なぜ不良在庫は保管しているだけでコストが発生するのでしょうか。ここでは、不良在庫を減らすべき理由と、廃棄する場合の会計処理について詳しく説明していきます。
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不良在庫をもう作らない！在庫の会計処理や在庫管理システムのAI活用を解説
商品を扱ううえで、不良在庫はどうしても発生します。置いておくだけでもコストがかかる不良在庫に、頭を抱えている企業は多いのではないでしょうか。不良在庫を生まないためには、適切な在庫管理が重要です。
この記事では、過剰に不良在庫を作らない方法や、AI技術を用いた在庫管理システムの特徴などを詳しく解説します。
不良在庫とは？
不良在庫とは、販売できる見込みがなく、自社の損失になり得る在庫です。需要を超えた生産や、過剰な発注が主な原因で発生します。賞味期限切れの製品や不良品も不良在庫に含まれます。
特に製造業や小売業、宿泊業などでは、流行（りゅうこう）や需要を予測した在庫管理が必要です。勘や一部の経験といった不確かな情報に頼るのではなく、過去のデータに基づいた根拠ある予測を行うことで、効率的に仕入れや在庫運用を行えます。
不良在庫のメリット、デメリットとは？廃棄処分など会計処理をするときの注意点
不良在庫を減らすメリット
在庫を抱えることは本来、適正な量であれば品切れを防ぐことができ、需要が急増しても対処できるため販売機会の損出を防ぐことにもつながるものです。しかし、販売できる見込みのない不良在庫にはさまざまなデメリットがあり、不良在庫を減らすことで以下のメリットが生まれます。
管理コストの削減
不良在庫を減らすと、保管するために必要だったスペースが削減されます。そのため、倉庫保管料の節約や、空（あ）いたスペースをほかの在庫管理に充てられるだけでなく、在庫管理に関（かか）わる人件費や光熱費の削減にもつながります。経営上の無駄がなくなるため、キャッシュフローの改善にも役立ちます。
適正在庫による経営安定
適正在庫とは、欠品はしないものの過剰在庫にならない最小限の在庫です。適正在庫を維持することで、必要以上の生産や発注を防げます。また、在庫を正しく把握すると欠品を防げるため、販売機会の損失を防止する効果もあります。不良在庫にかけていたコストを減らせば、資金の流れを改善でき、経営に良い影響を与えるでしょう。
不良在庫を会計処理する場合
不良在庫を処分する際は、値段を下げて売れないかを検討しましょう。「決算セール」や「在庫処分セール」などで、売れる分の不良在庫を現金化し、少しでも利益の減少を食い止めることが大切です。
通常の方法で販売できない分は、評価損（在庫の販売価格が仕入価格より下回った際に生じる損失）を計上します。評価損に計上できるケースは以下のとおりです。
- 災害による著しい損傷があった場合
- 季節商品が売れ残ってしまった場合
- 新商品が出て型落ちした場合
- 破損や型崩れなどが激しい場合
廃棄損（商品を廃棄した際の損失額）として計上する場合は、事業年度内に廃棄したことを証明できるものが必要です。廃棄した不良在庫のリストや廃棄直前の写真、廃棄業者の請求書などを準備しておくと良いでしょう。
不良在庫を生まないポイントとは？過剰在庫を作らない管理が重要
過剰在庫を発生させないためには、適切な生産や発注を行う以外にも対策があります。ここでは具体的な管理方法を解説します。
在庫管理システムを導入する
在庫管理システムとは、在庫状況を正確に把握できるシステムです。在庫管理の時間や手間を減らせるだけでなく、人的ミスの削減にも有効です。ソフトウェアをパソコンにインストールするパッケージ型、自社のサーバーにシステムを構築するオンプレミス型、インターネット上のシステムを利用するクラウド型などのサービスがあります。
在庫回転率を高める
在庫回転率とは、一定期間内にどれだけの在庫が出入りしているかを示す指標です。商品がどのくらいのペースで売れているかを表しており、数字が大きいほど売れ筋の商品を意味します。
計算方法は二つあります。金額で計算する場合は「年間または月間の売上原価÷平均在庫金額」で、個数で計算する場合は「出庫した総数÷平均在庫数」から算出可能です。例えば、平均在庫金額が200万円で、年間の売上原価が800万円の場合、在庫回転率は4となり、年に4回在庫が入れ替わることを意味します。
在庫回転率を高めるためには、まず、具体的な目標を設定しましょう。また、在庫回転率は決算時にだけ計算するのではなく、定期的に把握しておくことがポイントです。
在庫を減らす（販売する）
過剰在庫や不良在庫の数を減らすためには、特別価格として販売する方法や、アウトレット、中古市場に出すという方法もあります。商品によっては、業者が買い取ってくれる場合もあります。定期的に過剰在庫を見直し、不良在庫になる前に対策をとるのが賢明でしょう。
不良在庫を削減！AIを活用した在庫管理システムに可能なこと
近年、在庫管理システムにAIを活用するケースが増えています。ここではAIを用いて効率アップできる業務や、導入する際の注意点を紹介します。
不良在庫の削減につながる四つの特徴
在庫管理業務にAIを導入するメリットとしては、以下の四つが挙げられます。
在庫状況をリアルタイムで把握できる
AIカメラが商品を自動認識し、在庫状況をリアルタイムに把握できます。大がかりな工事は必要なく、カメラを設置するだけで導入可能です。人の手でデータを入力する必要がないため、人的ミスも防止できます。
需要予測ができる
AIは季節の変動や顧客属性などの膨大なデータを学習し、正確な需要予測ができます。さらに全国の在庫を管理しつつ、需要予測から最適な在庫を維持することも可能です。一部の経験と勘だけに頼らない、実際のデータを活用した合理的な在庫管理が実現できます。
棚卸のミスを防げる
決算時に行う実地棚卸は、実際に抱える在庫を人力で数える作業です。棚卸作業では膨大な工数をこなすため、二重計上や計上漏れなどのミスが発生する恐れもあります。加えて未経験者には難易度が高く、熟練者の協力が必須となるため、特定の担当者しか把握できない一面もありました。しかし、AIによる在庫管理を用いれば、だれでも簡単な操作で棚卸を完了させられます。
在庫管理の効率アップ
これまで人の手で行っていた情報収集活動やデータ入力作業を自動化すると、作業時間の短縮が期待できます。スタッフの労力を削減できるため、在庫管理にあたっていた人員をほかに配置でき、人件費の節約にもつながります。
AI導入の注意点
AIによる需要予測を行うためには、分析対象となる大量のデータが必要です。売れ筋ではない商品の場合は、データのサンプルが少なく、分析の精度が低くなる場合もあります。さらに、分析を重ねたとしても、AIが傾向をつかめないデータや想定できない事象には対応できません。AIに絶大な信頼を寄せるのではなく、まずはデータと実際の在庫が一致していることが重要なため、在庫の管理も怠らないようにしましょう。
在庫の把握、適正在庫の維持に役立つAI分析サービスのご相談は大塚商会まで
売れずに残っている不良在庫は、保管するだけでもコストがかかります。不良在庫を生み出さないためには、需要傾向をとらえた正確な在庫管理が重要です。しかし、すべて人の手で行うと膨大な時間がかかるため、在庫管理にはAI技術を用いたシステムの導入をおすすめします。
大塚商会では、「dotData（ドットデータ）」というデータ分析ツールを提供しています。データ分析のプロセスを自動化できるため、従来かかっていた時間や労力を削減できます。また、業務ごとの小規模なデータ分析から導入可能です。AIを活用した在庫管理を検討している方は、ぜひ大塚商会へお問い合わせください。
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