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【コラム】人材確保の対象を拡大し、多様な人材活用を活発化することが重要になる

中小企業にとって、有能な人材を確保すること重要な課題です。解決策の一つに雇用対象者の幅を広げることがあります。助成制度の活用で、中小企業でも新たな人材確保の道が開けます。

[2018年 1月25日公開]

【この記事のポイント】

  • 高度な知識、技能を持った外国人労働者の確保は、これからの日本企業における重要課題の一つとなります。
  • 外国人労働者にとって魅力ある労働環境を整えることから始め、自社だけでは解決できない問題は公的機関の制度を上手に活用することを考えるといいでしょう。

日本に必要な「高度人材」

日本で働く外国人というと、製造現場等での単純作業労働者を受け入れるイメージが強いですが、近年、将来の幹部候補、あるいは高度な技術を有する「高度人材」を受け入れる方向への変化が進んでいます。大手企業では外国人の新卒採用が当たり前になってきており、実際に日本の大学や大学院を卒業した後に日本で就職する外国人留学生は増加しています。法務省入国管理局によると、2014年の在留資格許可人数は12,958人で、2004年の5,264人から10年で約2.5倍です。日本企業が国際社会の中での立ち位置を確固たるものとし、激しい競争に勝ち残るためには、多様な文化・価値観に基づくダイバーシティ(多様性)経営の推進が必要であり、そのための人材確保がますます重要になってきています。

この姿勢はわが国の法律にも表れていて、平成19年に雇用対策法が改正され、第4条に「高度の専門的な知識又は技術を有する外国人のわが国における就業を促進する」と記されることとなりました。日本経済の活性化と競争力向上のためには、「優秀な外国人材を積極的に呼び込むことが重要である」との認識は官民で共有されてきているのです。

中小企業にとっての課題は有能な人材確保です。そして、有能な人材を確保したいと考えるのであれば、採用の対象を外国人に広げる、ということも選択肢の一つではないでしょうか。

日本は外国人「高度人材」にとって魅力的な労働市場か

しかし、外国の「高度人材」は日本で喜んで働いてくれるか、というと、実は彼らにとって現在の日本企業は労働市場として必ずしも魅力的には感じられないようです。その理由として二つの調査結果をご紹介します。

一つは「人財競争力に関する国際調査レポート2015-2016」です。これは、「いかにその国が人財を育成し成長させるか。また人財を呼び込む魅力を有するか」という視点からの調査です。結果、日本の競争力は109か国中19位で、国外からの直接投資、人材や企業にとっての参入のしやすさといった対外開放性、国内での人材の移動しやすさ、多様性、といった項目を日本の課題として指摘しています。もう一つの調査は、スイスの教育機関IMDによる「世界人材ランキング2017」(日刊工業新聞・2017年11月21日付記事)です。同ランキングでは、高い技術を持つ外国人から見た魅力度で、日本はアジア11か国中、なんと最下位なのです。

私自身、1年の半分近くが海外での仕事ですが、現地で「日本ブランド」への憧れや、日本製品の質の高さについて頻繁に耳にします。しかし、こと労働市場となると、日本は必ずしも外国人にとって魅力的なものとなり得ていないことが、これらの調査から伺えます。高い技術を持った人材は、近隣のアジア諸国との比較の中で日本を見ているのです。中小企業経営者の方が「うちは日本の会社だから優秀な人材が来てくれるだろう」と考えるのは早計で、日本企業の存在感は世界的に見てそれほど高くないことを認識する必要があります。それでは、外国人材を採用し活躍いただくにあたって、どのような取り組みが有効でしょうか。

外国人材の「活用」とは?

リソースの限られた中小企業には、高度人材を獲得するための報酬提示や環境整備は容易ではなく、外国人材の「活用」のためのハードルは必然的に高くなります。そこで、「わが社に来てもらう」という採用面、そして、採用された外国人材が「わが社で長く価値を生み続けてもらう」ための育成面の二つの取り組みに切り分けてお伝えします。

(1)採用 - わが社に来てもらう

人材発掘のためのネットワークを持ち合わせておらず、かつコストを抑えたいのであれば、公的制度の活用を一考しましょう。

東京、名古屋、大阪、福岡には、「外国人雇用サービスセンター」と呼ばれる、厚労省管轄の就職マッチング機関があります。外国人留学生や専門的・技術的分野の在留資格を所持して仕事を探している外国人を支援する、いわば在留外国人向けのハローワークです(http://tokyo-foreigner.jsite.mhlw.go.jp/)。採用を行う場合は、自社の強みや将来の展望など、企業の魅力に通じる事柄を明確にして、日本語のみならず外国語でもしっかりと発信できるようにすることが重要です。

また、採用からは少し離れますが、「最後の市場」と言われるアフリカの人材との関係構築を深めるプログラムがあります。「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)では、工学、農学、経営学系等を学ぶ1,000人の若者をアフリカ全土から選抜し、日本の大学院等での教育に加え、インターンシップの機会を提供しています。彼らはいずれ政府や企業で要職につくはずの人材ですので、最後のフロンティアであるアフリカとの将来的なビジネスにおける水先案内人との関係構築も期待されます。

(2)育成 ― わが社で長く価値を生み続けてもらう

外国人材が管理技術や日本企業文化など、働き方に関する知識と態度を学んでもらう機会を用意することは重要です。(一財)海外職業訓練協会は、企業の海外事業の展開に対応し、外国人向けの日本語研修や実務研修等を企画・実施していて、日本事情、経営管理、生産管理、システム管理等、さまざまな分野の研修実績があります。

一方、雇用主である会社自身も外国人材を受け入れるにあたって、多様な考え方を受容しつつ生産性を高めていくための組織風土を作っていかなければなりません。グローバルスタンダードに合わせて変えていくことも一つの方法ですが、自社の方針や働き方をきちんと理解してもらうことのほうが、より現実的です。そして、人材の能力を最大限に発揮してもらうために、異なる言語、法律、商慣習、労働慣行の中で日々働き、生活している彼らの不安を一つずつ取り除いていきながら、会社に対するロイヤルティーを高め、維持することが必要です。

働き方改革では、外国人に限らず、高齢者や障がい者、性的マイノリティーなど、社会における多様性が注目されています。異なる価値観や文化は「許容」されるべきものではなく、当たり前のものとして存在することが望ましい姿です。それらを共存させつつ事業を発展させていくためには、経営者や管理者自身がまず多様性を認め、学ぶことが求められます。

著者紹介

江崎 秀之 氏 プロフィール

中小企業診断士
マネージメントアシスタンス株式会社 代表取締役
江崎 秀之(えざきひでゆき)

海外展開支援に加えて、ガバナンス構築や生産性向上をテーマにした企業支援やセミナー、調査など多数。並行して、JICA(国際協力機構)専門家として、これまで13か国で生産性向上や産業人材育成に従事。現在は南アフリカと日本を往来し、大学7校で教壇に立ちながら、職場で必須となる知識やスキルを学生や教員に伝えている。

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