モバイル空間統計

読み方 : もばいるくうかんとうけい

モバイル空間統計とは

NTTドコモが携帯電話加入者の性別や年齢、位置に関するデータを統計的に処理し、刻々と変化する地域ごとの人口分布を推計したもの。モバイル空間統計を基にした分析サービスが始まった。

IC乗車券「Suica」の利用データを日立製作所に提供していた件で、東日本旅客鉄道(JR東日本)が批判を浴びた。そんななか、NTTドコモが2013年10月から、「モバイル空間統計」と呼ぶ、今までにないデータを活用した分析サービスを提供すると発表した。

モバイル空間統計とは、都市部なら約500メートル、郊外なら数キロメートル四方の範囲内に、「40代の男性が何人いるか」といったことを示すデータだ。NTTドコモが携帯電話サービスを提供するために1時間ごとに収集している加入者の位置データに、性別・年齢に関するデータを付加し、人口分布を推計している。公共分野では防災、産業分野では商圏調査や出店計画の立案に役立つと期待されている。

経緯:4年かけ、情報保護に配慮

モバイル空間統計の作成で重要なのは、携帯電話の基地局から取得した加入者の位置データだ。これに加入者の性別、生年月日などを統計的に処理し、「40代男性、埼玉県A市B町」といったデータに加工。これらに、各地域の携帯電話の普及率を考慮して、その時々・その場所の人口データを推計する。一連の処理をシステムで自動的に処理して、モバイル空間統計を作成する。

このモバイル空間統計はそのまま入手できるわけではない。グループ会社で調査・分析サービスを手掛けるドコモ・インサイトマーケティング(東京・港)が、企業や自治体・学術機関を対象に、モバイル空間統計を加工した各種分析レポートを有償で提供している。

加入者の位置などプライバシーに関わるデータを扱うだけに、NTTドコモはモバイル空間統計の実用化を慎重に進めたようだ。NTTドコモは2009年下期から、モバイル空間統計の実用化の検討を開始。社外の有識者を交えた研究会を設置し、「ニーズはあるのか」「法律上、問題はないのか」などについて議論した。2010年からは大学や自治体と組んで、実証実験に着手。2013年1~3月には、仙台市で帰宅困難者数の調査を手掛けている。NTTドコモの岡島一郎先進技術研究所ネットワークシステム研究グループ主幹研究員は「着実に実績を積み上げ、プライバシー保護には万全を期している」と言う。

動向:オプトアウト率は0.06%

NTTドコモはモバイル空間統計の実用化にあたり、事前に関係各所にプライバシー保護に十分に配慮していることを周知徹底したという。2013年10月からモバイル空間統計の実用化を始めることを発表した後、特に大きな混乱もなくサービスを開始している。JR東日本がSuicaの利用データを日立に提供すると発表したときの反応とは対照的だった。

2013年9月末時点で、NTTドコモに自身のデータ利用を拒否(オプトアウトを申請)した加入者数は約3万7000件で、約6000万人の加入者(法人契約を除く)に占める割合は0.06%。JR東日本は約0.12%(10月9日時点)だった。

出典:ITpro「今日のキーワード」(C)日経BP社

[2014年10月 8日 公開]