カスタマー・エクスペリエンス

読み方 : かすたまー・えくすぺりえんす

英語正式表記 : Customer Experience

カスタマー・エクスペリエンスとは

商品・サービスの選定、購入、利用、サポートまでの経験を通じて顧客が感じる価値。小売業であれば、店に行き、出るまでの全体験に満足を与える経営手法。長期的な企業のファンを増やす。

商品・サービスの強化だけでは、競合との差異化を図ることが難しくなっている。価格競争が激化し、利益なき繁忙を続ける企業は少なくない。こうした“消耗戦”から抜け出すには、商品・サービスを軸にして、感動を与える経験を顧客に提供することが求められる。「商品やサービスといったモノだけでなく、顧客が得られる良質な経験の提供が大切」。早稲田大学ラグジュアリー ブランディング研究所所長の長沢伸也教授は指摘する。

動向:スタバの成功で注目

それを実現する経営コンセプトがカスタマー・エクスペリエンス(顧客経験価値)である。

カスタマー・エクスペリエンスの考え方が登場したのは、1999年だ。米コロンビア大学のバーンド・H・シュミット教授や、米IBMのコンサルタントだったジョセフ・パイン2世氏らがそれぞれ、顧客が得る経験の重要性を説いた書籍をこの時期に出版した。

ここ最近、再び注目が集まるのは、成長企業を分析すると、カスタマー・エクスペリエンスの向上に取り組むところが多いからだ。その1社が米スターバックスである。

同社のハワード・シュルツ会長は、自社を「接客業とITの交差点」と表現した。まず店に入り、店員との気さくな会話をして、豊富なメニューの中からコーヒーを選ぶ。

落ち着いた雰囲気の店内に腰を下ろし、コーヒーを味わいながら、ネットを使えるのも魅力。さらに新聞のデジタル版を無料ダウンロードできるサービスも提供している。

最近ではモバイル決済も始めた。このように小売りの領域を超えて、入り口から出口まですべてを“感動体験”にして、コーヒーだけではない「スタバファン」を増やしている。シュルツ会長は「くつろぎと利便性の両方を体験してもらう」と語る。この経営が、商品やサービスを超えて「究極の体験」を提供すべきとするカスタマー・エクスペリエンスの理論と一致した。

効果:縦割り組織を超える

ではそれを高めるためには、どうすればいいか。サービス・マネジメントの研究者である、青山学院大学経営学部の小野譲司教授は、「ネットや店舗、カスタマーセンターなど多様化する顧客接点で提供する経験を洗い出す。そして縦割り組織を超えて、シームレス(つなぎ目のない)で一貫性のあるサービスを提供することが大切」と指摘する。

米国では先端の経営手法とされ、テムキングループなどコンサルティングを手掛ける会社も登場している。ポイントは、顧客に「そこまでやるか」と思わせる徹底的な取り組み。自社の弱さを直視して、逆に強さに変える改革も大切だ。顧客接点における評価に目を向け、優先課題を抽出。縦割り組織を超えて、顧客に満足と感動を連続して与える組織作りを進める。ITと融合させるためにはデータ分析が有効だ。

出典:ITpro「今日のキーワード」(C)日経BP社

[2014年 8月11日 公開]