PPM

読み方 : ぷらいしんぐあんどぷろふぃたびりてぃーまねじめんと

PPMとは

原材料費や人件費といったコストを管理し、適正な商品価格をリアルタイムで算出する仕組み。デフレ脱却の兆しが見え始めた日本でも注目を集めている。

日本銀行の異次元金融緩和を軸にしたアベノミクスにより、デフレ脱却が現実味を帯びている。あらゆる企業が市場動向を見極めながら、値上げを模索する時期に来ている。2017年4月には消費税が10%に引き上げられるので、企業は今後の価格設定について一層難しい選択を迫られそうだ。

そこで注目を集めているのが、PPM(プライシング&プロフィタビリティーマネジメント)である。原材料費や人件費、競合他社の値付けといったデータをIT(情報技術)システムで管理・分析し、適正な商品価格を算出する仕組みを指す。

PPMはもともと、消費財や航空といったコンシューマー業界で生まれた考え方で、10年以上前に米国で普及した。そして今では、法人向けビジネスを展開する企業にも広く浸透しており、米スリーエムや米ダウ・ケミカルが導入済みである。

PPMの動向に詳しい米デロイトコンサルティングのジョン・ノークス氏は「企業はPPMを導入することで、値決めにも“科学”を持ち込もうとしている」と話す。

効果:1.5億ドルの利益改善

PPMを導入する利点は、全社で商品価格の統制が取りやすくなることである。「ここまでは許容できる」という価格水準を全ての営業担当者で事前に共有することで、赤字の商談が生まれるリスクを低減できる。

例えば、営業担当者が商談中に顧客から値下げを迫られた場合。担当者は手元の端末でPPMシステムにアクセスし、適正な利益を確保できる価格を確認する。その価格を基に商談の戦略を組み立てる。

従来は急な値下げ要求に対して、営業担当者がその場では判断できずに会社に持ち帰って検討したり、競合他社を意識するあまり、無謀な値下げ要求を飲んでしまうことがあったりした。

売り上げ規模が約40億ドルのグローバルな飲料メーカーはPPMシステムを導入することで、14カ月で1億5000万ドルの利益改善効果を生み出した。このメーカーはPPMシステムによって、取引先との商談のうち、約20%で利益が出ていないことをつかんだ。この事実を踏まえ、顧客との商談をデータに基づいて見直し、短期間で赤字の商談を減らした。

事例:3年で30社に導入

デフレ脱却という経済環境の変化だけではなく、ITの進化もPPMの導入を後押ししている。価格にまつわるビッグデータを高速に処理できるシステムが登場。適正な商品価格をリアルタイムではじき出せるようになったのだ。

デロイトトーマツコンサルティングとSAPジャパンは2014年10月、インメモリーデータベースを基盤にしたPPMサービスの国内提供を始めた。今後3年間で30社程度への導入を目指している。既に日本の建材メーカーが採用を決めた。景気回復の足取りが確かになれば、PPMに対する関心はさらに高まりそうである。

出典:ITpro「今日のキーワード」(C)日経BP社

[2015年11月24日 公開]