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【コラム】中小企業の「働き方改革」は、シニアが活躍できる環境の実現から

中小企業における「働き方改革」では、改革に着手しやすい施策から始めることが成功へのカギとなります。比較的取り組みやすい施策の1つが「シニアが活躍できる環境の整備」になります。

[2017年11月30日公開]

【この記事のポイント】

  • シニアが持つ力を活用することが、生産性を上げ、企業価値を高めることにつながる。そのためには、古い価値観からの脱却が求められる。
  • 制度を変更するだけでなく、シニアが生き生きと活躍できる場を作ることができるかが、「働き方改革」の成否を決める。

働き方改革にはシニア活躍が要(かなめ)

現在、「働き方改革」が脚光を浴び、関係するニュースを目にしない日はないほどです。政府は、「一億総活躍社会の実現」をスローガンに、年齢、性別、病気治療、子育て、介護などで一度は退職した方、さらに、障害を持つ人が活躍できる社会の実現を目指しています。このスローガンの背景には少子高齢化の急速な進行があり、2010年以降は総人口が加速度的に減少している一方で、65歳以上の割合は増加の一途をたどっています。急速に社会構造が変化していく中、日本が強い経済を確かなものにするには、より多くの人々が安心して活躍できる社会が不可欠です。

また、変化する社会のなかで多様な人々がそれぞれの能力を発揮することにより、新たな発想やイノベーションを創出することができ、経済発展をけん引することが期待されます。かつての画一的な労働環境ではなく、多様な働き方を認め合う環境が求められているのです。この多様な働き方を目指す試みが、「働き方改革」の重要な役割を担うと考えています。企業においては長時間労働是正、シニア活躍、女性活躍、ワークライフバランスなど、さまざまな取り組みが求められていますが、少子高齢化という構造変化に対して、「シニア活躍」は要(かなめ)となる施策の1つと言えるのではないでしょうか。

制度改革が実現されれば、シニアが活躍できるのか?

働き方改革の要となるシニア活躍に際し、企業はどのような取り組みをすべきでしょうか。2006年に高年齢者雇用安定法が改正され、定年後(65歳未満の)も継続して雇用する制度の導入が義務化されました。さらに2013年の改正では、継続雇用対象者を労使協定により限定することができなくなり、希望者全員を継続雇用の対象にする制度が必須となりました。これらの法令を遵守するだけではなく、定年年齢や継続雇用年齢の上限を65歳以上に引き上げる、定年そのものを廃止し、シニアが長く、安心して活躍できる制度を採用する企業も増えています。短時間勤務や週3日勤務といった柔軟な勤務体系も、制度面のケアと言えるでしょう。

しかし、制度改革だけでは「枠組み」を用意したに過ぎません。シニア活躍の目的は、単にシニアが引き続き働ける場を提供するだけではなく、企業価値を高め日本経済をけん引する力を養うことにあります。そのためにはシニアが生き生きと働いて、それぞれの能力を存分に発揮できるような企業環境を作り上げることが求められています。経営者は、制度作りに止まらず、「企業力を高めるためにシニアの活躍が不可欠である」と肝に銘じ、これに反する価値観を持っていたら、たとえ経営者の成功体験に基づく考えであっても、意識改革を行う必要があるでしょう。

シニア活躍を企業の成長につなげる

高度経済成長を支えた価値観を過去のものとして意識改革し、「働き方改革」を目指して実践を進めます。制度そのものの改革は既に述べた通りですが、特に中小企業においては限られた経営資源のなかでの取り組みになるので、コストをかけず、生産性を下げずに実践したいものです。

1つには、日常業務において、経営者や管理職が自らシニアの活躍を推進する「行動」を率先して行うことです。職務経験、人生経験が豊富なシニアは欠かせない存在と心に刻み、どのような立場にあっても常に敬意と感謝の気持ちを持って接します。例えば、第一線を退いたシニアに若手の指導役やチームリーダーといった責任ある職務を任せて、シニア自身のモチベーションを高める、シニアの何気ない日常の成果にも上から目線ではなく、「いつも助かっています」と感謝と尊敬の言葉をかける、といった経営者や管理職による取り組みは、すぐにでも着手できます。

また、働き方改革を支援する国や自治体の助成金を活用することも、中小企業においては有効です。特に2017年度は「職場意識改善助成金」が注目を浴びていますが、複数のコースが用意され有意義に活用いただけるものと考えます。限られた資源のなかでも、働き方改革を推進することは可能です。シニアが働きがいを持って生き生きと働く企業は魅力的です。イメージアップにつながれば、必ず高い価値のある企業に成長できます。日本企業の99.7%を占める中小企業が、働き方改革の重要な担い手としてシニア活躍の場を拡大されることを願っています。

著者紹介

鳥山 直樹 氏 プロフィール

中小企業診断士
鳥山 直樹(とりやまなおき)

大学卒業後、2社の企業で営業職に従事。関東、関西で新規顧客・販路開拓、販売店育成などを経験。現在は、企画職として営業経験を活かした製品企画、マーケティング業務に携わる。2016年1月中小企業診断士試験合格。2016年4月登録。地方自治体のアドバイザー派遣事業や中小企業診断士受験テキストの執筆などを行っている。

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