アグリゲートコンピューティング

読み方 : あぐりげーとこんぴゅーてぃんぐ

アグリゲートコンピューティングとは

モノとモノをクラウドを介して連携させることで、新しいサービスや仕組みを生み出すコンピュータの利用形態。東京大学の坂村健教授が提唱し、2017年にも実現する基盤の試験公開が予定されている。

自宅のリビングにあるソファーでくつろいでいたら、手元のスマートフォンにテレビ電話がかかってきた。小さな画面では見づらい。そこでセンサーが組み込まれたソファーのアームレストを2度タップ。するとリビングにある大画面テレビに、電話の相手が映し出された─。

あらゆるものがネットにつながるIoT(モノのインターネット)の登場で、こんな場面の実現は夢ではなくなってきている。スマホとソファー、大画面ディスプレーという3つの異なるモノが連携することで、テレビ電話という1つのサービスが実現できるわけだ。

原理:モノをクラウド経由で連携

このように連携した複数のモノで1つのサービスをコンピュータで実現させようとする動きが、国内で高まっている。このようなコンピュータの利用形態をアグリゲートコンピューティングと呼ぶ。

アグリゲートコンピューティングは2015年初めに、東京大学の坂村健教授が提唱した。アグリゲートとは「集める」という意味。モノとモノをクラウドを介して連携させることで、集まったモノの「総体」として一連のサービスを提供できるようにする仕組みを指す。

特徴は、セキュリティ管理やアクセス制御といった、本来のモノには関係なくても、モノ同士をつなぐうえで必要な共通機能を、クラウド上でそろえることだ。こうすると「モノの価格を上げずに、安全かつ便利に連携できるようになる。モノで処理させると大変な人工知能やビッグデータの処理もクラウドで実現できる」と坂村教授は説明する。

冒頭のケースもスマホ、ソファー、大画面ディスプレーもセキュリティを確保してクラウドに接続。クラウド上に、ソファーのアームレストが2回タップされたときの動きに関するプログラムを起動させれば、たやすくできる。このほか、オフィスビルのなかに点在するセンサー付きのゴミ箱をつなげ、クラウドでゴミの量をつかめるようにすれば、「ゴミが多くなったときだけ回収に動く」と、業務を効率化できる。

アグリゲートコンピューティングの実現はもう間近だ。坂村教授は「東大を中心に進めてきた理論的な研究を基に現在、実用化を目指している」と話す。2015年9月、坂村教授が会長を務めるトロンフォーラムはIoT技術標準化部門を新設。そこでアグリゲートコンピューティングを実現するプラットフォームシステムの研究開発を始めている。

展開:理論研究が終わり実用化へ

具体的には「ucode」と呼ぶ識別番号をそれぞれのモノに割り振る前提で、セキュリティ管理やアクセス制御、モノを探す検索機能など、クラウド側の基本機能の実装を進めている。「2017年初めごろには試験的に公開できるようにしていきたい」と坂村教授は話す。

坂村教授はこのシステムをオープンIoTの基盤と位置付けている。「誰でも利用できるようにすれば、多くのアイデアが見込める。様々な社会実験を企画しているのでぜひ参加してほしい」と、坂村教授は呼びかけている。

出典:ITpro「今日のキーワード」(C)日経BP社

[2017年 2月10日 公開]