GEIT

読み方 : がいと

英語正式表記 : Governance of Enterprise IT

GEITとは

企業が事業を通して価値を生み出す活動を、ITを前提にして支える仕組み。昨今のビジネスでITが不可欠になってきたことを受け、ITガバナンスを経営に拡張させた考え方として注目が集まる。

企業はこれまで、情報セキュリティーの確保など、ITを「統制」する仕組みの「ITガバナンス」を整備してきた。ところがここ最近、「スマホアプリを通して新サービスを提供する」「顧客の購買履歴を分析した結果を基に、斬新な切り口で販促をかける」といったITやビッグデータの「活用」に注目が集まっている。

企業がITで事業に直結する成果を得るには、ITガバナンスだけでは不十分な状況である。そこでGEIT(Governance of Enterprise IT、通称ガイト)という、ITガバナンスを拡張した考え方が登場した。

特徴:経営層がITに深く関与

GEITは、企業が価値を生み出す活動を、ITを含めて支える仕組みのことだ。2012年、システム監査の国際団体である米ISACA(情報システムコントロール協会)が公表したフレームワークの最新版「COBIT5」で示された。このフレームワークには、企業が事業で価値を生み出すのに必要な業務プロセスや組織構造、情報などが示されている。

ITガバナンスとの違いは、経営層がより強く関与する点である。ITガバナンスの運営主体はIT部門だったが、GEITは違う。「取締役会といった経営層のメンバーがITを含めて経営戦略に関する意思決定を行うことになる」と、GEITに詳しい風創経営研究所(東京都府中市)の元村憲一代表は説明する。

GEITは米国で登場した比較的新しい考え方だが、同様のものは先に日本で生まれている。経済産業省が2004年から中小企業向けに推進してきた「IT経営」である。「ITは経営戦略を実現する手段」と捉え、競争力の向上などを実現させる経営スタイルを指す。

動向:「攻めのIT経営銘柄」を選定

経産省はIT経営を普及させるため、2008年以降、「中小企業IT経営力大賞」を設けて、IT経営を実現する中小企業を表彰。参考事例として、広く世間に紹介してきた。

だがIT経営の重要性は浸透していない。調査会社ITRが2012年に行った調査では、国内企業200社のうち「ITは企業の存亡に関わる重要なもの」と考える企業は3割に満たない結果が出ている。

「国内企業のIT投資は、業務効率化やコスト削減といった守りの分野が中心。しかし競争力を高めていくには、収益拡大など“攻めのIT投資”が欠かせない」と、経産省の松本正倫商務情報政策局情報処理振興課課長補佐は指摘する。

そこで経産省は2014年、中小企業と上場企業それぞれの経営者の意識を高める新施策を打ち出した。

中小企業については2014年11月、「『攻めのIT経営』中小企業百選」の実施を発表。今後3年間で、攻めのIT経営を実践する中小企業を100社紹介していく。一方、上場企業については2014年12月、東京証券取引所と共同で、攻めのIT経営に積極的な企業を選定する「攻めのIT経営銘柄」を公表していくと発表。今後はGEITの実践例が具体的につかめそうだ。

出典:ITpro「今日のキーワード」(C)日経BP社

[2015年12月 2日 公開]