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【コラム】経営理念を明確にし、人材確保につなげよう

働きやすい職場づくりのためには経営理念の明確化が必須です。経営理念の明確化は中小企業の人材不足の緩和と定着率のアップ向上の一助となるでしょう。

[2017年 9月 7日公開]

【この記事のポイント】

  • 労働人口の減少が中小企業の人手不足を深刻化させている。
  • 若年層の人材確保と定着化を促進するキーワードは「働きやすい職場」。
  • 経営理念や経営戦略は従業員が誇りを持って生き生きと働くための土台。

生産年齢人口の減少は人材不足の大きな要因

景気回復の動きが続くなか、中堅・中小企業における人手不足感は深刻度を強めています。日本銀行が四半期ごとに発表している日銀短観の2017年6月調査によると、企業の雇用の過不足度合いを示す雇用判断DI(雇用が過剰と答えた企業の割合から、不足と答えた企業の割合を引いたもの)は、全産業・全規模で-25と、多くの企業では人手が足りていません。規模別にみると、大企業の-16に対し、中堅企業は-25、中小企業では-27と3月期に比べ、+1改善しているものの、中堅・中小企業での不足感が残ります。

日銀短観 2017年6月調査(日本銀行ホームページ)

また、厚生労働省によると、2017年6月の有効求人倍率は1.51倍とバブル期を超える高水準にあります。この背景には、働き手となる年代の人口が減少していることが挙げられます。他にも国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」によると、15~64歳の生産年齢人口は、1997年の8,699万人をピークに減少していて、2020年には7,406万人、その10年後の2030年には6,875万人へと減少することが予測されています。生産年齢人口の減少に加え、中堅・中小企業では、離職という問題も無視できません。離職率は大企業と比較すると中小企業で高いと言われておりますので、中小企業、特に労働集約型のビジネスモデルの中小企業にとっては、人手不足とともに人材の定着が喫緊の課題となっています。

人材の採用と定着に向けて

こうしたなか、私は、中小企業には、人材の採用と定着に向けた効果的な取り組みが求められる、と考えています。中小企業庁の2017年版中小企業白書によると、求職者は「仕事内容・やりがい」、「給与・賞与の水準」、「就業時間・休暇時間」といった項目を重視する傾向がみられます。しかし、中小企業は大企業と比較して給与水準や就業時間などの待遇面で不利と言われます。これを補うため、ICT技術の導入や業務の見直しにより生産性の向上を図り、就業環境の改善をおこなうことが求められます。

また、今、企業にいる人材の定着と活用の取り組みも必要です。特に今後の企業の発展を担う若手の従業員が長く働けるような施策が求められます。同白書では、従業員が「働きやすい」と感じている職場においては、「働きにくい」と感じている職場と比較して、「仕事の内容・範囲が明確」、「経営者・経営幹部と従業員の意思疎通が円滑」といった特徴があるほか、「個人の家庭等の事情を『お互い様』と考えフォローしあっている」、「急な遅刻・早退・欠勤等の際には他の従業員に仕事を頼みやすい」といった、大企業と比べて規模が小さいからこその強みを挙げる回答が多くなっています。つまり、中小企業に求められる施策は「コミュニケーションの密度を高めること」です。

人材活用の根本は経営理念と経営戦略

優秀な人材を採用し定着するような仕組みづくりをしていくことは非常に重要です。しかし、体制づくりはあくまで手段で、その目的は、そこで働く人たちが誇りを持って生き生きと目を輝かせて働くことではないかと私は考えます。そこでカギになるのが、経営理念です。「仏作って魂入れず」という言葉もあるように、いくら立派で大きな入れ物をつくっても、中身がともなわなければ何の意味もありません。その中身の役目を果たすのが、その会社は何のために存在しているのか、何をしていくのかを示す「経営理念」です。経営理念によって社員一人ひとりの考え方をすり合わせることができ、認識を一致させることでコミュニケーションの密度を高めていくのです。そして、その経営理念を具現化したものが、「経営戦略」です。経営戦略は、従業員、他ステークホルダーにとっては経営方針や中期経営計画といった形でより具体的に示されるものです。

経営理念や経営戦略は、よりわかりやすく実行しやすい形で示されていることが重要です。先ほど挙げた2017年版中小企業白書においても、「働きにくいと感じる職場よりも働きやすい職場ほど経営理念が明確に示されている」とするデータが示されています。企業経営を取り巻く環境がかつてないスピードで激変する今だからこそ、従業員が誇りと働き甲斐を持って働けるように、原点に立ち返って経営理念と経営戦略の重要性を認識する必要があるのではないでしょうか。

著者紹介

松尾 光真 氏 プロフィール

中小企業診断士
松尾 光真(まつおみつまさ)

大学卒業後、地域金融機関に就職。営業店にて融資事務・預金事務、個人・法人営業を経験後、子会社に出向し経済分析、産業調査に従事。現在は本店にて法人営業推進の業務に従事。2016年中小企業診断士試験合格、同年登録。現在は大阪府中小企業診断協会に所属。

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