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【対談】企業理念と経営戦略は会社を支える両輪だ!
~企業戦略の考え方~

「理念ではもうからない」と経営者の方から聞くことがありますが、本当にそうでしょうか? ゲストの中郡氏は「経営理念は明確にすべき」と断言。その理由を今回の対談で明らかにします。

ゲスト紹介

中郡久雄 氏 プロフィール

明治大学政治経済学部経済学科卒業。
2012年中小企業診断士試験合格。2013年登録。

新卒でゼネコン(総合建設業)に就職。2年後、子会社のリゾートホテルに出向。1998年、親会社の会社更生法適用申請をきっかけに翌年退職。その後、旅行案内業、家庭教師派遣業を経て、印刷会社に勤務。現在は経理職で、基幹システムの構築、管理会計の仕組みの再構築に携わる。モットーは「経理とは経営管理である」。
社外活動では、小規模企業支援や商店街支援に携わる。また専門誌への執筆を、経営者インタビューを中心に行っている。経営者の思い、それに基づく戦略を理解し、分かりやすい言葉に変えて、広く伝わるような記事を心掛けている。
勤務した会社は新卒で入った会社を除き全て中小企業。そうした経験を生かし、現在も中小企業で働く「企業内診断士」として、現場目線、お客様により近い位置から成長戦略の策定・実行支援を行っている。

はじめに

「理念ではもうからない」。「明日の飯の種を作るのが忙しく、中長期の経営戦略を立てる時間がない」といった言葉を中堅・中小企業経営者の方から聞くことがあります。本当にそうでしょうか? 確かに中堅・中小企業の経営者は一人何役もこなさなければならず、多忙を極めます。しかし、ゲストの中郡氏は10人を超える規模であれば「経営理念は明確にすべき」と断言されます。「なぜ?」に山口が鋭く切り込みます。

企業理念は経営に必須なのか?

山口:企業理念は企業にとって大切なもの、という認識をお持ちの方は多いのですが、実際に診断士として経営トップにお会いする機会が増えると、明文化された企業理念をお持ちの会社がそれほど多くはないことに気づくのですが、中郡さんのこれまでの体験ではいかがですか?

中郡氏:そうですね。明確な企業理念をお持ちで、経営者とそこに集う人たちが理念を共有しているという例は、残念ながらそれほど多くはありませんね。

山口:中郡さんは、企業理念を掲げるかどうかに関してはどのようにお考えですか?

中郡 氏

中郡氏:まず、企業理念は、会社の規模にかかわらず明確にすべきだと考えています。後の話で出てくると思いますが、企業理念は、経営計画全体の指針となるべきものですので、理念がしっかりしていませんと、経営の軸もふらふらすることになります。

山口:起業されるとき経営者の中には明確なビジョン、理念があるのですが、企業が成長を続けるとこれらのことがいつしかあいまいになってくる、そんな気がしています。この企業経営に取って軸となる企業理念を絵に描いた餅にしないために、中郡さんは経営者の方にどのようなアドバイスをされているのでしょうか。

中郡氏:朝礼で企業理念を唱和する、といったことを見聞きすることがあります。個人的にはあまり効果があるとは思っていません。言葉の表層だけをなぞっているような気がしますのでね。それよりも管理者層が日常業務の中で繰り返し伝えていくことが重要だと考えています。こうした日々の積み重ねによって理念に合わせたアクションを起こすことが可能になるのではないでしょうか。

企業理念から生まれた新製品が思わぬ利益をもたらした

山口

山口:「企業理念では飯が食えない」、という方がいらっしゃいます。以前中郡さんから、企業理念から新製品が生まれたといったお話を聞いたことがありますが。

中郡氏:以前お話ししたバッグメーカーの例ですね。その会社の理念の中に「顧客の人生に寄り添うようなバッグを作る」という項目があります。日常の活動の中で、乳がんになられた方から、「肩掛けのバッグが使いにくい」という意見が寄せられたそうです。理念にある、「顧客の人生に寄り添う」にはどうしたらいいのか、ということで新製品開発プロジェクトが立ち上がります。しかし乳がんを発症し、手術される方の割合は、お客様全体の中ではそれほど大きいわけではありません。

山口:損益ベースで考えたら赤字ですよね。

中郡氏:確かにそうなります。しかし、この会社はある特定の顧客向けのバッグを製造することにしました。山口さんのおっしゃるように、損益ベースでは会社に取って利益をもたらしてはくれませんが、別の利益をもたらしてくれたのです。

山口:別の利益とは?

中郡氏:社会的信用と、企業価値のアップです。そして何より、社員の間に「うちの会社は本当に理念を実践しているんだ」という気持ちが生まれたことです。損益だけを考えていてはなかなか難しいでしょうね。

企業が生き残るために必要な栄養素は理念と目的

山口:混迷の時代、先行き不透明の時代などといわれる今日ですが、その中で企業が生き残るためには理念と目的という二つの要素が重要だと考えています。これがないと将来を描くことができないのではないでしょうか?

中郡氏:そうですね。明日のお金が大事ということで、もうかるなら何でもやりますといった事例を目にすることがあります。中堅企業でも多角経営といえば聞こえがいいですが、実は経営の軸がしっかりしていないため手を広げすぎて悪い結果を招いてしまった会社もあります。先ほどお話ししたバッグメーカーではありませんが、何でもやるのではなく、理念に沿った事業展開が結果として企業に利益をもたらすのではないでしょうか。

中郡 氏

山口:もう一つ統計的なデータを持っているわけではありませんが、企業理念の有無と離職率は関係しているのではないか、ということを感じています。自分たちは何のために働いているのか、この仕事は社会にとって役立つことなのかなど。これらのことが全社で共有できていれば離職率も低くなるのではないかと思うのですが。

中郡氏:理念と目的が明確だから仕事を続けることができるということはあるでしょうね。自分が何のために仕事をしているのか、自分の仕事が何に貢献しているのかが分かると、少々きつい仕事にもまい進していく力が湧いてくると思います。逆に「言っていることとやっていることが違うじゃないか」と社員に思われてしまえば、モチベーションも上がらない。事なかれ主義の社員が増えてくると思います。そんな風に捉えると企業理念が会社にとって、社員にとって大切なものであることがよりはっきりするのだと思います。

中小企業診断士は街の電器屋さん

山口:診断士として経営者の方にお会いするようになって感じていることに、経営者の方が相談できる相手が少ないのだなということがあります。経理や財務に関しては税理士に、労務関係は社労士にというように、専門家に相談するのですが、経営全般に関して相談する相手がいない、ということです。

中郡氏:税理士、社労士といった専門性の高い方たちは、それぞれの専門分野に対するコンサルテーションを行ってくれますが、事業計画全体を見渡してのコンサルテーションは難しくなると思います。

山口:例えば事業承継に関して税理士に相談すると、節税を軸にした答えが返ってきます。継承というより相続の色彩が強くなります。本来、事業承継は、その前段階の継承者の育成から入る必要があるのですけどね。

中郡氏:本来そのような作業は中小企業診断士がお手伝いすべき分野だと思います。世代が変わるときの新しい組織はというように、企業全体を俯瞰(ふかん)した計画を元に、それぞれを効率的、効果的は施策を考え、税金対策は税理士に、組織と労働環境、労務といった分野は社労士にそれぞれ相談するというのが理想でしょうね。このように考えると、中小企業診断士は、街の電器屋さんのように、家電も扱えば、IT機器も、その他の電気製品も扱います、というように顧客の生活に沿った企業活動を行いますが、まさしく中小企業診断士の役割は、顧客の企業活動に寄り添って、困りごとの解決に力を注ぐということになります。

山口:大塚商会と同じですね。大塚商会は、「お客様の"困った"を解決する」ことを大切に企業活動を続けていますし(笑)。

左:山口 右:中郡 氏

山口 大樹(大塚商会)プロフィール

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ(TSM) エグゼクティブリーダー 山口 大樹(やまぐち ひろき)
中小企業診断士ISO14001・27001審査員補

中小企業診断士合格と同時に「経営支援サービス」を立ち上げ、お客様の課題を網羅的に解決に導くプラットフォームの構築を進める。企業の健康状態を可視化する「企業診断報告」では250名を超える中小企業診断士の協力を得て、中堅・中小企業のお客様のそれぞれの状況にあった的確な診断・提言を行っている。

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第1回テーマ「経営の指針は企業理念から生まれる」 記事一覧

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