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電子帳簿保存法改正のポイントと具体的な対応方法【2023年最新】

近年、さまざまな事務処理・手続きがペーパーレス化され始めています。会計処理においても、各界から電子化容認への強い要望があり、1998年から段階的に電子化への取り組みがされてきました。しかしながら、電子化できる書類が一部にとどめられるなど制限事項も多く、課題を残したまま運用されていました。

これらの課題を改善するため、2021年に電子帳簿保存法の改正が行われ、2022年1月に施行されました。この法改正により、何が緩和され、具体的にどのような対応が必要となったのでしょうか。

この記事では、改正された電子帳簿保存法について、改正のポイントなどを詳しく解説していきます。

2022年1月施行の電子帳簿保存法改正のポイント

電子帳簿保存法が改正された背景には、一体何があったのでしょうか。改正に至った経緯と、改正のポイントを見ていきましょう。

電子帳簿保存法改正の背景

電子帳簿保存法は、日々進歩する情報化社会に対応し、納税者の会計処理に伴う負担を軽減する目的で、1998年7月に施行されました。この法令により、それまで紙媒体で行われていた会計処理が、部分的に電子化されることになりました。

しかし、電子データの改ざんなどに対する懸念から、電子データでの国税関係帳簿保存やスキャナ保存について、事前の申請や、定期的な点検が必要であるなど、多くの制約が存在していました。

この制約があることから、電子保存を推進する企業は少なく、法令自体に多くの課題が残されていました。また、民間企業からは、法令による紙媒体での保存義務などを緩和するよう強い要望がなされました。

これらの課題について、情報化技術の大幅な発展や用紙の読み取り精度の高精細化、各種クラウドサービスの充実化などにより、懸念点が比較的容易に解決できると判断され、大幅な要件の見直しが行われることとなりました。

この要件緩和により、企業だけでなく個人事業主も高いコストをかけることなく、国税関係帳簿などの電子保存が可能になりました。

改正のポイントは「要件緩和」と「電子取引」

電子帳簿保存法では、保存対象によって、保存方法が以下のように大きく3区分に分けられます。

  • 電子帳簿等保存:会計ソフトなどで作成した帳簿、電子的に作成した国税関係書類をデータのまま保存する
  • スキャナ保存:紙で受領、作成した請求書、領収書などの書類をスキャナーで読み取り保存する
  • 電子取引:電子的に授受した書類をデータで保存する

今回の法改正のポイントは、3区分それぞれで、さまざまな「要件緩和」がなされていること、また、「電子取引における電子データ保存の義務化」の2点です。

まず、「要件緩和」について主な改正点を見ていきましょう。

事前承認制度の廃止

これまで、「電子帳簿等保存」や「スキャナ保存」をする際には、管轄の税務署長への事前申請と承認が必要となっていました。今回の改正により、各企業の負担を軽減する目的で、事前承認制度自体が廃止されました。

タイムスタンプ要件の緩和

「スキャナ保存」と「電子取引」では、これまで「遅延なく」行う必要があった「タイムスタンプの付与期間」が、記録事項の入力期間と同じ、最長2カ月とおおむね7営業日以内に改正されました。

適正事務処理要件の廃止

「スキャナ保存」において、書類のスキャニングを行う際の相互けん制(二人以上の要員で原本の確認を行う体制)や定期的な検査、社内規定の整備など、必須とされていた各規定が廃止されました。これにより、定期検査後にしか破棄できなかった紙書類の原本が、データ保存したのち、即時破棄できます。

システム要件の緩和

「電子帳簿等保存」において、最低限の要件を満たしたシステムであれば、利用が認められるようになりました。また、「システム間の相互関連性の確保」「訂正および削除の履歴が残るシステムでの保存」など、以前と同様の詳細な基準を満たしているものは「優良な電子帳簿」として認められ、もし申告漏れが発生した場合には、申告漏れに課される過少申告加算税が、5%軽減されます。

検索要件の緩和

「スキャナ保存」「電子取引」において、記録を検索する際の項目が、「取引年月日(その他の日付)」「取引金額」「取引先」の三つに緩和されました。また、税務職員からの要請があった際、記録を速やかにダウンロードできるよう整備されている場合、範囲指定や、二つ以上の条件で検索できる必要性がなくなりました。

なお、これらの要件緩和に伴い、不正に対する抑止策として、罰則が制定されました。保存した電子データの改ざんなどが発覚した場合、不足金額に10%の重加算税が付加されます。

では、もう一つの改正点、「電子取引に関する電子データの保存義務化」についても詳しく見ていきましょう。

電子取引とは、電子メールなどに発注書や納品書、請求書を添付して取引を行った場合や、インターネットバンキング上での取引、ネットショップでの通販など、紙媒体でのやりとりを行っていない取引を指します。改正前はこれらの取引でも、データを印刷出力して紙で保存することが許可されていました。しかし、今回の改正により紙での保存はできなくなりました。

データでの保存には、タイムスタンプの付与など真実性を確保する措置や、取引年月日、取引金額、取引先で検索できるようにするなど可視性の確保も必要となります。

次項で、これまで紙で保存していた場合はどうすればいいのか、「電子取引」の注意点についてさらに詳しく紹介します。

電子取引の電子データ保存義務化は猶予期間を活用して対応

電子データの保存義務化については、業界団体からの声を受け電子化が間に合わない企業に対して、施行から2年の宥恕(ゆうじょ)措置(猶予期間)が取られることとなりました。

猶予期間は2023年12月31日までで、該当期間内の電子取引については、準備ができていない企業に限り、印刷物での保存が認められています。さらに、2022年12月発表の「令和5年度税制改正大綱」において、2024年1月1日以降も一定の要件を満たす場合には新たな猶予措置が実施されることが決定しました。

2024年以降も、保存要件を満たせない電子取引については紙での保存が引き続き容認されるものの、取引情報の電子データをダウンロードできるようにしておく必要があります。猶予期間はいつまで継続されるかは不明なため、今のうちにしっかりとした対策を講じることをおすすめします。

電子帳簿保存法創設等の背景(国税庁のWebページが開きます)

改正に関するパンフレット等(国税庁のWebページが開きます)

電子帳簿保存法一問一答(Q&A)(国税庁のWebページが開きます)

電子帳簿保存法改正で事業者がすべきこととは

電子帳簿保存法の改正により、電子取引の電子データ保存が義務化されたことで、規模の大小にかかわらず、全ての事業者が影響を受けることとなりました。

では、事業者側はどのような対応、対策を行う必要があるのでしょうか。

まずは、自社内でどういった電子取引が行われているかあらためて確認し、経理データ、電子取引データの整理にどのようなシステムがあるといいのかといった選定も必要となります。

電子データを保存する際は、タイムスタンプの付与や、条件指定での検索もできなければなりません。そのため、これらの機能が自社システムで対応できるか否か、確認しましょう。

そのほか、保存するデータについては内容だけでなく、保存するファイル名などにも注意が必要です。特に電子取引についてはオリジナルの電子データを保存する必要があるため、ファイル名に法則性をもたせるなど、検索しやすい仕組みを作らなければなりません。

押さえておくべき電子取引の保存要件

改正された電子帳簿保存法では、電子取引の保存要件として、以下を満たす必要があることが示されています。

電子取引とは? 電子帳簿保存法の改正で変わること【2023年最新】

真実性の要件

保存した内容を改ざんの痕が残らないように改ざん・削除できないようにすることが求められます。そのために、以下の措置のいずれかを取る必要があります。

  1. タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
  2. 取引情報の授受後、速やかにタイムスタンプを付すとともに、保存を行う者又は監督者に関する情報を確認できるようにしておく
  3. 記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実および内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う
  4. 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定め、その規定に沿った運用を行う

可視性の要件

保存した内容をいつでも確認できるように、表示出力できるようにしておくことも求められます。

  1. 保存場所に電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタおよびこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
  2. 電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
  3. 検索機能を確保すること

社内システムで対応できない場合には、電子帳簿保存法に対応したJIIMA認証のソフトウェアやサービスなどを使用するのがおすすめです。

企業が電子帳簿保存法に対応すべきこととは? 2022年法改正のポイントを解説

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2022年1月から施行された、電子帳簿保存法の改正について、ポイントをご紹介しました。

改正により保存要件が緩和される一方、電子取引の電子データ保存義務化や、申告漏れに対する罰則強化といった厳格化も行われています。今回ご紹介したサービスを活用し、無理なく移行準備を整えましょう。

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