部品トレースシステム

読み方 : ぶひんとれーすしすてむ

英語正式表記 : Parts Traceability System

部品トレースシステムとは

2011年に発生した東日本大震災とタイの洪水は、製造業のサプライチェーンに課題を突きつけた。自社の拠点が無事でも、部品や原材料の仕入れ先の拠点が被災したために生産が停止してしまう問題が露呈したからである。仕入れ先を分散していた企業でさえ、2次、3次とサプライチェーンを遡っていくと特定の部品や原材料を生産する1つの企業に突き当たってしまい、その企業が原因となって生産全体がまひしてしまうケースが幾つも見つかった。

このような課題を克服する目的で、自社の製品に利用している部品の仕入れ先などの情報を追跡できるシステムを整備・拡充する動きが広がっている。こうしたシステムを部品トレースシステムと呼ぶ。一般には、製品ごとに構成する部品を洗い出し、部品ごとの識別用IDや供給元の企業、生産した工場の所在地、コスト、使用する原材料、部品同士の相性といった情報を登録したデータベースを指す。

効果:重要な仕入れ先を事前に特定

部品トレースシステムを活用すれば、震災などの非常事態が発生した際に、生産に影響を及ぼす部品や原材料の存在を短時間で把握できるようになる。例えば、震災の発生地域と部品を生産する拠点の情報を照らし合わせ、確認が必要な仕入れ先を素早く絞り込める。

さらに各部品の生産に必要な原材料などを供給する2次、3次の仕入れ先情報を登録しておけば、重要な原材料や仕入れ先の把握にも役立つ。原材料の在庫を一定量保有するといった施策を先手を打って講じられる。

品質やコスト、有害物質の使用の有無といった情報も併せて登録し、原価低減活動や環境対策の手掛かりにするなど、平常時にも役立つシステムを構築する企業もある。それが情報の鮮度を保つコツといえる。

ただし、サプライチェーンの上流に遡るにつれ、登録する企業や部品の数が増え、情報を収集・登録する業務の負荷が高まる。代替品の手配が困難な部材の情報を優先的に登録するなど、運用上の工夫は欠かせない。

事例:部品の製造拠点をマッピング

富士ゼロックスは調達部門のBCP強化のため、2011年から部品トレースシステムを拡充している。デジタル複合機などの生産機種ごとに、どの部品がどの仕入れ先のどこの拠点で作られているのかを世界地図にマッピング。緯度と経度の座標情報から、仕入れ先の拠点の位置をすぐに特定できるように工夫している。

出典:ITpro「今日のキーワード」(C)日経BP社

[2013年10月 4日 公開]