生産性が3割以上向上すると説明し、徐々に納得してもらいました」(岩田氏)

標準化・流用化設計に対する社員の意識が急激に高まる

準備段階を経て、2018年7月に大塚商会の部品構成表管理システム『生産革新 Bom-jin』を導入した。

「10社を超えるベンダーから提案されたシステムを比較検討しましたが、多くの場合、中小企業の状況に対して共感が少なく、提案がどうも『あなた(東伸)任せ』にしか見えなかった他社さんに対して、大塚商会さんは当社の実情を全て把握しているかのように親身にサポートしてくれました。主な選定理由がここでしょうね」(岩田氏)

当初はBOMのシステム化に消極的だった設計者も、運用が始まるとその便利さを肌身で実感。「これからは標準化・流用化設計じゃないとだめだ」という声があちこちから聞こえるほど、意識が大きく変化したという。

「以前は設計内容が重複していても誰も気付かないことが多かったのですが、今は設計した図面がBOMデータと共に登録されます。その結果、過去に作成した同様の図面を探して流用するケースが増え、重複が大幅に減り、無駄な設計をしないようになりました。標準化・流用化設計が予想以上に早く浸透しつつあります」(岩田氏)

BOMと生産管理システムの連携で企業競争力を高める

『生産革新 Bom-jin』と『生産革新 Raijin』の連携により、設計業務のBOMデータが製造業務や生産管理業務まで一気通貫で流れるようになった。

2019年10月には、ハイブリッド型生産管理システム『生産革新 Raijin』と『生産革新 Bom-jin』を連携させ運用を開始。設計側のBOMデータが製造側の生産管理システムまで一気通貫で流れるようになった。現在は、新規の受注案件から段階的に運用している段階で、新システムへの完全な切り替えは2020年3月からだという。「もうIT化せざるを得ない」という、業務改善の機運が全社規模で高まっており、今後への期待は大きい。

「製品の標準化で、無駄なコストが削減でき利益率向上につながります。見積り精度もアップし、納期も早まり、品質も向上するので、東伸にとってもお客様にとっても、良いことずくめです」(岩田氏)

今後も全社的な視点で継続的に改革に取り組みながら、企業競争力をより一層高めていく考えだ。

大塚商会担当者からのコメント

「製造業の業務改善をお客様と一体となってご支援します」

株式会社東伸様は、BOMによる全社改善プロジェクトで業界TOPを目指すという明確な目標を掲げ、幾多の苦難を乗り越えながら業務改善に積極的に取り組まれています。今後もその後押しができるように、お客様と一体となってご支援します。

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  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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